魔王殺し
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エイル君の中身はこちらのオッサンのコピーで、
女神クララベル様はこのチャンネルのマスコットキャラクターの見た目を使った。という設定にしています。
AIは日本語としておかしくないか、誤字脱字がないかの校正作業で使用しております。
昨夜、酔い鴎でシグルにご馳走になったおれたち。
ちょうど店にはシグルの幼馴染、フィオナさんが給仕で働いており、店の手伝いをしながら器用におれたちと一緒に食事と酒を楽しんだ。
それを見て学んだマリナも、食事の合間に給仕を楽しそうに真似ていた。ほんま子供って覚えるの早いわ……
シグルとフィオナさんはお互い、どうも幼馴染以上の感情があるらしく、店の常連たちから「早くくっついちまえよ」と冷やかされていた。
恋バナ好きのエルフの王妃さまが飛んできそうな話だ。
次の日の朝――
おれたちは朝食の準備が整ったとのことで、メイドさんに食堂まで案内されていた。
このメイドさん、耳の長い、いわゆるダークエルフってやつじゃありませんか!?
紫色がかった黒い髪に褐色の肌、そして長い耳。
……
……
……豊かな胸とお尻と太もも、とても健康的ですね!ムホホ!
ハッ!!
マリナは前を見てニコニコ笑っている。
が、なぜかマリナからヒヤリと冷気のようなものが漏れている気がした。くわばらくわばら。
――エイルさん〜♪そろそろ学習してくださいね~♪
――エイルさんが困るのはぁ〜♪見てて楽しいんですけどぉ〜♪
――こちらにまで被害が来るのはいただけませんね〜
はい……気をつけます……
食堂へ向かう途中、廊下では一人の男がシグルと何やら話していた。
「それでは後ほど……」
男はシグルに一礼し、その場から立ち去ろうとした。
「お、シグルー!昨夜はご馳走様!!」
「おー、エイル!ゆうべは楽しかったのう!」
「ところでフィオナさんとは付き合ってるん?」ニヤニヤ
クララベル様とノルのほか、マリナまでニヤニヤしている。
その瞬間、シグルとメイドさんの顔が引きつった。
先ほどの男が血相を変えてこちらに小走りで向かってきた。
「でー!」ツカツカ!
「んー!」ツカツカ!
「かー!」ツカツカ!
「また!フィーちゃんの!店に!行ってたのですか!!」
「殿!下!!」クワッ
眼力異常に怖いんですけど……
「い、いやぁ……あそこの飯はうまいじゃろ……?」汗ダラダラ
「……お、恩人に、美味い飯をご、ご馳走しようと思って……な?」汗ダラダラ
シグルがタジタジしている。ヤッベ、おれ何か地雷ふんでもうた!?
「まッたく!フィーちゃんもフィーちゃんですよ。」
「私が昔世話になった女将の店とはいえ、なんでわざわざ社会勉強なんぞしに……」ブツブツ
「私のお父さんみたい。」クスッ
マリナは男を見てクスリと笑った。
「ん?お嬢さんは……」
男はこちらに向きなおした。
「はじめまして、エイル殿マリナ殿、そして妖精ノル様。」
男は一礼し、名乗った。
「私はこの国の宰相を務めております、ユリウスと申します。」
「このたびはわが国王の命を救っていただき、」
「心より、感謝いたします。」
ユリウスさんは深々と頭を下げた。
「ところでマリナ殿、お年をお聞きしても?」
「12歳です!」
「なんと!よく……お父様が旅立ちを許されましたね……」
「もちろん最初は猛反対してましたよ?」
「でもお母さんが説得してくれたんです。」
「『ちょっと早いけど、親から巣立つ時が来たんだよ』、って。」
「…………」
「旅立ちのときはお父さん、泣きながら送り出してくれました。」ニコッ
「…………」
「お父さん……」シンミリ
「こ……こんな小さな娘さんを……」ワナワナ……ガクリ
ユリウスさんは何かが脳裏を過ったのか、ショックを受けてトボトボと去っていった……
