息子として
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女神クララベル様はこちらのマスコットキャラクターの見た目を使ったという設定にしています。
AIは日本語としておかしくないか、誤字脱字がないかの校正作業で使用しております。
レイゼル王国王太子シグル・レイゼルから、城に来て話を聞いてほしいと言われたおれたち。
深刻そうな顔のシグルについていくと、城の一室に通された。
「こっちに来てくれんかの……」
通された部屋には、ベッドに男が横たわっていた。
リュウガ・レイゼル。この国の王だった。
浅い呼吸。肌は灰色へと変色していた。
王妃は横で心配そうにしている。
城の者たちには、もう打つ手が残されていなかった。
そんな重い空気が、城全体に広がっていた……
「父上殿……」
シグルは膝をついて父の手を取った。
リュウガ王はうっすら目をあけるも、声を出す力はなかった……
客間に通されたおれたちは、シグルから話を聞いた。
「つい最近、この国の近海に巨大海獣が出現しおって、王を含む一部の民たちが魔素病を発症したんじゃ。」
「民は初期症状じゃったき、命脈錠で助かりそうなんじゃが……」
「王は昔、海獣討伐で傷を負っての……砕け散った魔核の破片が身体に刺さったんじゃ」
「刺さった破片は、のこらず摘出したはずなんじゃ……」
「もう治ったと、親父も皆も、そう思っとった。」
「まさかこの古傷が原因で重症化するとは、夢にも思とらんかった……」
魔素病が重症化すると、エルフの国でしか作れない薬、星露錠が必要だとのことだ。
「港中の船乗りに頼んだ……どいつこいつも『間に合わん』と言うだけじゃ……」
「王太子としてなら、あきらめる判断もせにゃならんじゃろう……けんど、」
「俺は……親父を見殺しにすることなどできん。」
顔を上げた男の目は、王族ではなく親を心配する息子の目だった。
「港に飛び込んできたおんしの船なら……もしかすると間に合うかもしれんと……」
「王を……いや……俺の親父を助けてはくれんか……」
大切な家族を助けたい、しかしどうすることも出来ずに悲しそうにしている……そんな一人の男が目の前にいる。
家族を心配する、この男を助けてやりたい。
救うことができるかもしれない筏が自分にはある。
そう思った瞬間、
「わかりました。」
考えるよりも先に、言葉が出ていた。
皆に相談しようと思うよりも先に。
「皆、また勝手に決めてごめん……」
「エイルさん、行きましょう!」
「あ奴らの国にも久しく行っとらんし良いかもしれんの♪」
クララベル様は微笑みながら頷いた。
「すまん……恩に着るぜよ……」
シグルは深々と頭を下げた。
シグルから道中の食料と燃料、地図、コンパス、望遠鏡を受け取り、おれたちは急いで港を出航した。
振り返ると、港には男が一人立っていた。
王太子ではない。
親父を助けたいと願う、一人の男が立っていた……
「絶対助ける……待っててくれ。」
グォオオオオオオオオオオオオ!!
筏は港を離れた。
航海士から教わった航路は――
「航海士が教えてくれた航路やけど!」
「行きは外海、帰りは違う航路だと海流に乗れるそうです!」
世界地図を見ると、
本当にドーナッツみたいに島が並んでいる……
ドーナッツの内側を「蒼環海」、
外側は「外海」または「外洋」と呼ばれている。
「外海沿いに進んで、とにかく大きな島を目指してください!」
――迷いそうになったら導いてあげますから〜♪大丈夫ですよぉ〜♪
クララベル様は俺の横でふわふわと浮いている。
もしかしたら最強のナビかもしれんな。
「エイルさん!そろそろ休みませんか!!」
城を出たのは昼を過ぎていたので、夕日が水平線に差し掛かってきた。
段々と視界は悪くなる……
「そうやな……気持ちは焦るけど、暗くなってきたら地図と島の確認ができんし、迷ってまうな……」
おれは一旦エンジンを止め休憩することにした。
「シグルさん……すごくお父さんのことが好きなんですね。」
「せやな。」モグモグ
「私も、お父さんとお母さんを思い出しちゃいました。」
「夜はあんまり動かしたことないから、」モグモグ
「朝日がでたらすぐ走らせなアカンな……」モグモグ
「王様の容態が心配やし……日の出てる間は休憩時間削らなアカンやろな……」モグモグ
「私はエイルさんの体調が心配です……」
筏はおれしか運転出来ないので、マリナが心配そうな顔をしていた。
「エイルよ、夜は帆を広げておくとよいぞ。」
「なんで?」
「儂が風の奴に頼んでやるわい。」
「ついでに水の奴にも、危ないところに流されんよう気をつけてくれ、と頼んでやろう♪」
「まじか!?助かるわ、ありがとうノル!!」
さすが妖精やな。実はこの筏、最強じゃね?
――ワタシが何かあれば起こしてあげますので〜安心して眠ってくださいね〜エイルさん♪
――その代わりぃ〜、多めにお昼寝させてもらいますね〜♪
ん?神様も寝るんか?
まぁ今までも昼寝はしてたし、睡眠は必要なんかな……
「ありがとう、クララベル様!」
(こやつ……睡眠など必要ないくせに、しれっと昼寝する権利を得よったぞ……)ボソッ
――ふふっ♪ノールー♪
(わっ、わかっておりますじゃ!!)ボソボソ
「?」
ノルが何か酸っぱいものでも食べた時のような顔をしていた。
「もしかしてやけど、」
「昼間は魔導エンジンで進むやろ?」
「休憩時や夜間は精霊が力を貸してくれる。」
「しかも女神様の見張り付き」
「船乗り垂涎の布陣じゃね?これ。」
「やっべこれ、予想以上に早く着けそうやんけ!!」
おれは最大の不安であった睡眠や休憩時間の問題が、ノルとクララベル様のおかげで一気に解消された。
おかげで夜はグッスリと眠れそうだ。
外に出たおれは、筏の帆を広げた。
夜風を受け帆が大きく膨らむ。
隣に来たノルから、いつもの飄々とした空気が消えた。
ノルが小さな手を帆にかざす……
「風の精霊、水の精霊よ……」
「こやつらを……」
「無事エルフどもの国へと導いてくれ……」
……
……帆がふわりと膨らみ……
……潮が静かに筏を押し始めた……
……
「よし!寝るか!」ニカッ
あ、いつものノルだ。
洋上の月明かりを受け、
筏は女神に見守られながら、潮風と海流に導かれ、
一路、エルフの国へと向かっていった。




