王泊(おうはく)
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エイル君の中身はこちらのオッサンのコピーで、
女神クララベル様はこのチャンネルのマスコットキャラクターの見た目を使った。という設定にしています。
AIは日本語としておかしくないか、誤字脱字がないかの校正作業で使用しております。
ラウリエル王国を出てから、もう三か月近くが経っていた。
その間、小さな島で食料を補給したり、嵐を避けたり……
ヴェルディアという新しい住人が増えたり、筏の妙な序列が判明したり、妖精と精霊の意外な関係を知ったり……
まあ色々あったが――
一番は水事情がかなり改善されたことだった。ヴェルディア偉い!
そんなこと口に出して言ったら、
「エイルぅ、もぉっと崇め奉りなさぁい♪」ふんす!
などと調子に乗って、あれこれ指図してくるのが目に見えてるから言わんけどな!
そんな日々を送りながら、おれたちは相変わらずのんびりと海を漂っていた。
今日もいつものようにのんびり漂流していると、先ほどからノルが地図を見ながら首を傾げていた。
「おい、どうしたんや? ノル。」
「さっきからの、おかしいのじゃ。」
ノルは地図と、その横に置かれたコンパスを交互に見ている。
「この地図のな、この辺りにいたのは確認したのじゃが……」
世界地図の島々は、ドーナツのようにぐるりと並んでいる。
おれたちは並ぶ島々の十二時の辺りを越え、ダークエルフ領がある一時の方向へ向かっていた――はずだった。
「昨日までは、こっちへ進んでおったじゃろ?」
ノルが地図の上を指でなぞる。
「羅針盤も昨日まではちゃんと北を指しておった。それが今朝から、こっちを向いたり、あっちを向いたり……」
コンパスを見る。
「さっきまで西を指しておったのに、今は東じゃ。」
「…………」
「壊れたんちゃうん?」
「じゃがのう……」
ノルがコンパスを手に取る。
その針は小刻みに揺れながら、なんとも頼りなさそうに方角を示していた。
「うーん……でもおれらは、どこ目指しとるってわけでもないしエエんちゃうの?」
「風の向くまま、潮に流されるまま、のんびり行ったらエエんちゃうけ?」
「そうじゃがのう……」
脳天気なおれとは対照的に、ノルは不安な顔をしていた。
「あれ? 水平線のあそこに煙出とる火山あるやん?」
「あるのう。」
「朝は斜め左方向にあったのに、今は真正面にある。」
「……おれら、いつの間に火山の方へ向いとったん?」
おれは手で顎をつまみ火山をみつめていた。
エンジンも使っていない。
つまり――潮に流されている。
『バミューダトライアングル』
なんて言葉が脳裏に浮かんだ。
たしかあれ、今じゃ「別にそんな不思議な場所ちゃうで」って話になってた気もするけど……
実際こんな海域に放り込まれると怖いもんは怖い。
水も食料も野菜もあるし、まぁなんとかなるやろうけど……
火山の方向に流されていると、一隻の船が見えてきた。
船は警笛を鳴らしながらおれたちに近づいてきた。
なんか海賊っぽい男の姿が見える……
念のため、おれはマリナたちに隠れているよう指示した。
「おい、大丈夫か? さっきから妙な流され方してるぞ。燃料が切れたのか?」
船から髭を生やした男が話しかけてきた。
髪は白っぽいグレー、耳が尖っているし肌色から判断してダークエルフか?
でもリゼさんより濃い肌色やな。
「すみません、なんか迷った……」
「いや、行き先は特に無いし、迷ってるって言うのもアレやけど……」
「おれはエイルっていいます。 なんか地図とコンパスが変なんで、どうしようかなと……」
「ここで羅針盤だと? 使いもんにならんぞ。」
「俺はバルガス。火山の監視をしている者だ。」
海賊のような男の名前はバルガス。
この辺りの島には磁鉄鉱を多く含む火山がいくつもあり、場所によっては羅針盤がまともに使えなくなるらしい。
担当区域にある各火山の監視員から報告書を受け取り、今から王泊?へ帰る途中だったそうだ。
「行くあてがないなら、王泊に寄ってくか?」
「補給できる商店もあるぞ?」
せやな……今どこにいるかもわからんし、土地勘……海やから海勘? 知らんけど。
ま、それがある人に頼ったほうがエエな。
「いまどこにいるかも分からんし、お願いします!」
「王泊までは三日ほどかかる。夜はひっぱってやるからこれを繋いでくれ。」
バルガスさんが太いロープを投げてきた。
「あと、この辺じゃ羅針盤には頼るなよ?」
「やっぱ壊れてなかったんすかね?」
「壊れちゃいねえ。この辺りの火山は磁鉄鉱が多くてな。場所によっちゃ針があっちこっち引っぱられる。」
「ほな、どうやって方角わかるんすか?」
「火山を見る。」
「火山?」
バルガスさんは煙を上げる火山の一つを指さした。
「火山と島を見て進む。ここらじゃ羅針盤より、あいつらの方がよっぽど信用できる。」
長いロープで船尾に繋がれ、おれたちはバルガスさんの船についていくことになった。
昼間はおれもエンジンを動かし、船の負担を減らしながら後ろについていく。
夜になるとエンジンを止め、そのまま完全に曳航してもらった。
途中、何度か火山島を迂回した。
ふーん、火山と島の位置を見て進むんか……
島だけやったらどれがどれか分からんけど、煙が上がっとる火山があったらまだ多少は分かりやすいな。
ちなみに『王泊』とは、文字通り王が寝泊まりしている街のことらしい。
火山活動によって昔の王都には住めなくなり、いま王が住んでいるこの街を『王泊』と呼ぶようになったそうだ。
ほかの国なら、王様が住んどる街がそのまま王都になるんやろうけど……
ダークエルフ族にとって『王都』とは、今でもご先祖様たちが暮らしていた、あの街だけらしい。
「おーい! 見えてきたぞ!」
バルガスさんが早朝呼びかけてきた。
「おはよーございまーす!」
「あれが王泊だ!!」
おれはバルガス船の向こうを見た。
水平線には段々と街が見えてきた。
ダークエルフ族の王泊。
一体どんな街なのか――
おれは少しわくわくしながら、近づいてくる街を眺めていた。




