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3-5 致命の選択

1-1からちょくちょく後書き追加しています。もし良ければ読んでみてください。大体はネタ。

 朧桜の存在進化が待機中。


それは間違いなく吉報である。

編田先生の授業でも語られていた通り、SAHの世界には武器の存在進化という強化方法がある。


それは長年神気にさらされ続けた武器と、使用者の強い意志により引き起こされる奇跡の御業。

存在進化した武器はその圧倒的な性能により、使用者に勝利をもたらすと言われ、何より、『神鋼』による武器が無かった時代、これは正に邪神との戦いの切り札となるほど強力だったのだ。


そんな武器の存在進化だが、条件を満たすには途方もない戦闘経験と神気、それに特定の初回素材が必要と言われている。

故にその問題を裏技的に解決するために、俺は『神鋼』を取りに行ったのだ。


では『神鋼』をどうやって使うのか?

それは簡単。

『神鋼』を自らの武器に合成するのだ。


『神鋼』は元々膨大な神気をため込んだ玉鋼である。

であれば、それを武器に合成させることで神気を強制的に付与できる。

そこまでいけば、あとは武器の特性を決めるための素材と使用者の意思次第で存在進化の道が開くというわけだ。


「要は、武器の経験値みたいなもんだな」


だが、今回その扉はすでに開いている。


であれば、今回は――――


「初回素材の方で使ってみるか」


そう、初回素材。つまりは武器の特性を定めるための素材として使用をしてみよう。


元々俺は『神鋼』を経験値、マザーギリタブリルの素材を初回素材として使うつもりだった。

だが、追加の経験値が必要ない状態であれば、初回素材として『神鋼』を使用した方が将来的には優れた武器が出来上がる。


先ほど言った通り『神鋼』は神気の塊、つまり経験値としての一面を持つが、他方で使用者の望む能力を反映するという特性を持つ。

例えば瑚兎の『羽のように扱える武器』といった具合に。


ならばこの『神鋼』を存在進化時の素材として使用したらどうなるか。

その答えは『使用者の望む形に徐々に成長していく武器となる』だ。


ただしその場合は『神鋼』で出来た武器のような急激な変化はない。

あくまで持ち主の意志の力に応じてゆっくりと成長していく武器になる。

だが、それが大事なのだ。


『神鋼』を素材にした存在進化をした場合、最初期こそ大した変化はないものの、成長した時の能力値は凄まじいものになると言われている。

恐らく、武器としては最上級になるだろう。


つまり、『神鋼』を加工した武器は最初の段階でチート級の能力が決まって、それに使い手が習熟していく武器。

『神鋼』を素材にして存在進化させた武器は、持ち主と共に成長し、最終的にはチート級武器になる、という感じだな。

どちらも一長一短である。


「ただ‥‥‥」


ここで一つ懸念点がある。

それは朧桜と『神鋼』が合成できるのかということである。


SAHのシステムであれば使用している武器を鍛冶工房に持ち込むことでそれが可能となる。

だが、この朧桜は白亜がメイド服のスカートの中から取り出した木刀だ。

金属武器のように溶かして合成することは出来ないだろう。

それに加え、


「それにそもそもこの朧桜、性能がおかしいんだよな‥‥‥」


そう、俺がこの世界に来てから愛用している朧桜。

見た目はただの木刀のくせに、その性能が明らかにおかしいのだ。


ただの剣や槍との打ち合いならまだしも、瑚兎の吼丸、阿賀稚の強化されたシミター、果ては邪神のマルドゥークと打ち合ってなお、折れるどころかわずかな欠損すら見当たらない。

これはもはや、頑丈を通り越して異常の一言だ。


もしかしたら気合で全部解決できる某筋肉さんなら可能かもしれないが、少なくとも俺には無理だと断言できる。

だが、今の俺にはそれ以上のことは分からない。

であれば――――


「これを機に、白亜を問いただしてみようかな‥‥‥」


そうして俺は、朧桜の秘密を暴き存在進化の道を探るため、白亜の部屋を訪ねるのであった。


◇◇


深夜、俺は白亜の部屋の前に居た。

目の前には『白亜の部屋』と書かれたプレートが下げられた木製の扉。


そう、俺は朧桜の事を尋ねるために白亜の自室を訪ねたのだ。

もちろん朧桜を携えて。


いや、本当は分かっているよ。

深夜に白亜の部屋を訪ねる危険性は。

もしかしたら俺はそのまま帰らぬ人になるかもしれない。

けれどしょうがないじゃないか、気になったんだもの!!


本当はもっとずっと前から聞こう聞こうとは思っていたよ。

けれど、邪神戦に拠点制圧戦に忙しかったんだよ!!

