いつもの味
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エイル君の中身はこちらのオッサンのコピーで、
女神クララベル様はこのチャンネルのマスコットキャラクターの見た目を使った。という設定にしています。
AIは日本語としておかしくないか、誤字脱字がないかの校正作業で使用しております。
このダークエルフのヴァルネシア王国は、王族も含め、火山活動によって故郷を追われた人々の国だった。
住める土地が少ないからこその海上生活。 限られた大地のほとんどを畑や放牧地として使っているのも、そのためだった。
そんな過酷な境遇でも逞しく生きている彼らを見ていると、ほんま強い民族やなと思う。
「よーし! 今日は上がりだ! エイル、飲みに行くぞ!」
彼の名前はガレス。漁を手伝うようになって仲良くなり、飲みに行くようになったオッサンだ。ま、おれも中身オッサンやけど……
筋骨隆々の厳つい見た目は、前におれとマリナを誘拐した海賊にちょっと似ている気もする。
まあ、まったくの別人やけどな。だって耳長いし。
「だからよ! オメェ最初はこーんな顔してへばってたじゃねえか♪」
ガレスが『こーんな』で変顔。いろんな人に変顔されるけど、ホンマにンな変な顔してるんか!?
「やかましい! そんな顔しとらんわ!」
「「ワハハハハハ!!」」
「おっ、エイル。お前も来てたのか」
彼はダグ。桟橋の修理の時に仲良くなった大工の親方だ。このオッサンも港の酒場によく顔を出す。
いろいろな仕事を手伝っているお陰で、この王泊での顔馴染みが随分と増えた。
彼らは筏住宅に家族と住んでいるのだが、酒を飲むと船の運転は禁止されているため、帰りは家族に迎えに来てもらうか、『送船』と呼ばれる、いわゆる水上タクシーを使っている。
「アンタいつまで飲んでんだい! とっとと帰るよ!」
「イテテテ! わかったよカアチャン!」
ガレスは見た目は厳つくて豪快なのだが、奥さんには頭が上がらないらしく、迎えに来た奥さんに長い耳がさらに長くなりそうなぐらい引っ張られて早々に帰っていった。
「じゃ、また明日ー」
「またなー!」
おれは送船に乗り合いしたダグを見送り、エイル号に入ろうと扉をソロリと開けた。
カチャリ……
さすがにこの時間は、もうマリナもノルも寝ているので音を立てないようにしなければ。
――午前様ですか〜。おかえりなさいませ~♪(ボソリ)
ビクゥゥッ!!
「び、び、び、びっくりするじゃないですか! クララベル様!!」ボソボソ
――ふふっ♪ 遅くまでご苦労さまです〜♪
「つ、つ、つ、付き合いというものが……」ボソボソ
真っ暗な中、突然後ろから声をかけられて驚かされる。
そんなことすら日常になってきた、ある日のこと。
「また魔獣がやってくる頃になったか……」
手伝いに行った畑で、ロッカたちが話していた。
ロッカは畑仕事で知り合った男だが、彼の畑の柵が壊されて作物が荒らされていた。
「ここにも魔獣出るん!?」
妖精の森で魔獣に噛まれて瀕死になったこともあり、おれは思わずたじろいだ。
「なーに、臆病な奴らだから襲ってくることはねえよ」
「その代わり、噛まれたらヤバいけどな」
リュミエルも言っていたが、噛まれた傷口には魔素がまとわりつき、傷口がなかなか塞がらなくて厄介らしい。
あの時リュミエルは星露草の汁を軟膏に混ぜて治療してくれたが、基本的には世界中に自生している命脈草の汁を傷薬に混ぜて使うそうだ。命脈草を探してインベントリに入れとかなきゃ……
「その代わりよ、あいつら魔核持ってるから、いい小遣い稼ぎになるぜ?」
「詳しく聞こうか」劇画調の顔
魔核は魔導エンジンの燃料などに使われている。元の世界でいう『化石燃料』みたいな感じだ。
魔核を破壊して倒すと、魔獣の身体はそのまま魔素となって消えてしまう。
だが魔核を傷つけずに仕留めれば、身体が消える前に魔核を取り出せるそうだ。
魔核を抜かれた身体は、やがて魔素となって拡散し、跡形もなく消えるらしい。
拡散し消えた時に、胃の中のモノとか腸のウ○コとかはどうなるんやろ? などと、どうでも良いことをおれは考えていた。
狩りにはクロスボウを使うそうなので、
「ちょっと練習して、使えそうなら買いに行くわ」
などと適当な理由で借りてリサーチボックスに放り込んでみたら、クロスボウのレシピが開放されて自分で作れるようになった。
人気のない、見晴らしのいい場所で試し打ちしてみた。
クロスボウは狙いが安定する反面、撃つたびに弦を引いて矢をセットし直すため、連射が利かない。
「一人で狩りする場合は外したら命取りやな……」
――ボッチのエイルさんには向かないってことですかね〜♪
「飲み友達ぐらいおるわ!」
まぁよっぽどのことがない限りは一人で戦わんようにしよ……
港の桟橋に係留したエイル号に戻ると、マリンが横付けして係留してあった。
「あれ、マリナおるの?」
ガチャリ
「〜♪」コネコネ
扉を開けると、ニコニコしたマリナが鼻歌を歌いながら肉をこねて丸めていた。
なんでも、『久しぶりにマリナのはんばーぐを食いたいのう……』とノルが独り言をこぼしているのを聞いたので、今夜は王宮の食事をお断りしてハンバーグを作ることにしたらしい。
たしかに……
王宮の食事は旨い。さすがの味だ。
しかしマリナの食事はおれたちにとって、いわゆる『おふくろの味』になっていた。
おれも久しぶりにマリナの料理の味を思い出したら、グ〜ッっとお腹が鳴ってきた。
――いいですね~♪久しぶりにマリナの食事が食べられるのは楽しみです〜♪(ルン♪)
「楽しみじゃのう♪」ルン♪
「おやさいもぉ、おねがいよぉ?」ルン♪
なんやかんやみんな楽しみでワクワクしてるわ。
食事をしながら、ここら辺にも魔獣が出て、畑が荒らされていたことを話した。
「物騒じゃのう……」
「いや、それがそうでもないんよ」
額の魔核を破壊せず倒すと魔核が取れるので、『いい小遣い稼ぎになる』ぐらいの軽い反応だったことを話した。
「いい小遣い稼ぎになるのなら、おれも教えてもらおうかな……」
「エイルさん、危ないです……」
マリナが心配そうな顔をしている。
「いや、無理そうならせんよ? ちょっとでもごはんが豪華になったらエエかなーと思って考えただけやし」
――「「……」」ピクッ
「じゃあ私がぁ、世界樹の枝でぇ、弓を作ってあげてもよろしくてよぉ♪」ドヤッ!
「ならば儂が、風の精霊紋で矢の威力を上げてやるかのう♪」ドヤッ!
――ワタシは『遠見の加護』をつけますね〜♪(ドヤッ!)
君ら食欲のために何を作ろうとしてるんや?
「すみません……風の精霊さま。こんなことでお力を貸すハメになっちゃって……」
どこからともなく風が吹いて、そよ〜♪と頭を撫でられた気がした。
久しぶりにいつもの仲間だけで囲む食卓。
ワイワイと賑やかな笑い声の中、王泊の夜は更けていった。




