表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/57

2-5 神剣『陽天』

 そんなこんながあっての都市中央。

そこには荘厳という言葉では表しきれないほどの、豪奢で、けれど清廉な神殿が鎮座していた。


それは前世でいう所のヨーロッパの某大聖堂の様。

天を突くほどの3本の尖塔は、それぞれ3本の神剣に対応している。

第二都市では3本の中央、『陽天』の塔に繋がる形で、これまた流麗なステンドグラスが光を反射する礼拝堂が、訪れる者にその威容を誇っている。


そのステンドグラスの下、礼拝堂の入り口には高さ20mほどの大扉。

開け放たれた大扉からは多くの信者が出入りをしている。


俺もノエルと一緒に、入り口の信者の男性に挨拶をして大扉の中に入る。

そして――――


一歩踏み込んだ瞬間、空気が変わった。


満ちる神気と祈り。

浄化された空気と光。


大扉の向こうには、左右に整然と並べられた木製の長椅子。

左右の光とりのステンドグラスからは七色の光が降り注ぎ、空気を乱反射して礼拝堂内部を彩っている。

中央には奥まで続く石畳が敷かれ、

さらにその先、

そこに、

それは、

あった――――


天まで伸びる円柱状の光のベールの結界。

中央に技術の粋を詰め込んだかの様な彫刻が刻まれた白亜の台座。

そして、その上――――


柄を上にした形で台座の上に浮遊する一振りの剣。


神剣『陽天』


「きれい‥‥‥だね‥‥‥」


隣のノエルからそんな声が漏れる。

その剣は空を思わせる青色の柄に、装飾があしらわれた黄金に輝く剣身を持った剣。

見る者に畏怖と共に安心感を与えるそれは、まるで全てを焼き尽くす苛烈な炎のようでも、体を優しく温め太陽のようでもあった。


まさに神剣の名にふさわしい一振り。


今でこそ中央神殿には何十回も通いその威容に慣れて来はしたが、正直その剣を最初に見た時の俺も同じ反応をしたものだ。


こればかりはSAHで見るのと、本物を見るのでは圧倒的に違うよな‥‥‥。


そんなことを思いながら、俺達は、しばらくそのまま神剣を眺め続けた。




それからどれぐらいの時間が経った頃だろう。

神剣から視線を外したところで俺は、膝を着き光のベールの前で熱心に祈りを捧げる同年代の女の子に気が付いた。


あまりに熱心な後ろ姿と見慣れた服装。

それに誘導される様に、俺はゆっくりとその少女に視線を移す。


そう、少女が纏っているのは白筑学園の制服。

後ろ姿から分かるのは、少し癖のある肩口で切りそろえられ濃い茶色の髪と、小麦色の肌。

首筋から見えるその肌は健康的に日焼けしており、その姿だけでも彼女の活発な性格が見える様だ。


何処か見覚えのある、いや、確実に見覚えのあるその姿――――


それを認識した途端、俺の意識が一気に切り替わる。

先ほどのぼんやりとしたものから、警戒を含むものに!


何故彼女がここに?

いや、彼女がここに居ること自体はあり得ることだ、しかし――――


そこまで考えたところで隣のノエルもその少女に気付いたのか、声を上げる。


「あっ、日菜ちゃん!!」


教会に響くその明るい声に、少女は一瞬肩をビクリと震わせる。

そのままこちらを振り返り、ゆっくりと開く瞳。


そして、こちらの姿を視認すると、


「ノエルっちに刀祢っちじゃん!

こんなところで何してるの??」


そう言って、快活な笑顔を向けて来るのだった。



神代刀祢の最大の罪


その、元凶が―――――


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