2-14 メイドはハイドも得意です
昨日もブックマークと評価頂きました!本当にありがとうございます!すごく感謝です!!
それと、注目度ランキング35位にも入るとことが出来ました!これからも皆さんに笑いと元気を与えられるような作品になるよう頑張りますので、今後もお付き合い頂けると嬉しいです!!
俺がマザーギリタブリルを倒し『神鋼』を回収したその帰り。
何故か俺の家の周りに、邪神教団と思しき黒フードの男達が居た。
しかも3人も。
それを見た途端、俺の中のテンションは地面を抜けて地球の核まで届くほど落下した。
自分でも目が死んでいるのが分かる。
何故かって?
だって、あいつらが関わると絶対ろくなことにならないんだもん。
SAHで月夜を闇堕ちさせたり、都市を襲撃したり、瑚兎を殺したり。
まあ、その辺は〈狂楽〉たる俺のせいでもあるんだが。
まあ、なんにせよ、良からぬ企みをしているのは間違いないだろう。
「さて、どうしたもんか」
俺は奴らから少し距離をとり、物陰に身を潜めながらその様子を観察する。
見た限り、あいつらの中に手練れと思われる者は居ない。
恐らく監視のみを前提としている連中。
「ならその対象は誰だ?」
真っ先に思い浮かぶのは邪神と戦ったり混神の盃の件でやらかした俺だが、それを知っている者は邪神本人以外は居ないはずだ。
仮に奴らがその情報を得て俺に干渉しに来ているのだとしたら、戦闘要員が居ないのもおかしいだろう。
その他の可能性としてはスカウトか?
だが、今の俺に闇堕ちする要因が無いことは阿賀稚あたりが把握しているだろう。
あとは月夜と白亜だが、二人が邪神教団に目を付けられるようなことをしているとは思えない。思えない? 思えないよな?
俺の脳裏にノエルと戦って街を破壊する月夜の姿や、スカートの端から重火器をゴトゴトと落として歩く白亜の姿が思い浮かぶ。
だがうん、それはきっと気にしすぎだろう?
だって、魔法少女が街を破壊したり、メイドがスカートの中に重火器を隠し持つのは一般常識だ!
邪神教団もその程度の一般常識はあるだろう?
「分からないな・・・・・・」
俺は至極真剣な表情で呟く。
そうして、しばらくの間、奴らの様子を監視していると、奴ら一か所に集まって何やら相談を始めやがった。
気になって、その一人の唇を読む。
何々?
「監視・・・・・・待機・・・・・・一人・・・報告・・・・拠点・・・・・・・」
あーうん、なるほどね。
監視は継続で一人だけ拠点に戻って報告するわけね。
俺がそれを理解するのと同時、邪神教団のうち一人が闇に溶ける様にその場を離脱する。
「うむ、どうするか」
俺は一人思案する。
本当は関わりたくない、とても関わりたくない、すごく関わりたくない。
だが、放置するのも危険な気がする。
あいつら普段はコソコソしているくせに、本気で致命的な罠を仕掛けて来やがるから。
万が一月夜や白亜が被害にあったら、俺は悔やんでも悔やみきれない。
それに、ここに残るのも非戦闘要員二人だけなら問題は起きないだろう。
なら、奴らの目的を聞き出して、必要であれば叩き潰す方が有効か。
「追うか・・・・・・」
そう判断し、俺が一歩踏み出そうとしたその時、
「ご主人さぁ~まぁ?」
唐突に俺のすぐ耳元、囁きかけるような声が鼓膜を震わせた。
「!?!?」
とっさに飛びのいて距離を取り、朧桜の柄に手をかける。
ズザザと靴底がアスファルトと擦れる音がして、微かに靴のゴムが溶けた匂いがする。
確かに周囲に人の気配はなかったはずだ!!
俺は警戒し、その声の主を確認する。
するとそこには銀髪の女性。
その端正な顔立ちに悪戯っ子のような笑顔を浮かべ、耳にかかる銀の髪をそっと掬い上げている美少女が居た。
その顔を見て、俺ははぁ~と安堵の息をつく。
「は、白亜か・・・・・・」
それは、メイド服を着た銀髪美少女。我が家のメイド白亜だった。
「はい、白亜です」
白亜はその顔に爽やかな笑顔を浮かべ、こちらを眺めている。
俺はそれにぎこちなく視線を合わせる。
正直、突然のことで今も心臓がバクバクいっている。
本気で気配を察知できなかった。
邪神教団に見つかったのかと思って本気で焦ったぞ。
ヒロインが鉈をもって暗闇から現れた瞬間の主人公ってこんな感じだったのかもしれない。
「それで、白亜は何しているんだ?」
だが、今はそんなことに戦慄している場合じゃない。
先ほどの邪神教団の教徒を追いかけて拠点と、俺の家を監視していた理由を吐かせなければいけない。
「私はお買い物ですが」
そう言って白亜は手に持った買い物袋を掲げる。
その日常的な光景に少し心が安定を取り戻す。
この光景を護りたい。本当にそう思う。
であれば今は俺のやるべきことをやろう。
心の中で意識を切り替えると、俺は白亜に家に帰るようにと口を開きかける。
だが、
「ご主人様こそ、家の前で何をコソコソしていらっしゃるのですか?」
そんな俺をよそに、白亜は一歩詰めて来た。
その眼は「私、知りたいです!!」と主張しているようだ。
俺はその白亜の様子に鼻白んでしまう。
短い付き合いだが、こうなった白亜は絶対に引き下がらない。それが分かっているからだ。
だが、素直に答えるわけにはいかない。
俺は白亜も危険に巻き込みたくはないのだ。
「‥‥‥」
俺が黙っていると、白亜は俺の反応を待つようにじっとこちらを見つめて来る。
無言の時間。
けれどあまり時間をかけてはいられない。
既に信徒の気配はだいぶ遠くなっている。
これ以上離れれば俺でも追跡するのは不可能だ。
俺は瞬時に思考を巡らせる。
白亜への言い訳、奴らを逃した時のリスク、話した時の白亜の反応。
それらを頭の中でシミュレーションし――――
「大丈夫ですよ、ご主人様」
そこで、白亜が澄んだ声で話しかけて来た。
その深い海の様なアクアブルーの瞳はじっとこちらを見つめている。
「私はどんな戦場でもご主人様をお守りいたします」
全てを見透かされているような瞳。
じっと俺を見つめるその瞳には揺るぎない信念が見える。
だから俺は――――
「分かった、信じるぞ白亜!!」
「はい、ご主人様!!」
そうして俺達は頷き合うと、闇に消えていった邪神教団を追うのであった。
なお、回収した素材やアイテムに関しては白亜の不思議スカートの中に無事収納出来ました。
メイドのスカートに人は収納できますか!?可能なら俺も入れて!!
そう思ったことは秘密である。




