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C-Raft(クラフト) ~女神に放り込まれたおっさん、筏一つで沈みゆく世界を巡る~  作者: nico
第六章 波上の楼閣(はじょうのろうかく)
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魔獣駆除

youtubeでゲーム実況をおこなっております!

https://www.youtube.com/@nico_channel_

エイル君の中身はこちらのオッサンのコピーで、

女神クララベル様はこのチャンネルのマスコットキャラクターの見た目を使った。という設定にしています。

挿絵(By みてみん)

AIは日本語としておかしくないか、誤字脱字がないかの校正作業で使用しております。



 王泊《おうはく》――


 旧王都があった大きな島は、火山の噴火によって人が住めなくなった。

 そのため王族を含む生き残った住民たちは、皆この群島へと移り住んできた。


 今のこの地を『王泊《おうはく》』と呼ぶのは、『王都』と呼ぶ場所はご先祖様が暮らしたあの地だけだという想いかららしい。

 そしてそこには、いつかまたあの地へ戻りたいという願いも込められている。



「あのデカい火山。あの麓《ふもと》にヴァルネシア王都がある」


「今は火山の他に、魔獣もうようよいて近寄れねぇ……」


 バルガスは物悲しそうにそう言った。




 おれはバルガスたちと共に、周辺の島まで魔獣調査に来ていた。



 王泊《おうはく》の畑を荒らした魔獣はすでに退治された。


 しかし、海を渡ってやって来たのなら、周辺の島々にもまだ生息しているはずだ。



 今のうちに数を減らしておけば、王泊までやって来る魔獣も少なくなるだろう。


 バルガスたちは王泊の被害を減らすため。

 おれは小遣い稼……いや、世話になっている王泊のために力になりたいと志願した。



 上陸したおれたちは、さっそく周囲の調査を始めた。


 まずは足跡や爪痕、糞など、魔獣が残した痕跡を探すようバルガスに指示された。




「こっちに糞あったで!」


「そりゃ野ウサギのだ。魔獣のはもっと大きいし黒い」


「はぇ~そうなんや。」




 部隊は二班に分けられた。


 斥候を含む先行偵察隊と、少し離れてその後を追う本隊の二班だ。


 おれは初めての魔獣狩りに緊張しながら、本隊とともに森の中へと入っていった……





『ちょっとエイルぅ〜、ちゃんと稼げてるかしらぁ♪』



「まだ始まったばっかやのに稼げてるとかないやろ」ボソボソ


「周りの人に『独りごと言ってる変な奴』って思われるから、あんま返事は出来んで!?」ボソボソ


『わかったわよぅ……』シュン……





『それでねぇ、ララったらぁ……』


 なんやろうこの、『付き合ってる女性の愚痴電話を、ベッドでうつらうつらしながら聞かされている』みたいな感じは。


 イヤホン外しといたろ……(スッ……)



『…………』


『…………?』


『……!!』


 ズボッ!


『ちゃぁんと聞いてるのかしらぁ!!』キーッ!


 イヤホンを耳に突っ込んできよった。愚痴から逃げられん……





 あ、斥候二人が森に消えてった。先行偵察するんかな?



「ほんま勘弁してください、魔獣の足音とか聞こえんのですわ」ボソボソ



『魔獣なぁんて、まだまだ先かしらぁ♪』


「は? 見えてんの?」ボソッ


『私はぁ世界樹の精霊よぉ♪』



『私の枝から作ったその弓があるところならぁ、周りの草木を使って様子ぐらい分かるわよぉ♪』


「まじすか!?」ボソッ



『あの岩の向こぉ、十匹ぐらいいるわよぉ♪』


 岩……あれか!




「エイル、おめえなにボソボソ言ってんだ? 集中しろ。」


 バルガスが声を潜めて注意してきた。



「かっ、風の精霊様に話しかけられてて……」ボソボソ


「あの岩の向こうに十匹ぐらい魔獣がいるって……」ボソボソ



「風の精霊……?」


 バルガスは『何言ってんだコイツ?』みたいな顔をした。そらそういう反応やろな。




 毎度毎度、風の精霊様ごめんなさい!


〜ファサッ♪


 どこからともなくそよ風が吹いて、頭を撫でられた。





 しばらくして、先ほどの斥候二人が戻ってきた。



「岩の向こうに魔獣が十匹ほどいる。戦闘準備!」


 斥候が小声で報告した。


「…………!?」


 ギョッとした目でバルガスがおれを見た。



 まじやん! やるやんけヴェルディア!





