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C-Raft(クラフト) ~女神に放り込まれたおっさん、筏一つで沈みゆく世界を巡る~  作者: nico
第六章 波上の楼閣(はじょうのろうかく)
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王泊(おうはく)

youtubeでゲーム実況をおこなっております!

https://www.youtube.com/@nico_channel_

エイル君の中身はこちらのオッサンのコピーで、

女神クララベル様はこのチャンネルのマスコットキャラクターの見た目を使った。という設定にしています。

挿絵(By みてみん)

AIは日本語としておかしくないか、誤字脱字がないかの校正作業で使用しております。



ラウリエル王国を出てから、もう三か月近くが経っていた。


その間、小さな島で食料を補給したり、嵐を避けたり……


ヴェルディアという新しい住人が増えたり、筏の妙な序列が判明したり、妖精と精霊の意外な関係を知ったり……


まあ色々あったが――



一番は水事情がかなり改善されたことだった。ヴェルディア偉い!


そんなこと口に出して言ったら、



「エイルぅ、もぉっと崇《あが》め奉《たてまつ》りなさぁい♪」ふんす!



などと調子に乗って、あれこれ指図してくるのが目に見えてるから言わんけどな!



そんな日々を送りながら、おれたちは相変わらずのんびりと海を漂っていた。





今日もいつものようにのんびり漂流していると、先ほどからノルが地図を見ながら首を傾《かし》げていた。



「おい、どうしたんや? ノル。」



「さっきからの、おかしいのじゃ。」


ノルは地図と、その横に置かれたコンパスを交互に見ている。



「この地図のな、この辺りにいたのは確認したのじゃが……」



世界地図の島々は、ドーナツのようにぐるりと並んでいる。


おれたちは並ぶ島々の十二時の辺りを越え、ダークエルフ領がある一時の方向へ向かっていた――はずだった。



「昨日までは、こっちへ進んでおったじゃろ?」


ノルが地図の上を指でなぞる。



「羅針盤も昨日まではちゃんと北を指しておった。それが今朝から、こっちを向いたり、あっちを向いたり……」


コンパスを見る。



「さっきまで西を指しておったのに、今は東じゃ。」



「…………」



「壊れたんちゃうん?」



「じゃがのう……」


ノルがコンパスを手に取る。


その針は小刻みに揺れながら、なんとも頼りなさそうに方角を示していた。



「うーん……でもおれらは、どこ目指しとるってわけでもないしエエんちゃうの?」


「風の向くまま、潮に流されるまま、のんびり行ったらエエんちゃうけ?」



「そうじゃがのう……」



脳天気なおれとは対照的に、ノルは不安な顔をしていた。





「あれ? 水平線のあそこに煙出とる火山あるやん?」


「あるのう。」



「朝は斜め左方向にあったのに、今は真正面にある。」



「……おれら、いつの間に火山の方へ向いとったん?」


おれは手で顎をつまみ火山をみつめていた。



エンジンも使っていない。


つまり――潮に流されている。




『バミューダトライアングル』



なんて言葉が脳裏に浮かんだ。


たしかあれ、今じゃ「別にそんな不思議な場所ちゃうで」って話になってた気もするけど……


実際こんな海域に放り込まれると怖いもんは怖い。



水も食料も野菜もあるし、まぁなんとかなるやろうけど……





火山の方向に流されていると、一隻の船が見えてきた。



船は警笛を鳴らしながらおれたちに近づいてきた。


なんか海賊っぽい男の姿が見える……


念のため、おれはマリナたちに隠れているよう指示した。





「おい、大丈夫か? さっきから妙な流され方してるぞ。燃料が切れたのか?」


船から髭を生やした男が話しかけてきた。


髪は白っぽいグレー、耳が尖っているし肌色から判断してダークエルフか?

でもリゼさんより濃い肌色やな。




「すみません、なんか迷った……」


「いや、行き先は特に無いし、迷ってるって言うのもアレやけど……」


「おれはエイルっていいます。 なんか地図とコンパスが変なんで、どうしようかなと……」




「ここで羅針盤だと? 使いもんにならんぞ。」


「俺はバルガス。火山の監視をしている者だ。」



海賊のような男の名前はバルガス。


この辺りの島には磁鉄鉱を多く含む火山がいくつもあり、場所によっては羅針盤がまともに使えなくなるらしい。


担当区域にある各火山の監視員から報告書を受け取り、今から王泊《おうはく》?へ帰る途中だったそうだ。



「行くあてがないなら、王泊《おうはく》に寄ってくか?」


「補給できる商店もあるぞ?」



せやな……今どこにいるかもわからんし、土地勘……海やから海勘? 知らんけど。


ま、それがある人に頼ったほうがエエな。


「いまどこにいるかも分からんし、お願いします!」



「王泊《おうはく》までは三日ほどかかる。夜はひっぱってやるからこれを繋いでくれ。」




バルガスさんが太いロープを投げてきた。




「あと、この辺じゃ羅針盤には頼るなよ?」



「やっぱ壊れてなかったんすかね?」



「壊れちゃいねえ。この辺りの火山は磁鉄鉱(じてっこう)が多くてな。場所によっちゃ針があっちこっち引っぱられる。」



「ほな、どうやって方角わかるんすか?」



「火山を見る。」



「火山?」


バルガスさんは煙を上げる火山の一つを指さした。



「火山と島を見て進む。ここらじゃ羅針盤より、あいつらの方がよっぽど信用できる。」




長いロープで船尾に繋がれ、おれたちはバルガスさんの船についていくことになった。



昼間はおれもエンジンを動かし、船の負担を減らしながら後ろについていく。


夜になるとエンジンを止め、そのまま完全に曳航《えいこう》してもらった。



途中、何度か火山島を迂回した。


ふーん、火山と島の位置を見て進むんか……



島だけやったらどれがどれか分からんけど、煙が上がっとる火山があったらまだ多少は分かりやすいな。



ちなみに『王泊《おうはく》』とは、文字通り王が寝泊まりしている街のことらしい。



火山活動によって昔の王都には住めなくなり、いま王が住んでいるこの街を『王泊《おうはく》』と呼ぶようになったそうだ。


ほかの国なら、王様が住んどる街がそのまま王都になるんやろうけど……



ダークエルフ族にとって『王都』とは、今でもご先祖様たちが暮らしていた、あの街だけらしい。




「おーい! 見えてきたぞ!」


バルガスさんが早朝呼びかけてきた。



「おはよーございまーす!」



「あれが王泊《おうはく》だ!!」



おれはバルガス船の向こうを見た。


水平線には段々と街が見えてきた。



ダークエルフ族の王泊《おうはく》。



一体どんな街なのか――


おれは少しわくわくしながら、近づいてくる街を眺めていた。

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