大型魔獣の痕跡
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エイル君の中身はこちらのオッサンのコピーで、
女神クララベル様はこのチャンネルのマスコットキャラクターの見た目を使った。という設定にしています。
AIは日本語としておかしくないか、誤字脱字がないかの校正作業で使用しております。
いよいよ旧王都島へ向かって調査団が出航する日が来た。
王宮の桟橋には、護衛船が二隻、調査船が三隻、そして大型の避難船『ヴァルノア』が出航を待っていた。
『ヴァルノア』は、災害時に被災者を安全な地域へ運ぶための大型避難船で、最大三百人ほど収容できるそうだ。
今回は、普段とは違う場所に現れた大型魔獣の調査ということもあり、陸上でのキャンプは危険と判断された。
そのため、寝泊まりできる船を持たない参加者たちは、ヴァルノア号を宿泊場所として利用するらしい。
他にも、夫婦らしき男女が乗った小型の参加船なんかもチラホラと見かける。
かなり大がかりな調査なのが、素人のおれでもわかる。
「こんな大がかりな調査に参加できるなんて……」
レイナは少し興奮しているようだった。おじさんもちょっとワクワクしてる。
「ほなエイル号の操縦は、まずレイナからいこか? はよ慣れたいやろ?」
「助かる」
レイナは操縦席へ乗り込み、おれが横で補助する感じで出航した。
グォン!
「わわっ! 馬力がすごいな、このエイル号は!」
あー、普段軽トラに乗ってるオッサンが、カウンタックとかに乗った時みたいになってるわ。かわいい♪
グロロロロロロ……
――でもこの娘、もう慣れちゃいましたね〜♪
――若いと覚えるのが早いんですね~、お父さん♪
湾から出る頃にはもう慣れてたわ……
若いってええなぁ。
こうしておれたちも船団に加わり、旧王都島へ向けて王泊をあとにした。
「娘、レイナと言ったか?」
「マリナがお昼をつくっておるぞ。ほれ、はよう来い」
「はっ、はい。ありがとうございます」
ノルはレイナにそう伝えると、ふらふらとマリナのところへ戻っていった。
「…………」
レイナはノルの後ろ姿をじーっと見つめている。
一瞬レイナの顔がふにゃっとなった気がした。
クール系に見えるけど、もしかしてレイナは可愛いもの好きなんか?
中身はお婆ちゃんみたいやけど、ノルも見ためちっこくて可愛らしいからな。
マリナとノルと三人で風呂に入るよう勧めたろかな。
どんな反応するんやろ?
おれは一人で操縦しながら、しょうもないことを考えていた。
前回大型魔獣と遭遇した場所の沖合へと到着した調査団は、三手に分かれて調査を開始した。
エイル号はマリナに任せ、そのまま沖合で待機。おれとレイナ、ノルはバルガス船へ合流した。
バルガス船は、前回大型魔獣と遭遇した地域の沿岸を洋上から調査する。
残る二隻の調査船は南と北西の半島へと分かれ、それぞれ海岸線に沿って調査を開始した。
「あそこ、木が倒れて道のようになっている!」
レイナが、前回大型魔獣と遭遇した海岸を指さした。
「ああ。あの奥から三メートル級の大型が追いかけてきたんだ。」
「!?」
バルガスさんの話を聞いたレイナは、驚いたように両手で口を覆った。
「あの時エイルが教えてくれなければ、おそらくおれたちはここにはいなかった……」
「それで……その大型は?」
「エイルが倒した」
その瞬間、レイナは顔が分身したのかと思うぐらいの勢いでおれを振り返った。
めっちゃ目ぇ見開いてるわ。元々大きい目がさらに大きなっとる。
……美人やなぁ。
「確かこれぐらいの距離だったよな、エイル」
今度は同じ勢いで、倒れた木々のほうを振り返った。
後ろ姿で見えんけど、たぶんまたあの大きな目を見開いとるんやろな。
「いや、ほら。レイナさんや? 風の精霊様のおかげやからね? 知ってるでしょ?」
