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C-Raft(クラフト) ~女神に放り込まれたおっさん、筏一つで沈みゆく世界を巡る~  作者: nico
第六章 波上の楼閣(はじょうのろうかく)
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心のつかえ

youtubeでゲーム実況をおこなっております!

https://www.youtube.com/@nico_channel_

エイル君の中身はこちらのオッサンのコピーで、

女神クララベル様はこのチャンネルのマスコットキャラクターの見た目を使った。という設定にしています。

挿絵(By みてみん)

AIは日本語としておかしくないか、誤字脱字がないかの校正作業で使用しております。



 初めてレイナと狩猟に出かけ、『狩猟の基礎の基礎』を教わったおれ。



 あれからも何度か一緒に狩りへ出かけ、最近ではおれもだいぶ狩猟に慣れてきた。


 魔核もそれなりに売れるし、討伐隊に参加すれば報奨金も出る。



 これなら――そろそろ自活できるんちゃうやろか?





「クララベル様、ちょいと相談があるんですわ」





 思えば、この世界に来てからのおれは、ずっと誰かの世話になってきた。



 漂流している間は自分たちで生活していたし、立ち寄った島で狩った獲物の毛皮なんかを売ったこともある。


 けど、それだけで生活できるほど稼いでいたわけではない。


 ましてや国に滞在している間は、『女神様の使徒』だの『王を助けた恩人』だのと、何かと特別扱いされてきた。



 ありがたい話ではある。


 あるんやけど……


 何ヶ月も腰を据えるとなれば、話は別や。




 マリナは学校に通っているし、おれも討伐隊や狩猟で、まだしばらく王泊《おうはく》にいることになりそうや。


 それならいつまでも王宮に飯を食わせてもらってるんやなくて、自分たちの生活費くらいは自分で稼ぎたい。



 幸い、今ならそれができる。



 もちろん、ヴェルディアたちの力を借りている部分は大きい。


 索敵のおかげで危険な魔獣を避けられるし、獲物を探して無闇に島を歩き回る必要もない。


 それでも、獲物の痕跡の見つけ方や近づき方、仕留めたあとの処理なんかは、レイナから教わりながら少しずつ身につけてきた。


 まだまだ一人前の猟師とは言えんけど、自分たちの生活費を稼ぐくらいなら、なんとかなりそうや。





「そろそろ王宮の食客を卒業して、自分らで生活しようかなと思いましてね」


「もちろんここに骨埋めるとかそんなんと違《ち》ごて、数ヶ月ぐらい? の感じ」



「タダ飯食らいでは気ィ使うんですわ……」



 クララベル様は優しく微笑んだ。


……なんか企んどるんと違《ちゃ》うやろな?



――疑うんですか〜? 失礼ですね〜♪(ぷう〜)


――でも、いいと思いますよぉ〜♪ エイルさんの好きなように、この世界を満喫してください〜♪



「特等席で『中国株大損おじさん』を見るためにハメられたら、そら疑うやろ……」


 ありがとう、クララベル様!



――おやおや〜? お口と心で言ってることが逆ですねぇ〜♪


 あ、しもた……でも考えてること筒抜けやし変わらんか。



――ふふっ♪





 夕食後のゆったりとした時間、エイル号のリビングで皆《みんな》に切り出した。



「マリナ、学校の方は楽しい?」


「はい! 毎日みんなと会うのが楽しいです♪」


 やっぱ、このぐらいの歳の子は友達と過ごす時間ってのが大事なんやな。めちゃいい笑顔やし♪



「もう何ヶ月かここに居る、ってことにしても大丈夫そう?」


「え、ほんとですか!?」


 めちゃ目をキラキラさせてる。


 よし、おじさん頑張るわ!