(……この嬢ちゃん、やりよるのう……)はぇー
(この子、やりますねぇ……)長耳ピコピコ
顔を引きつらせていたシグルとダークエルフのメイドさんが、何とも言えない目でマリナを見ている。
「?」
当のマリナは、なぜ二人に見られているのか分からず首をかしげていた。
(相変わらずやりよるのう、この童めは……)ウムウム
――(無邪気な刃で、考えたくない未来を見せられちゃいましたねぇ〜……ご愁傷さまですぅ~……)ヒェ~
クララベル様とノルがたじろいでいる。
どうやら筏カーストはマリナが頂点らしい。
ユリウスは執務室の机で一人意気消沈していた。
「はぁ……」
組んだ両手に額を預け、彼は深くうめいた。
「……フィーちゃん……」
ユリウスが背を向け目を逸らしていた未来。
それをマリナはユリウスの頭をグワシと鷲掴みにし、ゴキッ!と無理やり振り向かせたのだ。
「はいノル、あーん♪」
当の本人は食堂で、ニコニコとノルにご飯を食べさせていた。
この一件以降、マリナが城の者たちから陰で「魔王殺し」と呼ばれるようになることを――
当の本人は知る由もなかった。
そして日は暮れ……
おれたちは今夜も「酔い鴎」で酒と食事を楽しんでいた。
『精霊のしわざ』というユーティリティクラブを手に入れたクララベル様は全く自重しなくなり、おれとノルの分を自由に飲み食いしている。
「女将さーん、今日のおすすめまだありますかー?」
マリナは店の注文まで取り始めた。
合間にはちゃっかりこのテーブルで食事している。
「嬢ちゃん!エール三つおかわり!」
めずらしい小さな給仕さんに、客もニコニコしながらどんどん注文している。
「フィオナさーん!エール三つこのテーブルにお願いしまーす!!」
なに?ホール仕切ってんの!?
順応性高すぎやろ!
そんな騒がしい食事も落ち着いてきた頃、真面目な顔をしたシグルがおれに話を振ってきた。
「俺は近いうちに、ラウリエル王国へ薬の御礼を伝えに行きたいんじゃ。」
「さすがに病み上がりの親父が回復するまでなんもせん、っちゅうのも失礼じゃしのう。」
「ほなら、おれらも一緒に行こか?」
「来てくれるか!エイルならそう言ってくれると思ってたんじゃ!」
シグルは、テーブルに手をつき立ち上がって喜んだ。
「とは言っても、エイルはもう少し静養したほうがええし、こっちも準備があるきのう。」
「もうしばらくは、のんびりしてくれ。」
「フィオナさんは行かないんですか?」
妙にニコニコしているマリナが口を挟んだ。
ノルとクララベル様はマリナに耳打ちしながらニヤニヤしている。
「い、いや……フィオナは関係ないじゃろ?」
「えっ!?あたしも!?」
ザワザワしている店内が一瞬で静まり、みな聞き耳を立てている。
クララベル様がマリナに耳打ちした。
「酔い鴎は社会勉強なんですよね?」
「エルフさんの国に行くのも社会勉強にならないですか?」
「さいしょうさまの娘なんですから、しせつだんで一緒に行くのも社会勉強になりませんか?」
マリナが畳み掛けるように発言する。
あーこれ完全にクララベル様の入れ知恵やわ……
「あ……いや……そうじゃ……の」
マリナさんや、シグルが困ってますよ?
「あたしも……急に言われて……も……」
「社会勉強なんだから一緒に行ったらいいじゃねーか!!」
店内の誰かが声を上げると、客たちが拍手し指笛を鳴らした。
「シグル、もうフィオナさんのお父さん、説得するしかないで?」
難しい顔をして俯いていたシグルが立ち上がった。
「わかった!俺がなんとかするぜよ!」
両手を口に当てたフィオナさんは、顔が真っ赤になっていた。
今日も酔い鴎は騒がしく夜が更けていった……
ちなみにだが、マリナが給仕をしたおかげで、いつもより売上が高かったらしい。
マリナはボーナスをもらっていた。




