2-16 拠点制圧戦
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そこは一辺が50mほどの長大な空間だった。
周囲の石壁はいかにも武骨だが、なるほど確かにこれなら眷属の攻撃からも内部の人間を守れるだろう。
照明により室内は明るいが、奥には別のシェルターに通じているのだろう暗く深い通路も見えている。
そんな簡素な部屋の中、居並ぶのは二十人ほどの邪神教徒達。
全身を黒ローブで覆ったそいつらは、各々、剣や槍、弓矢や刀、果てはモーニングスターといった変わりものまで装備している。
そして、俺達が飛び込んできた途端、いっせいにこちらを向いてきた。
「侵入者だ!!殺せ!!」
突き刺さる視線、肌を焦がす殺意。
なるほどここは戦場だ!!
「けどな、姿が見えてからの対応じゃ、ちょっと遅いんじゃねーかな?」
瞬間、俺はぐっと脚に力を入れる。
下肢の筋肉が膨らみ、力が伝わるその感覚に心が躍る。
そして俺の踏み込みと同時。
バァンッ、バァンッ、バァンッ、バァンッ!!
白亜が構えたディオスクロイと呼ばれた2丁の銃口から火花が散り、蒼い閃光が空間を裂いた!
俺はその横を駆ける!!
「ぐわっ」
「がぁっ」
肩や太腿を押さえながら崩れ落ちる邪神教徒達。
その弾速は俺でさえ認識するのがやっとだ。
さらには銃弾の通過した空間には、放電したかのように蒼い神気が瞬いている。
恐らく通常の銃弾とは違うのだろう。
改めて白亜の戦闘力に驚愕を覚えながらも、俺自身は冷静に。
動揺している信者達の中心まで瞬歩で間合いを詰める。
そして――――
「桜華天元流・乱れ桜!!」
「「「うわぁぁあ」」」
俺を中心として全方向に斬撃を飛ばす!
これの技は間合いに入った全てのものが対象だ。
朧桜の刃が空中に幾筋も走り、空間に格子のような軌跡を描く。
バタバタと倒れ伏す邪神教徒達。
俺は周囲に居た数人を一瞬で切り伏せ戦闘不能にする。
その間にも、白亜は俺から距離のある邪神教徒に銃弾を浴びせては無力化している。
敵も必死に抵抗しようとしているが、明らかに白亜の弾速についていけてない。
遠距離攻撃を仕掛けてきた敵も居たが、それすらも白亜は踊るように躱し、返礼とばかりにその鋭い銃弾を浴びせかけている。
白亜が動く度にその長い銀髪が流れ、アクアブルーの瞳が青い線を描く。
その戦いは舞を舞っているようで実に美しい。
「本当に頼りになるな」
俺も一瞬見惚れるが、ある事実に気付いてしまう。
っていうか、正直これ、白亜一人でも十分だったんじゃね?
そんな俺の思考に気付いたのか、白亜は敵のハルバードを避けながらどや顔でウインクを飛ばして来やがった。
スッ
俺は霞を発動させ飛んできたハートを避ける。
だってあれ、なんかマーキング効果とかありそうだったんだもん!
すると白亜は不機嫌な顔になり敵に銃を構えると、そのハルバード男の股間目掛けて銃弾を発射しやがった。
バンバンバン!!
計三発。銃弾が男の股間に吸い込まれる。
「ひゅっつ!?」
直撃を受けた男は一瞬の引き攣った悲鳴の後、泡を吹いてその場で倒れ伏す。
「うわ~、痛そぉ~」
同時、俺の下腹部もシュンとする。
思わず祈らずにはいられない。
来世はTSして転生できればいいね、と。
俺は心の中でハルバード男とその息子に冥福を祈りながら、残りの邪神教徒達に向き直る。
その顔には恐怖と戦慄がありありと浮かんでいる。
まあ、それはそうだろう。
数で言えば自分たちの方が圧倒的優位。
にもかかわらず味方が次々に蹂躙されているのだから。
特に白亜。
その殲滅力と容赦のなさには俺でも恐怖を覚えるほどだ。
故に言葉が漏れる。
「そうだよね、分かるよ。白亜って怖いよね」
俺がそう言葉をもらした刹那――――
バヒュン!!
風切り音と共に、後方から何かが俺の右耳をかすめいった。
いや、何かではない。それは音すらはるかに置き去りにした蒼白い銃弾だった。
「「「「・・・・・・」」」」」
押し黙る俺と邪神教徒達。
きっと今、俺達の心は一つになっているだろう。
『白亜の悪口は絶対に言わないようにしよう!!』
俺は深呼吸を一つして、恐怖する心を静め邪神教徒達に向き直る。
そして――――
「お縄に付けや、おらぁーーーー!!!」
邪神教徒達に襲い掛かるのであった。
◇◇
それから数分後。
俺達は最後の邪神教徒を追い詰めていた。
「くそっ、何でこいつらこんなに強いんだよ!?」
そいつは槍を構えながら一歩、また一歩と後退る。
「それはご主人様への愛ゆえに、ですかねぇ」
白亜が、一歩前に出て大きな胸を張る。
そのどや顔に思わず、
先ほどその愛するご主人様に銃口を向けていましたよね?
そんなツッコミをしたくなったが決して口には出さない。
だって口に出したらまた鉛球をプレゼントされそうなんだもん。
エロゲ紳士の皆さんは空気を読めるんです、ヒロイン限定で。
だが、敵はそんな冗談に付き合っている余裕も無いようで、額から冷や汗を流し必死に俺達から距離をとっている。
やつは背後の通路に逃げ込もうとしているのだ。
で、何で俺達がこいつを制圧しないのか?
それはこの先の通路の道案内をこいつにしてもらおうと思っているからだ。
ここまでの地下施設と今回戦った邪神教徒。
確かにイリーガルな実験痕やそれなりの邪神教徒は居たが、この規模の施設に対しては明らかに見合っていない。
都市内にこれだけの秘密のスペースがあるのだ。
ここは邪神教団の都市内拠点としてもそれなりの重要度を担っている可能性が高い。
であれば、さらに重要度の高い実験をしていたり、戦闘に秀でた幹部級の者がこの先に居るだろう。
そんなところならば自分達で探し回るより、相手に案内させた方が効率的だ。
というわけで俺達はこいつが逃亡するのを待っている訳だが、敵さんはちらちらと後方の通路を見ながら逡巡の表情と作り、それでも撤退を選ばない。
何故だろう? 通路の先に怖い怖いヤンデレヒロインでも待っているのだろうか?
だが、そろそろこちらもじれてきた。
どうするか?
時間を無駄にするのも本意ではないし、いっそこいつを倒して先に進むか。
そう判断して、一歩踏み出そうとしたところで、
ズザッ、ズザッ、ズザッ、ズザッ、ズザッ
通路の奥からこちらに歩いてくる複数の足音が響いてきた。
俺は口の端を吊り上げる。
「お出ましか」
その呟きが広い空間に響くのであった。