「それでもすごいよ……」はぇー
同じ『はぇー』でも、レイナのはめちゃかわいいな。
「森をよく見ろ! 木や茂みが不自然に揺れているところがないか、注意して探してくれ!」
バルガスさんは船上の調査員たちに伝えた。
なるほど。森の一部だけ不自然に揺れていたら、大型魔獣が移動している可能性があるってことか。
森は火山へ向かって緩やかな上り斜面になっているため、洋上からでも森全体の様子はかなり奥まで見渡せる。
それでも前回は見落としていた。今回は洋上から慎重に観察をしなければ。
「ここが揺れていたぞ」
「もう少しこっちじゃなかったか?」
バルガスさんのもとへ、次々と目撃情報が寄せられた。
そのたびにバルガスさんは、机に広げた地図へ印をつけていく。
それからも場所を少しずつ移動しながら、森の観察を続けた。
やがて日が傾き、空が赤く染まり始めた頃――
「ここが前回発見した岩山……」
「不自然な木々の揺れは、それよりも奥ではあるな……」
初日の観察では、少なくとも海岸付近に大型魔獣がいる気配はなさそうだった。
調査を終えたバルガス船は、沖合で待機しているヴァルノア号へと横付けした。
船員たちが互いの船をロープで繋ぎ、波で船体同士がぶつからないよう間に防舷材を挟んでいく。
しっかりと固定されたのを確認すると、二隻の間に人ひとりが通れるほどの渡し板が架けられた。
「よし、順番に渡れ!」
波に合わせてわずかに上下する足元に気をつけながら、調査員たちは一人ずつヴァルノア号へと渡っていった。
「さ。ほな、おれらもエイル号へ戻ろか」
「うん♪」
おれとレイナは、バルガス船の舷側から下ろされた縄梯子を使い、水面近くにある乗り降り用の足場まで降りた。
「エイルさーん、レイナさーん♪」
マリナが操縦するエイル号が迎えに来て横付けすると、タイミングを見計らって飛び乗った。
こういう時、自宅が船って便利やなぁ……
バルガス船がヴァルノアから離れ、ほかの調査船と交代している。
おれたちの小型船は邪魔にならないよう、ある程度集まって停泊した。
「「いただきまーす♪」」
「しかしエイル、あんなのを倒したのか……」モグモグ
「だから……おれじゃなくて風の精霊様だから……」モグモグ
「あの魔核、すごい値段で売れたんですよ♪」モグモグ
「それでこの服を買ってもらったんです♪」
レイナは『はわわわ』みたいに口をぱくぱくさせながら、胸の前で両手をわきわきさせている。
なんやその動き。かわいいな。
「片付けしますのでエイルさん、先にお風呂すませてください♪」
「レイナ、先入ったら?」
「あ……いや、マリナを手伝うから……」
「ええやん、おれが手伝うしレイナ入りーな」
「い、いや! エイルが先でいい!」
妙に強く断るレイナ。
なんや? 遠慮せんでもええのに。
「……私が入ったあとのお湯に入られるのは、なんか恥ずかしい……」ボソリ
「お湯冷めるで?」
「そういうことじゃない! いいから先に入って!」
おれがおったら話しにくい女子トークでもあるんか? まぁええわ。
レイナたちと交代するため、おれはぱぱっと風呂を済ませた。
「あー、ええ湯やった♪ おさきー」
「じゃあレイナさん、お先にどうぞ♪」
「いやいや、マリナたちこそ先に……」
「もう三人で入ったらええやん。」
その瞬間、レイナの頭上に『ピシャーン!』と落雷が落ちたような気がした。
「そうじゃな」
「ほれ、レイナよ。はよう入ろうぞ」
レイナはガチガチになりながら、二人に連行されていった。
「ぶはははは! こりゃマリナよ! やめんか! ぶははは! レイナ! やめいと言っておろ――ぶははははは!」
大型魔獣に警戒しっぱなしだった調査一日目は、こうしてなんとも平和な笑い声とともに終わっていった。




