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メル友?

夢愛と翔平の温度差を楽しんでください笑

多分、何とも思われてないということの表れなのだろう。


(夢愛ちゃん…めちゃくちゃメールしてくれる…!)


次の日の朝、翔平はメールの画面を見返しながらそんなふうに思っていた。


他愛もない雑談から始まったが、夢愛の返信は「そうなんだ!」というひと言や


「今テレビのお仕事してるんだね。すごいね!」と気楽にポンポン返答をしてくれる。


一通届くたびに心臓がバクバクし、何度も返答を思案しては消す…という翔平とは違い、明らかにラフである。


思い出の夢愛は、大人しくて教室の端でのんびり絵を描き、とても優しい女の子だった。


(なんか…前より、キャピキャピしているというか…明るい?大人になったからかな)



『夢愛ちゃんは…お盆の間、どんなふうに過ごしてるの?』


『ちょっとお休みもらってのんびりしてるよ!イラストレーターは副業で、本業が結構忙しくって』


『そっか。二足のわらじ、頑張ってるんだな』


『ありがとう!翔平くんは実家?』



『うん。ゴロゴロしてる』



翔平は翌朝も続くメールを居間で書きながら、ここで近所の実家に夢愛が帰省しているか確認へと踏み込むか考えた。



(………できれば、会いたい。で…、夜に飲んだりご飯とか)



夢愛と翔平の実家は歩いて10分以内の圏内である。

子供の頃から少しも好意が薄まっていない自分に驚きつつ、ドキドキしてソファーで陽太と寝転びながら画面を見つめた。


「兄ちゃんニヤニヤしててキモい」

「してない」

「え?昨日のイラストレーターをナンパしてんの?」

「殺すぞ」


ナンパ…ではない。

ナンパのつもりはない。


しかし、メールの返信をする度に期待して、近所の居酒屋やよい雰囲気のバーを検索している。


うるさい弟を無視し、翔平はあくまでも自然に夢愛に問うた。



『夢愛ちゃんは?実家に帰省してるの?』



ナンパではない。

しかし、一番聞きたかった事を聞いた。


希望する展開は彼女と再会することだった。


確信をつく内容のメールを初めてすると、反応が気になりすぎて怖くなる。

一度画面を閉じて、真っ暗にしてからため息をついた。


まるで…童貞の中学生…いや、小学生に戻ったような狼狽えぶりだ。



(…ああ…っ、恥ずい。本当に、なんだこれ)


ソファーでくの字に曲がって顔を赤くしていると、母に「あんた何してんの。早く着替えなさい」と、だらけた盆休みの格好を注意された。



『今年は帰省してないの。翔平くんとはまたいつか会えたらいいね!』



夢愛は会うつもりはないと当たり障りのない言葉でやんわり伝え、送信を終えると「ふう」とため息をついた。


珍しいオフの一日。

朝のルーティーンは、ゆっくりとスキンケアの時間から始めることを決めている。


(んー…翔平くん懐かしくてメール面白いけど、すごい沢山やり取りしてるなぁ)


お気入りの三面鏡の化粧台に腰掛け、これまたお気にいりのブランドの部屋着ヘアバンド。

そして、保湿系のフェイスマスクを顔に密着させた。


そのまま、安くて保湿と美白効果のある化粧水を惜しみなくデコルテやうなじ、手足やお腹周りなど全身につけていく。



『そっか。帰省してたら…ご飯でもって思ったんだけど』


翔平の返信はそれから15分後くらいに来た。


ご飯。

というか、顔を変えているので絶対行かないけど。

これは少し甘い雰囲気のお誘いだったんだろうか?


夢愛は、そんなことを思いながらフェイスマスクをペリと剥がし、三面鏡でくまなく顔と肌をチェックした。


以前とはまるで異なる、ぱっちり二重の可愛いお人形フェイスに、白く輝くスキンケアの賜物の美肌。



(まさかね。私、子供の頃不細工だったし。翔平くんモテたから女の子を食事に誘うくらい何とも思ってないんでしょ?)


夢愛は顔を鏡に近づけた。


施術によって手に入れたおおきな二重の瞳。

日々の手入れで磨き上げた白く滑らかな肌。どこから見ても可愛い、完璧な人形の顔。



その顔を見ながら、嫌な思い出がノイズのように夢愛の思考に少し入った。



『ーーー身体はいいよな?淫乱だし』



歪んだような笑顔の男がそう言った。


忘れていたと思っていた。

だが、急に現れた男とそのセリフがフラッシュバックする。



夢愛は睨むようにして翔平のメッセージを見返し、感情も入れずに返信した。



『うん。残念だね。翔平くんに逢いたかったなぁ』




逢うわけがない。



あの頃の弱い私を知る男なんて。


















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