「それでな。いま、おれらは王宮で世話になってるやん?」



 魔獣討伐隊のこともあるし、もうしばらく王泊に腰を据えたい。


 そのためにも、自分たちの生活費くらいは自分で稼ぎたい。



 そんな話を皆《みんな》にした。




「飯はどうするつもりじゃ? マリナは学校に行っておろう? 友と過ごす時間も大切じゃぞ?」


 そうなんよな。


 放課後みんなと遊ぶ時間ってのも、大切な思い出になるやろうし……




「そこはまぁ、食堂とかあるし。なんとかなるやろ♪」



「でもエイルさん……無茶はしないでくださいね……」


 マリナは心配そうな顔をしておれを見つめている。


 最近は狩りにも慣れてきたとはいえ、一度は魔獣にやられて瀕死になったからな……



「マリナぁ? このワタシがついているのよぉ?」ドヤッ!


――ワタシの加護もついてますから大丈夫ですよ〜♪



「……はい」


 マリナは頷いたものの、まだ少し心配そうや。


 ……まあ、そう簡単には安心できんよな。




「大丈夫! いざとなったら、ノルに頼むし!」


「『国王様にやっぱ無理でしたぁ~って頼んで!』って泣きつくし♪」


 おれが『無理でしたぁ~』と情けない顔を作ると、マリナはフッと笑った。



「もう……ほんとに無茶しないでくださいね♪」


「はいよ♪」



「ほれマリナ、儂《わし》の出番まで日にちを勘定しておくのじゃぞ♪」ニヤニヤ


「もう、ノルったら♪」クスクス



 あれ? なんでおれ、すでに失敗する前提なん?


 ま、皆《みんな》が納得してくれたみたいで良かったわ♪ おれは若干、納得いかん部分があるけど……





 翌日――


 おれとノルはガルディアス国王様たちに、自分たちで生活を始めたいと伝えに行った。



「生活費がどうこうという話ではない。こちらとしては、いつまででも滞在してもらって構わんのだ」


「食費などさしたる問題ではない。何百年でも出す! 妖精様が我が国に滞在してくださる。それがどれほど貴重なことか!」



 何百年!? さすがに骨埋めるつもりは無いっちゅうとる(ていってる)やん……



 でも――


 おとぎ話に出てくるような存在と出会えるだけでも珍しいのに、その妖精が王家に滞在してくれている。


 この国の歴史上でも、初めてのことなんやろな。




「ありがたい話なんですけど……せっかくここにしばらく住むんやったら、王宮の客としてじゃなく、普通にここの人らと暮らしてみたいんです」



「しばらく腰を据えたいからこそ、自分たちの生活費くらいは自分で稼ぎたいんです」



 ガルディアス国王様が、なんとか引き留められないものかと考え込んでいると、サフィリア王妃が口を開いた。



「では、こういたしませんか?」



 普段はおれたちの好きなように生活する。しかし、せめて週に一度くらいは王宮で一緒に夕食をしてほしい、と。



「「それなら……」」


 ガルディアス国王様とおれがハモった。


 お互い顔を見合わせ、つい笑ってしまった。


「ハハハ。ノル様、エイル殿。それでよろしいか?」



「儂《わし》はそれでよいぞ?」


「おれもです!」




 こうしておれたちは、ここヴァルネシア王国で新たな生活を始めることになった。


 しばらくの間やけど、王宮の食客ではなく、この国で暮らす一人として。



 実際のところ、明日から何かが大きく変わるわけではない。



 マリナは学校へ。


 おれは狩猟や討伐隊へ。


 そして時々、王宮のみんなと飯を食う。



 今までと、そんなに変わらん気もする。


 それでも、ずっと心のどこかに引っかかっていた『世話になりっぱなし』というつかえが取れて、なんだか気持ちが軽くなった。



 さて――


 明日からは『客』やなくて、この国で暮らす一人や。


 もうしばらく、この王泊での暮らしを楽しませてもらおう♪


 旅を再開するのは――それからでも遅くないやろ。

第六章 波上(はじょう)の楼閣《ろうかく》

砂上の楼閣――脆い基盤の上に築かれ、やがて崩れるもの。

波上の楼閣――もっと脆い場所に築かれ、それでも何度でも立ち上がるもの。


66話までの話の舞台は大体ここらへんのイメージです。(AI作成イラストに加筆)

↓

挿絵(By みてみん)

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