3-8 side 阿賀稚日菜①
1-5~1-10までの後書きも追加しました。それと、コメントありがとうございます!!
私、阿賀稚日菜の人生は生まれる前から最低だったと思う。
邪神教団第8席・不死者 阿賀稚日菜。
今でこそ、そのような地位にはいるものの、私の動向は常に邪神教団によってコントロールされている。
そこに私の自由はない。
まあ、それも無理はないのだろう。
だって私は邪神教団によって作られた戦闘人形なのだから。
それは十数年も昔。
それこそ私が生まれる前の話。
私の母はそれはそれは熱心な邪神教徒だったらしい。
何故かって?
そんなこと私にだって分からない。
だって、私が生まれる時に母は死んだのだから
ただ、私が知っているのは、母が邪神教団の実験の被検体に自ら志願したこと、ただそれだけだった。
母は己の命を賭して、私という結果を残すことを選んだのだ。
それが親として子供に出来る最大限の祝福だと言って。
それが今でも私を縛り付けているのだから、やはり私の母は狂っていたのだと思う。
その実験、それは人工的に高レベルの神気使いを生み出そうする実験だった。
それは第7席背教者が中心となって行っていた実験。
妊娠している母体に毎日神水を投与し、胎児の時期から神気の盃を作らせる。
そして生まれてきた子供に徹底的な訓練を施し、邪神教団が知りうる限り全てのレベルアップの方法を試す、というものだった。
余談だが、その前には胎児を邪気に馴染ませるという実験も行っていたようだ。
神気が発現する前の赤子の状態でなら神気の盃、もとい邪気の盃を作れるかも、というコンセプトだったようだが、そのあまりの副作用に母体ともども全ての被検体が死に至ったため実験は中止になったそうだ。
その後は、ある程度成長した子供に超高濃度の邪気の塊である邪神様の呪いを投与し、邪神様の器となる素体を作ろうとしているようだが、現在出来ているのは忌み子と呼ばれる出来損ないばかりである。
まあ、それはそれで使いどころはあるものだが。
何にせよ、私はそんな人工的に作られた高レベルの神気使い達の一人だ。
と言っても、もうほとんどそのような人間もいないのだけれど。
何故なら、私と同じ方法で生まれてきた被検体の多くは既に命を落としているのだから。
ある者は生まれる前に、ある者は生まれた直後に。
半数以上はそのように死んでいった。
やはり胎児の時期から神気に馴染ませるのは無理があったのだろう。
けれど被検体の中には神気に馴染むものも居た。
それは生きたいという生存本能が神気に勝ったからか、たまたま相性が良かっただけなのかは分からないが、何にしても私が知る限り十数人、私と同じような子供がいたことは覚えている。
それでも気付けば、その人数もだんだんと減っていった。
過酷な訓練について行けなくなったり、邪神様の眷属との戦いで食われたり、神気の増大に体が付いていけなかったり。
正直私が生き残れたのは運が良かった、ただそれだけだったのかもしれない。
そうして残ったのは私と、もう一人。
その子は珊供海未と名乗っていた。
出会いは神気の盃を満たすための眷属との戦いの時。
私はまだ弱くて、蠍とムカデを組み合わせたような眷属であるギリタブリルに殺されそうになっていた。
目の前で振りかぶられる蠍の尻尾。
その複眼に浮かぶ明確な殺意。
その全てに私の足はすくみ、もはや死を待つのみだった。
でも、やっと楽になれる。そんな気持ちもあった気がする。
だが、そんな窮地は横から振り下ろされた刃によって覆された。
そこには私と同じ褐色の肌で、くすんだ茶色の髪を肩口で揃えた活発そうな少女。
その少女こそが海未だった。
海未は優しかった。
こんな環境に居るのにも関わらず、元気で笑顔を振りまいて、傍に居るとまるで太陽みたいに温かかった。
海未が私を暗闇の世界から救い出してくれた。
海未との時間が何よりも幸せだった。
だから私も海未を助けようと、そう思った。
時に連携して眷属を倒し、時に辛い訓練を励まし合って、時に些細なことで喧嘩をして、けれどすぐに寂しくなって仲直りをした。
一緒だったから辛い戦いも、訓練も耐えることが出来た。
そしてこれからもずっと一緒。
あの時の私は暢気にもそんなことを考えていたのだ。
けれど、邪神教団はそんな優しい所じゃなかった。
ちょうど私達が12歳になった時、第7席からとある指令が下されたのだ。
「これは非常に重要なミッションです。
もしあなた方がこのミッションを乗り越える時が出来たのなら、その時はあなた達を幹部として迎え入れましょう」
それを聞いて私は喜んだ。
もし幹部になれれば、これ以上の非道な実験をされなくて済む。
実験動物ではなく人間として生きることが出来る。
そして何より、海未を護ることが出来る。
そう、思ったのだ。
だが、私はその指令の詳細を聞いて絶望した。
それは神剣『陽天』へ干渉するという任務だったからだ。
無理だ‥‥‥
素直にそう思った。
神剣は剣神より与えられた伝説の武器だ。いくら神気レベルを高めたからと言って、私達ごとき人間がどうこうできるはずがない。
けれど、その指令を出したのは第7席。
私達にそれを拒否する権利などありはしなかった。
そうして任務を果たすべく、自室で準備をしている時、海未が訪ねてきた。
きっとその時の私はひどい顔をしていたのだろう。
海未は私の顔を見るなりそのまま近寄って来て、私をギュッと抱きしめたのだ。
「大丈夫、きっと生きて帰ろう」
私はその言葉を聞いて盛大に泣いてしまった。
海未はそんな私にずっと付き添ってくれた。
背中を擦ってくれた海未の手の感触は今でも私の中に残っている。
そして任務当日。
私達は第7席のスキルにより作られた宝石の様な物を持たされた。
「これを『陽天』の台座の宝石と交換してきてください。
任務はそれだけ。簡単でしょう?」
そう穏やかに笑いかける第7席に嫌な予感しかなかったけれど、私はその宝石をギュッと握りしめて任務に向かった。
だって、この任務を完了すれば実験動物ではなく、人間になれるのだから。
そうして私達は中央神殿に向かった。
そして、絶望を見た。
それは今でも私を縛り付ける鎖。
その時の私は、そんな未来を想像することも出来ず中央神殿に潜り込むのであった。
システムさん:まさか阿賀稚さんにこんな過去があったなんて。ただのスポーツ系セクハラ少女じゃなかったんですね ;つД`)
主人公:そうだな、きっとあんなセクハラ好きになったのは、辛い過去の反動だったんだな;つД`)
システムさん:可哀そうに、もうすこし優しくしてあげてもいいのかもしれませんね。
主人公:そうだな。もしかしたら人の優しさに触れていったらあのセクハラも収まるかもな。俺達が阿賀稚を救ってやろう!まっとうな人の道まで戻してやろう!!
タタタタタッ(誰かやって来る足音)
阿賀稚:とう!!着地!!やっほー、刀祢っち。なんか僕の事話してた感じ?え、僕のセクハラについて?うんうん、セクハラってめっちゃ楽しいよね!!ほれほれ、こんな感じ?(指を変な風に動かす阿賀稚)
主人公・システムさん:‥‥‥(もはや治療困難だったΣ(゜д゜lll)ガーン)




