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3-3 魔法少女 vs ピンク怪獣ノエル

昨日もリアクション頂きました!ありがとうございます!!

これは刀弥がラブホテルに連れ込まれたその後のお話……



「お兄様‥‥‥」


思わず低い声が出ます。

その先ではプルプルと子犬のように震えるお兄様と、楽し気な笑みを浮かべてこちらを見上げるビーストモードのノエルさん。


ダメです、怒りがコントロールできません。

私が構えるイクリプスも、怒りに反応してかヴーンヴーンと、低い唸り声を上げています。


そうですよね、貴方も怒っていますよね。

そうです、私も激おこプンプンです。

まさかノエルさんがお兄様と、ら、らら、ラブホテル!!なんかに入って行かれるなんて!!


教会で見かけて時から怪しいと思ってはいましたが、まさかお二人でデートした挙句、こんな不埒なことをしているなんて!!


ああ、ダメです。想像したらもっと怒りが湧いてきました。

これはもうただの怒りというよりも憤怒と呼んだ方がいいかもしれません。


心の中を真っ黒い何かが埋め尽くしていきます。


だってそうでしょう?お兄様は私のもの。

お兄様のその手のぬくもりも、胸板の硬さも、唇の柔らかさも、全て私のもの。

お兄様が他の人のものになるのなら、それは世界が間違ってます。


そう思ったらなんだかおかしくなってきました。

自然と唇が笑みの形に変わります。


「そうです、世界が間違ってたんですね‥‥‥」


「月夜?」


「バインド‥‥‥」


呟きと同時、ノエルさんの周りに魔力を展開します。

そしてそのまま魔力をリング状に固定して、ノエルさんを拘束しました。


「何、これ?動けない?」


ノエルさんは身動きが出来なくなって困惑しているようです。

一方のお兄様は散歩用のリードを持ったまま、私の方に困惑の視線を向けてきます。


ああ、なんて可愛らしいのでしょう。

そんなお顔も素敵デス。

その首輪、私につけて下さったらいいのに。

何でノエルさんに。

本来なら私があそこに居るはずなのに‥‥‥


ああ、そうか、そう言うことでしたか。

世界の歪みの原因はノエルさんだったのデスね?

私がいる場所、そこにノエルさんがいらっしゃることが間違い。

ならば答えは簡単デス。


空中で見下ろす私、ホテルのベッドで私を見上げるノエルさんとお兄様。

私はイクリプスに魔力を注ぎます。


二人がラブホテルに居るという事実に胸がズキリと痛みます。

その疼きをそのまま魔力に乗せて、収束。


「ノエルさん、消えてください‥‥‥

ルナライト‥‥‥」


瞬間、イクリプスの宝玉の周りに無数の光弾が形成され


「シュゥーーーーーーート!!!」


空気を切り裂きながら、真っ直ぐ最短でノエルさんへ殺到しました!!


ズドドドドドドドドドドド!!!!


濛々と立ち昇る粉塵。

破壊されるベッドと調度品。

さらには、お兄様達が居たビルの壁がガラガラと音を立てて崩れ落ちていきます。


ですが、その中心。

私は確かにそれを捉えます。

煌々と赤く光る何かを。


「もう、いきなりひどいな、月夜ちゃん」


やっぱりデスか‥‥‥


戦場かと見紛うばかりの惨状。

そんな煙の中から明るい声が響きます。


晴れていく粉塵。

露わになる瓦礫。

その中から現れたのは傷一つなく、赤い眼を爛々と輝かせているノエルさん。

そして、リードに引きずられたお兄様。


それはまるで大型犬に引きずられている飼い主さんの様。

その様子に思わずクスリと笑みが漏れます。


でも、


「ノエルさんは要りません‥‥‥」


私は特大の砲撃を打ち出すべく、イクリプスに魔力を集中します。

本来白いはずの自らの魔力が黒く染まっていくのを感じます。


黒く、黒く、黒く、黒く、黒く、黒く、黒く、黒く

全てを飲み込む破壊する魔力の奔流。

それが凄まじい勢いで杖の先に集まります。


これが決まれば流石のノエルさんでも無傷ではいられないはず。

さあ、ノエルさんはどんな顔を見せてくれますか?


