魔王ユリウス
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エイル君の中身はこちらのオッサンのコピーで、
女神クララベル様はこのチャンネルのマスコットキャラクターの見た目を使った。という設定にしています。
AIは日本語としておかしくないか、誤字脱字がないかの校正作業で使用しております。
『魔王』宰相ユリウス
次々に舞い込む書類を次々と捌き、彼の机に書類の山ができることなど、ほとんどない。
その代わり、横のワゴンには決裁済みの書類が山のように積まれている。
判断は速く、間違いも少ない。
そして――一つ反論したら十の理屈で捻じ伏せてくる。
城の人々は彼を恐れ陰でこう呼ぶ。
『魔王』と。
「ヴォルガ郡の島で水害。備蓄食料の放出許可を求めます。」
「港湾局より、先日の嵐でガルディア第三埠頭が損傷したとの報告です。」
「商人組合より輸入税の軽減を求める陳情が届いております。」
「セレナ島近海に再び大型海獣が出現。商船の航路変更を提案します。」
「王都で魔素病患者が新たに三名確認されました。」
「セレナ郡より巡回船増派の要請です。」
宰相ユリウスの執務室には次々と執政官が出入りしている。
「食料放出は許可。ただし王都の備蓄には手を付けるな。ガルディアの余剰分を回せ。」
「第三埠頭は後回しだ。第二埠頭だけで商船は捌ける。」
「巡回船の増派は認めん。海獣の出現海域を避けるよう商船組合へ通達せよ。」
ユリウスはそれらを次々と捌いていく。
「殿下、ヴォルガ郡への備蓄放出についてはこちらの案で進めたいと考えております。」
ユリウスは国王代理シグルのもとへ、決裁を求めやってきた。
「うん、これで問題ない。進めてくれ。」
「セレナ島でも魔素病が広がりそうじゃき。薬師と医者への支援を最優先にしてくれ。」
「アルド近海といい、セレナといい、大型海獣が続いちょるのう……」
「世界は何か、よからぬ方向に向かっちょる気がして心配じゃのう……」
「かわいいですね~、お似合いですよ♪」
ダークエルフメイドのリゼさんは、あの一件以降マリナのことを気に入り、メイドの所作などを教えていた。
そして今日は丈を直したメイド服を、まるで着せ替え遊びのようにマリナに着せていた。
丈直しをしたメイド服と言ってもマリナにとっては少しぶかぶかだが、それもまた可愛らしい。
「マリナはメイド服も似合っとるなぁ。」
「愛いのぅ♪」
――似合ってますねぇ〜♪
おれたち3人は和み顔でメイド姿のマリナを眺めていた。
リゼさんは仕事に戻り、おれたちはそのまま城の中を散歩することにした。
マリナはメイド服をすっかり気に入ったようで、着替える気はないらしい。
「……」カチャリ
仕事に戻ったリゼさんは、シグルのもとへ訪れたユリウスにお茶を出している。
「殿下、ラウリエル王国への謝恩使の件ですが……」
「親父が出向けるまで回復を待っちょったら、さすがに失礼やしのう……俺が出向こうと思っとる。」
「そうされた方が良いでしょうな。人員の選出ですが……」
「あー……そのことじゃが……」
「将来、国政に関わる者にも経験を積ませた方がええじゃろ?」
「そうなりますな。」
「それでの……」
「だれか経験を積ませたい者でもおられますかな?」
いつの間にかリゼさんは姿を消した。
「将来国政に関わるじゃろうし……」
「その……」
「宰相の娘でもある……」
ユリウスの眉がピクリと動いた。
「フィオナも同行させたいと……思っちょるんよ。」
「…………」
ユリウスの眉がピクピクと激しく震える。
「…………殿下」
「……なん……じゃ?」
「……今……なんと?」
「フィオナを……」
「なりませぬッッッ!!」
大声を上げるユリウス。
ビクッとするシグル。
「フィーちゃんを国外になどッ!!絶ッッ対にッ!!なりませぬぞぉぉぉッ!!」
「治安がッ!」
「航海がッ!」
「外交使節としての経験がまだッ!」
それらしい理由を大声でまくし立てるユリウスに、シグルはタジタジしていた。
コンコン。
「後にしてくれ!!」
ガチャリ!
ユリウスの返事を待つことなく、扉は開いた。
「お茶の替えをお持ちしました〜♪」
リゼさんに連れられたマリナがワゴンを押して現れた。
「!?!?!?」
大口を開け、声を荒げていたユリウスは固まり、口をパクパクさせていた。
リゼさんはシグルのお茶を、マリナはユリウスのお茶を入れ替えた。
カチャリ、カチャリ。
「…………」
マリナが丁寧に茶器を入れ替えていく。
しばらくその様子を眺めていたユリウスが、ぽつりと口を開いた。
「マリナ殿、随分と綺麗な所作ですね。」
「しょさ……?」
「わかりませんけど、リゼさんに教えてもらいました♪」
「そういえば嬢ちゃんは、酔い鴎でも上手く給仕をやっとったなぁ。」
「フィオナさんの動きを見て真似しました♪」
「あんな短時間で覚えたんか!?すごいな!」
「村にいた頃より色んなことが出来て楽しいです♪」
ユリウスは何も言えず、固まっている。
「それでは、失礼致します!」
マリナはリゼさんに連れられ退室した。
ソファに座っているユリウスは、組んだ手で額を支え項垂れていた。
長い沈黙……
「……」ズズズ
お茶を飲むシグルに、項垂れたままユリウスは呟いた。
「…………しょう……」
「……ん?」
「……認め……ましょう……」
絞り出した声でユリウスは答えた。
そしてユリウスは項垂れたまま、シグルのもとを後にし退室した。
「やるのう……嬢ちゃん。リゼもファインプレーじゃ……」
シグルはウンウンと頷いていた。
宰相執務室の執政官たちは、珍しく机に積み上がっていく書類と、その横で項垂れるユリウスを見て思った。
「『魔王殺し』……恐るべし……」
こうして『魔王殺し』の名は国王たちの耳にまで届き、城内で不動のものとなりつつあった。
――当の『魔王殺し』本人は、そんなことなど知る由もなかった。




