邪悪な魔素
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エイル君の中身はこちらのオッサンのコピーで、
女神クララベル様はこのチャンネルのマスコットキャラクターの見た目を使った。という設定にしています。
AIは日本語としておかしくないか、誤字脱字がないかの校正作業で使用しております。
調査五日目。
溶岩が流れた跡――バルガスさんによると『溶岩原』と呼ぶらしい。
その溶岩原から先へは大型魔獣の足取りを追えなくなったため、森と溶岩原の境目を調査することになった。
大型魔獣が作った道を起点に、北へ向かうバルガスさん率いる第一部隊と、南へ向かう第二部隊の二手に分かれて調査を行った。
おれとレイナは第一部隊へ同行し調査することになった。
バルガス隊へ同行している火山研究の専門家セレナさんの班は、比較的新しい溶岩や、湧き水のサンプルを採取していた。
ヴェルディア索敵は木々のある森までしか届かないので、溶岩原のほうは、おれや斥候の人たちが目視で魔獣の接近を警戒していた。
見渡すと、遠くの溶岩原にはいくつかの魔獣の群れがうろついている。
森の中と違って隠れる場所がないから、こうして見ると結構な数がおるんやな。
今のところこちらへ近づいてくる様子はないが、いつ襲ってくるか分からないので油断はできない。
「溶岩原って溶岩が流れた跡やん? もっとなだらかなんかなと思ってたわ」
「ここらへんは火口から遠いだろう? 溶岩は冷えてくると流れにくくなって、表面もこんなふうにゴツゴツしてくるんだ」
「逆に、まだ温度が高くてよく流れるうちは、比較的なだらかな地形になりやすい」
バルガスさんがそう解説してくれると、おれとレイナは『はぇ~』という顔をしていた。
「エイル。なんかあそこ、変に窪んでない?」
レイナが溶岩原のほうを指さした。
「ここらへんは火山やし……あそこに温かい湧き水が溜まったら、ちょうどいい温泉になりそうやな♪」
「エイルったら……♪」
おれの呑気な返答にレイナがふふっと笑った。
そういや自然の温泉とかこの世界にあるんやろか?
温泉があったら、あの魔獣の群れも入ったりするんやろか? などと、どうでもいいことを考えていた。
ゴゴゴゴゴ……
魔獣の群れが気持ちよさそうに温泉に浸かっている姿を想像していたら、突然地面が揺れ始めた。
「お、地震やんけ」
「エイル! 噴火してる!」
レイナが大声を上げたので火山を見ると、遠くの火口から煙がもうもうと立ち上がっている。
「全員、調査を中止! 船へ戻るぞ!」
バルガスさんの怒鳴り声が響く。
『エイル! ノルが全力で戻ってこいって!』
「バルガスさん!! ノルからも全力で戻れと連絡がありました!!」
「分かった! 全員、全力撤収だ! 信号弾を上げろ! 第二部隊にも知らせるんだ!」
バシュッ――!
空高く信号弾が打ち上がる。
おれたちは全力で船へ向かって走った。
浜に到着すると、信号弾を確認した調査船がすでに接岸して待機していた。
「みんな、あそこから飛び乗れ!!」
おれたちは調査船後部のランプドアから、滑り込むように船へ逃げ込んだ。
あとから到着した第二部隊を回収すると、調査船はランプドアを閉めながら全力で離岸した。
沖合に待機していたもう一隻の調査船と合流すると、おれたちは次第に落ち着きを取り戻した。
「あれ? 煙しか上がってないやん」
おれはノルとヴェルディアが、なぜあんなに慌てておれたちを急がせたのか疑問に思った。
「マリナ、儂はエイルとレイナの様子をみてくる!」
「クララベル! マリナのことは頼んだぞ!」
「風よ、急いで儂をあの船まで運んでくれい!」
慌てたノルが風の精霊に頼むと、小さなつむじ風が巻き起こり、ノルをおれたちの乗る調査船まで運んでいった。
「あ、ノル。煙しか上がっとらんやん?」
「あほう! 噴火の大きさが問題ではないわい!」
「邪悪な魔素が、火山から溢れてきておるのじゃ!」
「あそこを見てみい!」
ノルが指差した先には、先ほどまでおれたちが調査していた辺りが見える。
おれはヴェルディアボウを構え、遠見の加護でノルが指差した辺りを確認した。
…………
…………
「あ! あそこ! 大型魔獣がおる!」
「え!? さっきまで大型の姿なんてなかったよね? エイル」
おれとレイナは……いや、あの場所で調査していた全員が驚いた。
ついさっきまで、あの溶岩原にいたのは普通の魔獣ばかりで、大型魔獣は一体もいなかったはず。
なのに今は、明らかに大きな魔獣の姿が見える。
どこから現れたんや……
「どういうことだ……忽然と現れたのか?」
バルガスさんも狐につままれたような顔をしている。
「忽然と現れるんやったら……」
おれは、その先の言葉を飲み込んだ。
『……この五日間、足取りを追ってきた意味ないんちゃうの……』
もし本当に何の前触れもなく現れるのなら、いくら痕跡を追ったところで見つけられるはずがない。
でも、それを口に出す気にはなれなかった。
この五日間、レイナやみんなが真剣に調査してきたことまで否定してしまうような気がしたからだ。
「お主ら!」
突然響いたノルの大声に、沈んでいた調査員たちが一斉に顔を上げた。
皆の視線を集めたノルは、腕を組み、堂々と宙に浮かんでいる。
「お主らが今までやってきたことは無駄ではないぞ!」
「今は一つ一つが繋がらずとも、調べて分かったことを積み重ねてゆけば、いずれ繋がる時がくる!」
「そうして少しずつ、全容が見えてくるものじゃ!」
徒労感に襲われていた調査員たちの顔に、再び生気が戻っていく。
さすがのノルやな。亀の甲より年の功とはよー言うたもんや!
「おい、エイルよ。きさま今、失礼なことを考えておらんかったか?」
なんで毎度毎度鋭いねんキミわ!?
「エイル……謝って?」
レイナ君! おれが失礼なこと考えてた前提で話進めんといて!?
「き、き、き、気のせいじゃないかなぁ……」アセアセ
「「ワハハハハハハハ!!」」
さっきまでの暗い空気は、一気に吹き飛んだ。
しかし、突然大型魔獣が現れたことに変わりはない。
今回の調査で集まったピースは、果たして一つに繋がるのだろうか。
遠くの火山からは、今ももうもうと噴煙が立ち上っている。
そしてそこから、目には見えない『何か』が溶岩原へと流れ続けていた。