ですが、すぐに私の期待は裏切られました。


眼下のノエルさんが浮かべた顔は笑顔。

その手には巨大な枝切り鋏。


ゾワリ!!


瞬間、私の背に大量の虫が這いあがって来るかのような悪寒が駆け巡ります。


ズバシャァ!!


その予感通り、ノエルさんは巨大枝切り鋏を手首のスナップだけで振り上げると、バインドをいとも簡単に切り裂きました。


「っく、けどまだ間に合う!!」


私はさらに集中して、魔力を収束させます。


同時、ノエルさんがピンクに染まりました。

いえ、ノエルさんは髪も脳みそもピンクデスけどね。

そうではなく、ノエルさんの全身からピンク色の粒子が吹き上がり、その全身を覆ったのデス。

その勢いは天を突く激流のごとくでした。


そしてその激流の中、ノエルさんの真っ赤に染まった視線が空中に居る私を捉えます。


マズい!!


私は本能的に悟りました。

あれはマズい!!殺される!?


言いようのない恐怖。

全身の穴という穴から汗が吹き出します。

けれど私は負けるわけにはいきません。

だって、これはお兄様への愛を証明する戦いなのデスから!!


私はごくりと唾を飲み込みました。

同時、


バン!!


空気を切り裂く音共に、ノエルさんの姿が視界から消えました!!

残ったのはピンク色の残滓。


そして、秒も待たず聞こえた背後からの鋭い風切り音!!


「っつ!!!

マテリアル!!!!!!」


私は直感に従いイクリプスを、後方に突き出し、ため込んでいた全魔力を物理エネルギーに変換します。

そして、イクリプスがガタガタと軋みを上げるのも構わず、未完成のマテリアルブレイカーを全力で解き放ちました!!


「ブレイカァアアアア!!!!」


バヒュウウウウウウウウ!!


放たれる魔力の閃光。

黒い破壊の奔流!!

未完成でもそれはビル一つを容易に消し飛ばせる威力‥‥‥そのはずなのに。


「っつ!?」


けれど、それは杖のすぐ先、1mもない距離で何かに当たっては次々と細かい魔力の粒子に戻っていきます。


いえ、分かっています。それは何かではなく、ノエルさんの巨大な鋏、その刃。

それが私のすぐそばで、マテリアルブレイカーを押し返しているのデス。


「あは、あはあ、あははははは」


ノエルさんが黒い光の向こうで嬌声を上げて笑っています。

それは歓喜に打ち震えているようでもあります。


じわじわと迫る鋏。

赤い眼を光らせながら狂気的に笑うノエルさん。

このままでは確実に押し込まれます。


デスが――――


「ブレイク!!」


「っつ!?!?」


ノエルさんの鋏と拮抗していた魔力が、私の掛け声とともに爆発します。

強烈な閃光と爆風。


指向性を持ったそれは、ノエルさんを吹き飛ばし倒壊したビルの瓦礫に叩きつけました。


ガラガラと崩れる瓦礫。

そのそばではプルプルと子犬のように震えながらこちらを見上げるお兄様。

うん、可愛いdeth。


dethが――――


「まったく、危ないな~月夜ちゃん。

爆発するなら爆発するってちゃんと言わないと」


「ちっ!」


瓦礫から脱出したのか、無傷のノエルさんが柔らかい笑みでこちらに微笑みかけてきます。

まったく、本当に化け物じみていますね。

しかし、そんな感想を抱く間もなく――――


ヒュン!!


ピンク色の粒子を残し、再びノエルさんの姿が掻き消えたかと思うとすぐ眼前にノエルさんの顔。


「知ってる月夜ちゃん? この服ってね、着てるとビーストモードになれるんだよ」


ノエルさんは両手で私の頬をそっと包みこむと、ニッコリと笑いかけてきます。

唇と唇が触れ合いそうな距離。


「触らないでください!!」


ビュン!!


私はイクリプスの先端に魔法の刃を纏わせ、それを槍のように振るいます。


けれどその頃には、ノエルさんは目で負えぬほどの速さで回避し向かいのビルに着地しています。


本当に、この異常なフィジカルは何なのでしょうか。


けれど、今回は私も負けるわけにはいきません。


「フェアリーステップ」


ブン!!!


