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C-Raft(クラフト) ~女神に放り込まれたおっさん、筏一つで沈みゆく世界を巡る~  作者: nico
第六章 波上の楼閣(はじょうのろうかく)
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この上ない収獲

youtubeでゲーム実況をおこなっております!

https://www.youtube.com/@nico_channel_

エイル君の中身はこちらのオッサンのコピーで、

女神クララベル様はこのチャンネルのマスコットキャラクターの見た目を使った。という設定にしています。

挿絵(By みてみん)

AIは日本語としておかしくないか、誤字脱字がないかの校正作業で使用しております。



「ぶははは! こりゃマリナ! 自分で洗えると言っておろうが! ぶははははは!」


 マリナはお風呂で、ノルをお人形感覚で洗ってるんやろな。



「まったく、ひどい目に遭ったわい♪」ホカホカ


 ノルがふらふらと飛んできた。その割に楽しそうやね?



 リエラとレイナが帰ったあと、おれたちは緊急会議を開かねばならなかった。

 そう、レイナに弓の性能をどう説明するかを。


 近いうちにレイナと一緒に狩りへ行くことになったからだ。



「そんなのぉ、精霊の加護で構わなくなぁい?」



「弓の威力とか、ヴェルディアの索敵はそれで誤魔化せるけどな」


「まあほぼ確実にやけど『弓を試射させてほしい』って話になるやろ?」



「エイル以外だとぉ、弓の精霊紋は使えないわよぉ?」


「あ、そうなん?」



「このワタシがぁ、認めた相手にしか使わせないものぉ♪」ドヤッ!


「あー、そっかー。ほなそこまで心配することなかったな」



「そっかー、気に入ってくれてるんや」ボソッ


「もうっ! おばかさぁん! おばかさぁん!」ポカポカ!


「いてて、ごめんて……」



 インベントリも……まあ、『収納の加護が掛かったカバンです』で押し通せるやろ。たぶん。





 それから数日後――


 おれはいよいよ、レイナと狩りに出かけることになった♪




「おはようエイル、準備はできてるか?」


 日の出前にレイナがエイル号へと迎えに来た。


 うん、相変わらずクール系美人やな。



「おはようレイナ。今日はどこまで出かけるの?」



「王泊から西にある島だ。そう遠くはない」



 その島にはすでにレイナが罠を仕掛けてあり、ここ数日は毎日、様子を確認しに行っているらしい。





 ブォォォォン!


 レイナの船で島へ向かう途中、おれは狩猟についていくつか聞いてみることにした。




「そ、そういえばヴァルネシアで猟をするときにさ、守らなきゃならないルールとかあったら教えてほしいんだけど……」


「ほら、地域によってルールとか違うやろし」



――ここ以外のルールなんて、エイルさん知ってましたっけ〜?


 クララベル様は片腕を組み、人差し指を唇に当てて「う〜ん?」とでも言いたげに宙を見上げる。


 そして何かに気づいたように、ポンッと手を叩いた。


――あ、美人さんだから見栄を張ってるんですね〜♪ わかりました〜♪


 満面の笑顔。


 なんですかね? その白々しい小芝居。

 てか、なんで付いて来てるんですかね?




 レイナによると、狩りで島に入っている間は、船を必ず桟橋に停泊させておく決まりらしい。



 桟橋に船がなければ、あとから来た猟師は『この島には誰もいない』と判断する。


 その状態で狩りを始めれば、獲物を狙った矢が別の猟師の近くへ飛んでいく――なんて事故にもなりかねない。



 なるほど。桟橋に停めてある船が『ただいま入山中』みたいな目印になってるわけか。



 他にも細々としたルールはあるが、船を桟橋に停めることだけは必ず覚えておくように言われた。





 島の森へ入ると、レイナが先頭に立った。



 足音を立てないよう、ゆっくり、ゆっくりと進んでいく。


 歩幅も自分の足の大きさほどしかない。



 しばらく歩いては立ち止まり、周囲の音に耳を澄ませ、また歩く。



 うっかり枯れ枝を踏み、『パキッ』と音を立ててしまったときも、その場で立ち止まり、じっと周囲の音に耳を澄ませていた。




 はぇ~、これがプロの猟師の歩き方なんや。


『エイルぅ〜、サッサと進みなさいよぉ♪』


『ここら辺には居ないわよぉ♪』


 プロの技を見て習《なら》っとんねん!



『ちょっとぉ、聞いてるぅ?』


「今は勘弁して……」ボソッ


『わかったわよぉ……』シュン




「エイル、どうした?」


 レイナが小声で話しかけてきた。



「かっ、風の精霊様が話しかけてきて……」アセアセ


「風の精霊様!?」


 レイナがギョッとしながら囁いてきた。




「もしかして凄腕の斥候とはエイルのことか!?」ボソボソ



「そ、そうなのかなぁ〜?」目が泳ぐ



「まさか同一人物だったとは……」




「い、いや、おれは風の精霊様に頼りっきりだったから……」


「だから、レイナの索敵のやり方がすごく勉強になってて……ちゃんとした狩りのやり方を教えてもらいたかったんだ」


「その……黙ってて、ごめん」



「そうだったのか……」




 それからしばらくは、レイナが解説を交えながら歩き方を教えてくれた。



 獲物に近づくときは、ゆ〜〜っくりと。決して急な動きをしない。


 ほかにも、魔獣以外の獲物は狩り尽くさない。子連れは撃たない――などなど。



 おれが知らなかった、猟師としての基本をいろいろと教えてもらった。





 先頭を歩いていたレイナが、不意に立ち止まった。


 そして振り返ると、おれにハンドサインを送る。



『魔獣』『二匹』『この先にいる』



 おれも小さく頷いた。


 そこからはさらに慎重に、ゆっくり、ゆっくりと距離を詰めていく。



 やがて木々の隙間から、二匹の魔獣が見えてきた。


 レイナが一匹を指差し、次に自分を指差す。

 そして、もう一匹を指差してからおれを見る。



 なるほど。右はレイナ、左がおれやな。


 おれたちはそれぞれ弓を構え、狙いをつける。


 あとはレイナの合図を待つだけ。



「3……2……1……」


 囁くようなカウントダウン。



「ゼロ」



 同時に矢を放つ。


 ドドッ!!



 二本の矢はほぼ同時に魔獣へと命中した。




 しばらく様子を見てから近づき、二匹から魔核を回収した。





「おれが初めて、ちゃんと猟師らしく狩って手に入れた魔核……」シミジミ


 そう思うと、なんか普通に売るのが勿体なくなってきたわ。




「あ、せや! レイナ、これ授業料や。貰って!」


「え? な、な、な、なんで!?」


 なんで驚いてんの?



「いや、ちゃんと狩りをして獲れたのは、やっぱレイナのおかげやん?」



「レイナにもらって欲しいねん!」ニッコリ



「あ……りがと……」目そらし


 なんやろ、レイナが気まずそうなんやけど……



――加齢臭……ですかね〜♪


 加齢臭!? 魔核渡しただけやん!


 てかなんで鼻つまんでんの? なあ?




『エイルぅ〜、ワタシ暇なんですけどぉ?』


『暇ぁ、暇ぁ、暇ぁぁ〜』


「あーもう、わかったから……」ボソボソ




「レイナ、精霊様が暇してるらしいから、索敵やらせてもろてええか?」



「せ、精霊様が……暇……?」


「も、も、もちろんだ!」アセアセ



 結局その日の収穫は、魔核九個となった。


 レイナのおかげで、狩猟の基礎の基礎を教えてもらえた。



 おれにとっては魔核の数以上の、この上ない収穫やった。

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