だからしょうがない。


俺は自分に言い訳をしつつ、意を決して白亜の自室のドアをノックしようとして‥‥‥


その瞬間、


周囲の時が


止まった‥‥‥


『ああ、そうだよね、やっぱり』


そんな諦観が心をよぎる。

これ失敗したら色んな意味で致命になるよね、俺もそう思う。


そうして俺が選択肢を見やれば


【1】「ふ、今日はここまでにしてやるぜ」白亜の部屋の前から立ち去る。

【2】「あ、あの白亜おねえちゃん、僕一人で寝れなくて‥‥‥。一緒に寝ても、いい?」そっとドアを開けながら尋ねる。

【3】「げへへ、先手必勝だ!! やられる前にやる!! とぉ!!」ドアを乱暴に開けてルパンダイブする。


すぅ~~~~、はぁ~~~~~~


『まともに入る選択肢がねーじゃねーかぁ!!!!』


俺は心の中で絶叫する。


『毎回の事だが何なんだこの選択肢!!

一番まともなのが【1】だが、それじゃあこのもやもやを抱えたまま夜を過ごさなきゃならないじゃないか!

そんなの絶対寝れやしない。

不眠のあまり、俺の明日のお肌はボロボロ確定だ。


それじゃあ【2】か【3】?

だが、【2】なんて選んだら、白亜に蹂躙される未来しか見えねー!!

じゃあ【3】かと言ったら、それはそれで、制圧されてベッドに貼り付けにされている自分しか想像できない!!


結局全部ダメじゃねーか!!


どうする? どうする俺?


右上のカウントダウンは既に半分を切っている。

それなら、もうここは【2】か【3】で決めるしかない。

でも‥‥‥


あ、もうカウントダウンが残り1だ。ヤバい!!』


そうして俺が決めきれないで迷っていると、ついにその時が訪れてしまう。

それはこの世界に来て初めて致命の選択肢を選べなかった瞬間。


ドゥドゥーーーン


無情なBGM。

それはクイズ番組でよくゲームーバーになった時に流れるような効果音。

まさか、ここでゲームオーバーなのか!?


俺が緊張に身を強張らせ周囲を警戒していると――――


世界はいつも通りゆっくりと世界が色を取りもどし、時間の流れが戻っていく。


「何も‥‥‥起こらなかったのか‥‥‥」


だが何か致命的なミスをしてしまった、そんな不安が俺の中に満ちる。

そうして俺がしばし立ち尽くしていると、


ガチャリ


ドアノブを下ろす音が廊下に響く。

そしてゆっくりと開いたドアの隙間から現れたのは、ネグリジェ姿の白亜。


「ご主人、さま?」


その瞬間、俺の思考が完全に停止する。


既に寝る直前だったのか、白亜は眠そうに目を擦っている。


純白のレースがあしらわれた薄手のネグリジェ。

それに身を包む、銀髪蒼眼の白亜。

そのあまりに神秘的で扇情的な姿に思わず目が奪われる。


「どうされたのですか、こんな時間に」


その妖精の様に可憐な姿に言葉が出ない。

一方の白亜も、眠いせいかいつものからかうような雰囲気が無く、その神秘的な容姿を際立たせている。


これ、もし【2】とか【3】を選んでいたらどうなっていたんだろうか。

そんな思考が脳裏をかすめる。

少なくとも【3】であれば、もしかしたらそのまま‥‥‥


いや、いかんいかん!!

いかに普段から白亜が俺を襲って来ようとも、それとこれとは話が別だ!!


You いっちゃいなよ~


という悪魔の囁きが頭を満たすが、そんなものはエロゲ紳士たる俺が許さん!!

その俺の懊悩を知ってか知らずか、白亜は小首を傾げこちらを見上げて来る。


思わず、『くっ(童貞を)殺せ!!』

と言いたくなったが寸前で我慢する。

エロゲプレーヤーは紳士でなくてはいけないのだ!!


俺は自らの煩悩を強い意志の力で封じ込める。

そして、毅然とした態度で白亜に告げる。

だって、俺は動揺していない、動揺していないからな!


「あ、あにょ、朧桜にちゅいて聞きたいことがありまちて、ちょの、もちよろしければ、お時間、頂けないでちょうか」


うぉい!!

どもった上に使い慣れない敬語が出てしまったよ。

でもしょうがないよね、こんな状況初めてなんだもん!!


俺が白亜に何とか要件を伝えると、白亜はその眠たげな相貌にクスリと笑みを浮かべ、


「そうですか、承知しましたご主人様。

それでは部屋の中にお入りください」


そして、俺を自室へと誘うのだった。



システムさん:‥‥‥


主人公:‥‥‥


システムさん:このヘタレ。なんで選択肢を選ばなかったんですか?


主人公:う、うっさいわい。だってどれも選べなかったんだもん


システム:もんじゃありません、もんじゃ。そんな言い方したって可愛くないですからね!


主人公:じゃあ、どうすれば良かったんだよ


システムさん:はぁ? それはもちろん【2】か【3】でしょ!?

それを選んでいたらめくるめくイチャイチャタイムが待っていたというのに!


主人公:それが分かってたから選べなかったんだよ!


システムさん:ならせめて【1】を選びなさい【1】を!!


主人公:けど、気になったんだからしょうがないだろ!


システムさん:でも、だからって、選ばないなんて‥‥‥

はぁ、しょうがありません。過ぎてしまったことはもうどうしようも無いので‥‥‥


主人公:どういうことだよ。


システムさん:知りません! あとは自分でどうにかしてください!!

このヘタレボーイ!! ブンッ。


主人公:なんなんだよ‥‥‥

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