私は超加速でノエルさんに肉薄すると、そのまま魔法の刃を振るいます。


斬る、薙ぐ、突く。

攻める、攻める、攻める、攻める、攻める、攻める


けれどノエルさんはその全てをピンク色の粒子を纏った鋏で全て捌く、捌く、捌く。


「はぁああああああああ」


「あははははははっはは」


イクリプスと枝切り鋏がぶつかる度に周囲に轟音と衝撃が響き渡ります。

そしてその衝撃波で崩れていくビル、ビル、ビル。


ああ、本当に嫌になる。

何なんですかこの人は。

いつもいつもお兄様に付きまとって、私の邪魔をして、


「ああ、もう、いいdeth」


打ち合わされる刃と刃。


「中央神殿で見かけた時から後をつけてみればあなたはぁ!!!」


私は、ノエルさんの鋏が私の魔力の刃に触れようとした一瞬、魔力を解きます。


「あれぇ??」


空転する鋏。

大きく体勢を崩すノエルさん。


「死ねdeth!!」


バゴォ!!


その隙を逃さず、私は全力の回し蹴りを放ちます。


魔力が乗ったその一撃は、凶器!!

それはノエルさんのお腹に深々と突き刺さり、その勢いのままラブホがあったビルまで凄まじい勢いで吹き飛ばしました。


ドガン!!ガラララ!!ガシャーーン!!


大量の瓦礫を粉砕しながら、ノエルさんはいくつもの壁をぶち破って吹き飛ばされていきます。


「これなら!!」


しかし、そう思ったのは私の怠慢でした。

メス豚は、何度倒しても起き上がって来るからメス豚なんdethよね。


もうもうと土煙を上げる瓦礫の山。

ですがその中からゆっくりとピンク色の粒子を纏ったメス豚が姿を現します。

まったく、豚は豚らしく養豚場にでも行けばいいのdeth。


私が怒りと共に再度イクリプスを構えたその瞬間。

私達の間に誰かが割り込みました。


それは、ええ、間違うはずもありません。

ボロボロのシャツを着て、全身を砂で汚したお兄様deth。

ああ、お兄様はそんなお姿でも凛々しいdethね。


ですが、お兄様はあろうことかメス豚に話かけ始めたではありませんか。

え?


戦いを止めて欲しい?

今日はもう家に帰ってゆっくりエロゲでもしよう?

自分が大事に保管している限定商品を一緒に眺めれば癒される?


何を、何を言っているのdethか、お兄様?

その女にそんなものは要りません。

お兄様との時間を共有するのは私だけで十分deth。

お兄様の趣味も、性癖も、将来も、義理の妹が居れば十分なんdeth。


知らず口から声が漏れます。


「あなたは、いつも、いつも、いつも、いつも、いつも、いつも」


イクリプスの宝玉に凄まじい勢いで魔力が充填されていきます。

杖が、宝玉が、あまりの負荷にカタカタと細かい振動音を響かせています。


「いつも、いつも、いつも、いつも、いつも、いつも、いつも、いつも、いつも、いつも、いつも、いつも、いつも、いつも、いつも、いつも、いつも、いつも」


それはまるで壊れる寸前の楽器の様。

あはは、あなたもあのメス豚を屠れるなら本望でしょう?


私の声とイクリプスの振動に呼応するように空間が振動しています。

そして、私は私の敵を視界にとらえます!!


「いつもぉ!!!!!

今日こそはお兄様につく最大の害虫である貴方をdethります!!

お兄様は隣は私のもの、お兄様の全部は私のものなんdeth、からぁあああ!!!!

死になさい!!!

アルティメット・マテリアル・ブレイカーーーーーーー!!!!!」



そうして私は、魔力が切れるまで、メス豚との戦いに身を投じたのでした。


今回は残念ながらメス豚の討伐は叶いませんでしたが、次こそは‥‥‥


いつも読んでくださっている皆様、本当にありがとうございます!!

すみません、ご報告です。スタートからここまで毎日更新をしていたのですが、いよいよストックが無くなってきました。なのですみません、今回から2~3日に1回の更新に変更しようと思います。またストックが溜まってきたら毎日更新に戻しますので、申し訳ないですがよろしくお願いしますm(_ _)m

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