 魔獣の群れ退治の作戦は――


 人数の多い本隊は岩の左側、先行偵察隊は右側に回り込む。


 そして本隊が岩の左側から一斉射撃。仕留め損ねて右側へ逃げた魔獣を、待ち伏せしている先行偵察隊が仕留める。


 挟み撃ちにする作戦だ。



「石を投げて気をそらす。合図したら一斉射撃だ。構えろ」



 バルガスが石を放り投げる。



 石は群れの頭上を越え、その向こうの茂みへ落ちた。


 ガサッ!


 一斉に魔獣が音のした方へ振り向く。



「てーっ!」



 一斉に放たれた矢が、魔獣の群れへと降り注ぐ!


 よっしゃ! 当たった!


 おれの矢は一匹の胴体に当たった!


 ヘッドショットじゃないけど、一発で仕留められたわ!

 やっぱこの弓、威力おかしいよな……



 倒れた魔獣が動き出さないかを注意しながら近づいて魔核の剥ぎ取りや。


 魔獣の額に埋まった魔核をつまんで持ち上げると、蜘蛛の糸のようなものが何本も伸びていた。



「うわっ、なんやこれ……」



 ナイフで糸をザクザクと切り、魔核を剥ぎ取る。


 すると――


 魔核を失った魔獣の身体は、黒い煙となって霧散していった。





「エイルよ、初めてにしては上出来じゃねえか!」


「それにしてもよ、ホントに風の精霊様の声が聞こえるんだな」



『崇《あが》め奉《たてまつ》りなさぁい♪』ドヤッ!


 鼻高々にドヤッてるヴェルディアの姿……見んでも脳裏に浮かんできたわ。





 その後《あと》もおれたちは討伐を続けた。



「あそこ、一匹だけおるな」ボソッ


『その先に六匹いるわよぉ♪』



「バルガスさん、あの一匹の先に六匹いるそうです。」ボソボソ


「よし、回り込もう!」ボソボソ



 ヴェルディア、大活躍やで。




 またしばらく進むと――



「数が多いな。二つの群れが合流したか?」


 十五匹ほどの大きな群れが見つかったり、群れからはぐれた一匹がいたり。



 最終的に、三十匹分ほどの魔核が取れた。



『とりあえずは、ぜぇんぶ狩れたみたいよぉ♪』


「バルガスさん、この島の魔獣は駆除完了したらしいです!」



「そうか! じゃあ少し早いが引き上げるか!」



 まだ日も赤くならないうちに、おれたちは撤収作業に入った。



「エイルよ。今日は大活躍だったな!」


「いつもより索敵が捗って助かったぜ!」



 討伐隊のみんなも喜んでくれた。



 ヴェルディアのおかげで、この小島の魔獣は残さず駆除出来たようだ。


 これで王泊へやって来る魔獣も、少しは減るやろ。



 ちなみに、本日のおれの取り分は魔核三つだった。魔導エンジンは一つあれば当分いらんし、予備に取っとく分とで一つぐらいは売っても良いかな。



「エイルよ。魔核はちゃんと密封できる箱に入れとくんだぞ」


「え? なんで?」


「放っとくと、また魔素を集めて魔獣化することがある」


「マジで!?」


 筏で魔獣発生とか怖すぎやろ。くわばらくわばら……





 しかし今日はヴェルディアが想定外の大活躍やったな!


 その分うるさかったけど……




 筏に帰ったおれは、クララベル様たちに弓のお礼を伝え、みんなにヴェルディアが大活躍だったことを話した。


 ヴェルディアは鼻高々だった。うん、想像した通りの顔とポーズや。



 ヴェルディアの索敵能力の高さを知って、マリナもホッと一安心《ひとあんしん》していた。


「ヴェルディアさんが一緒なら、安心ですね♪」


「そうでしょぉ♪ もっと褒めなさぁい♪」



「これから狩りに行く時はぁ、ちゃぁんと私を連れて行きなさいよぉ♪」


「はいはい。頼りにしてますよ、ヴェルディア様」


「もっと崇《あが》め奉《たてまつ》りなさぁい♪」ドヤァ♪



……愚痴電話を除けば、最高の索敵役なんやけどな。

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