心のつかえ
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エイル君の中身はこちらのオッサンのコピーで、
女神クララベル様はこのチャンネルのマスコットキャラクターの見た目を使った。という設定にしています。
AIは日本語としておかしくないか、誤字脱字がないかの校正作業で使用しております。
初めてレイナと狩猟に出かけ、『狩猟の基礎の基礎』を教わったおれ。
あれからも何度か一緒に狩りへ出かけ、最近ではおれもだいぶ狩猟に慣れてきた。
魔核もそれなりに売れるし、討伐隊に参加すれば報奨金も出る。
これなら――そろそろ自活できるんちゃうやろか?
「クララベル様、ちょいと相談があるんですわ」
思えば、この世界に来てからのおれは、ずっと誰かの世話になってきた。
漂流している間は自分たちで生活していたし、立ち寄った島で狩った獲物の毛皮なんかを売ったこともある。
けど、それだけで生活できるほど稼いでいたわけではない。
ましてや国に滞在している間は、『女神様の使徒』だの『王を助けた恩人』だのと、何かと特別扱いされてきた。
ありがたい話ではある。
あるんやけど……
何ヶ月も腰を据えるとなれば、話は別や。
マリナは学校に通っているし、おれも討伐隊や狩猟で、まだしばらく王泊にいることになりそうや。
それならいつまでも王宮に飯を食わせてもらってるんやなくて、自分たちの生活費くらいは自分で稼ぎたい。
幸い、今ならそれができる。
もちろん、ヴェルディアたちの力を借りている部分は大きい。
索敵のおかげで危険な魔獣を避けられるし、獲物を探して無闇に島を歩き回る必要もない。
それでも、獲物の痕跡の見つけ方や近づき方、仕留めたあとの処理なんかは、レイナから教わりながら少しずつ身につけてきた。
まだまだ一人前の猟師とは言えんけど、自分たちの生活費を稼ぐくらいなら、なんとかなりそうや。
「そろそろ王宮の食客を卒業して、自分らで生活しようかなと思いましてね」
「もちろんここに骨埋めるとかそんなんと違ごて、数ヶ月ぐらい? の感じ」
「タダ飯食らいでは気ィ使うんですわ……」
クララベル様は優しく微笑んだ。
……なんか企んどるんと違うやろな?
――疑うんですか〜? 失礼ですね〜♪(ぷう〜)
――でも、いいと思いますよぉ〜♪ エイルさんの好きなように、この世界を満喫してください〜♪
「特等席で『中国株大損おじさん』を見るためにハメられたら、そら疑うやろ……」
ありがとう、クララベル様!
――おやおや〜? お口と心で言ってることが逆ですねぇ〜♪
あ、しもた……でも考えてること筒抜けやし変わらんか。
――ふふっ♪
夕食後のゆったりとした時間、エイル号のリビングで皆に切り出した。
「マリナ、学校の方は楽しい?」
「はい! 毎日みんなと会うのが楽しいです♪」
やっぱ、このぐらいの歳の子は友達と過ごす時間ってのが大事なんやな。めちゃいい笑顔やし♪
「もう何ヶ月かここに居る、ってことにしても大丈夫そう?」
「え、ほんとですか!?」
めちゃ目をキラキラさせてる。
よし、おじさん頑張るわ!
「それでな。いま、おれらは王宮で世話になってるやん?」
魔獣討伐隊のこともあるし、もうしばらく王泊に腰を据えたい。
そのためにも、自分たちの生活費くらいは自分で稼ぎたい。
そんな話を皆にした。
「飯はどうするつもりじゃ? マリナは学校に行っておろう? 友と過ごす時間も大切じゃぞ?」
そうなんよな。
放課後みんなと遊ぶ時間ってのも、大切な思い出になるやろうし……
「そこはまぁ、食堂とかあるし。なんとかなるやろ♪」
「でもエイルさん……無茶はしないでくださいね……」
マリナは心配そうな顔をしておれを見つめている。
最近は狩りにも慣れてきたとはいえ、一度は魔獣にやられて瀕死になったからな……
「マリナぁ? このワタシがついているのよぉ?」ドヤッ!
――ワタシの加護もついてますから大丈夫ですよ〜♪
「……はい」
マリナは頷いたものの、まだ少し心配そうや。
……まあ、そう簡単には安心できんよな。
「大丈夫! いざとなったら、ノルに頼むし!」
「『国王様にやっぱ無理でしたぁ~って頼んで!』って泣きつくし♪」
おれが『無理でしたぁ~』と情けない顔を作ると、マリナはフッと笑った。
「もう……ほんとに無茶しないでくださいね♪」
「はいよ♪」
「ほれマリナ、儂の出番まで日にちを勘定しておくのじゃぞ♪」ニヤニヤ
「もう、ノルったら♪」クスクス
あれ? なんでおれ、すでに失敗する前提なん?
ま、皆が納得してくれたみたいで良かったわ♪ おれは若干、納得いかん部分があるけど……
翌日――
おれとノルはガルディアス国王様たちに、自分たちで生活を始めたいと伝えに行った。
「生活費がどうこうという話ではない。こちらとしては、いつまででも滞在してもらって構わんのだ」
「食費などさしたる問題ではない。何百年でも出す! 妖精様が我が国に滞在してくださる。それがどれほど貴重なことか!」
何百年!? さすがに骨埋めるつもりは無いっちゅうとるやん……
でも――
おとぎ話に出てくるような存在と出会えるだけでも珍しいのに、その妖精が王家に滞在してくれている。
この国の歴史上でも、初めてのことなんやろな。
「ありがたい話なんですけど……せっかくここにしばらく住むんやったら、王宮の客としてじゃなく、普通にここの人らと暮らしてみたいんです」
「しばらく腰を据えたいからこそ、自分たちの生活費くらいは自分で稼ぎたいんです」
ガルディアス国王様が、なんとか引き留められないものかと考え込んでいると、サフィリア王妃が口を開いた。
「では、こういたしませんか?」
普段はおれたちの好きなように生活する。しかし、せめて週に一度くらいは王宮で一緒に夕食をしてほしい、と。
「「それなら……」」
ガルディアス国王様とおれがハモった。
お互い顔を見合わせ、つい笑ってしまった。
「ハハハ。ノル様、エイル殿。それでよろしいか?」
「儂はそれでよいぞ?」
「おれもです!」
こうしておれたちは、ここヴァルネシア王国で新たな生活を始めることになった。
しばらくの間やけど、王宮の食客ではなく、この国で暮らす一人として。
実際のところ、明日から何かが大きく変わるわけではない。
マリナは学校へ。
おれは狩猟や討伐隊へ。
そして時々、王宮のみんなと飯を食う。
今までと、そんなに変わらん気もする。
それでも、ずっと心のどこかに引っかかっていた『世話になりっぱなし』というつかえが取れて、なんだか気持ちが軽くなった。
さて――
明日からは『客』やなくて、この国で暮らす一人や。
もうしばらく、この王泊での暮らしを楽しませてもらおう♪
旅を再開するのは――それからでも遅くないやろ。




