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2-3 ジャンヌ先生の実技訓練

本日もブックマーク頂きました!本当にありがとうございます!!

今後も更新継続できるように頑張ります!!

「さて、みんな注~目~。

みんなにはぁ~、いまからぁ~、あ~~と、そうそう、実技訓練をしてもらいまぁ~す」


ジャンヌ先生はすぐに手を下ろすと、そのままゆっくりと横に備えてあったビーズクッションに寝転がってしまう。


おおぅ!?


その一瞬、ジャージから覗くお臍と、その上にあるとても立派な御山の麓がちらりと見えてチェリーハートがドキドキしてしまう。

何か、気だるい系大人の女性のふとした瞬間に見える色っぽさって破壊力があるよね。


そんな邪なことを考えていると、ふと眼鏡の底でこちらを睨んでいるジャンヌ先生と目があった。

その瞬間、ジャンヌ先生の右手がぶれて‥‥‥


突如、世界が一気にセピア色に変色する。

そして時が止まった俺の眼前1cm。

そこには大きなヒマワリの種が浮かんでいた。


『あっぶねー、これ完全に潰しにきてらっしゃるじゃん!?』


俺はジャンヌ先生の絶技に驚愕とともに畏怖を覚える。

まあ、このヒマワリの種は避ける準備をしておいてっと。


俺は目前に表示された選択肢に目を移す。

そこには


【1】見てません、見てませんとも、俺は無罪です!!

【2】先生、そんなクッションより僕を下に敷きませんか?

【3】ヒマワリの茎って、なんかエロいよね!!


『‥‥‥‥‥‥

うん、【1】。

ってか【1】以外無いだろう?

【2】は、選んだ瞬間クラスメイトからの視線が酷いことになりそう‥‥‥

そのまま孤独な学園生活を送って、バッドエンドになる流れか?

あれ、何か目が霞んで、前世の記憶がフラッシュバックしてきたような‥‥‥


いや、気のせいだ気のせい!!


あと他には【3】だが、これは論外かな?

ヒマワリの茎ってエロいか? エロいのか? う~ん、エロいかもしれない!!

あの太さとか、力強さとか‥‥‥

はっ!? 違った!!

ダメだ、これ以上は考えちゃいけない。これ以上考えたらヒマワリ畑を歩けなくなる!!

よし、今回の選択肢は【1】だ!!



瞬間、周囲の時の流れが元に戻る。

俺はヒマワリの種を必死に避けるふりをする。

そして、きりっとした表情で取り繕う。

見てません、見てませんとも、俺は無罪です!!


そう目線で主張するが、その懐疑的な眼差しは止まない。


しかし、まさかあの一瞬の視線を察するとは。

やはりこの人、ダメな風を装っているけどかなりの実力者だな。


そう、彼女、ジャンヌ・オルレアンは平時こそダラダラにだらけ、ドロドロに溶けた生活をしているが、実際はかなりの強者である。

SAHの中でも〈狂楽〉が暴動を起こした際、生徒を護るために奮闘していた彼女には胸を突き動かされたものだ。


そうして数瞬。

ジャンヌ先生はそれ以上は面倒くさいと思ったのか、軽くため息をつくと、一瞬でその表情をだらけたものに戻し隣の小さな台を指さす。

その上には軍服を着こなした3匹のハムスター。

それは他者干渉型の能力で鍛え上げたジャンヌ先生の使役獣。


「え~~、本日ご指導くださる、ハム大佐、ハム中佐、ハム少佐です。

では、ハムさん達、あとはよろしく~~」


そうして自身はビーズクッションに顔を埋めてお休みになられた。

その様子に生徒から困惑の雰囲気が漏れ出す。

しかし、それもすぐにかき消される。


ピーーーーーーーーーー!!!


何故なら、右眼に眼帯を付けたハム大佐と呼ばれた一匹が笛を高らかと吹き鳴らしたからだ。


生徒の注目がハムさん達に集まる。

すると今度は顔に傷があるハム少佐がテロップを掲げたではないか。


『ただ今より実技訓練を始める!!

監督は主に変わり我らハムさんソルジャーが行う。

文句がある奴は名乗り出ろ!!

そのケツ穴に巨大ヒマワリをぶち込んで再教育してやる。

返事は「はい」か「イエス」だ!!

理解した奴はサーイエッサーで返事をしろ!!

いいか!!』


「「「「サー、イエッサー!!!」」」」

「「「‥‥‥」」」


そして、命運が分かれた。


ハムさんソルジャー達の実力を瞬時に理解し返事を返せた生徒が半数。

理解しても返事が出来なかった生徒が1/4。

理解も返事も出来なかった生徒が1/4。


刹那、


バッシーーン!!


葉巻を咥えたハム中佐が一瞬で台から消えると、返事をしなかった生徒たちのケツにぶっといひまわりでケツバットをかましたのだ。


ケツの痛みにもだえ苦しむ生徒達。

全ての音が一つにしか聞こえないほどの超速のケツバットはもちろんそれ相応の威力をもって生徒達を地に叩き伏せた。


あれは俺でも臨戦態勢を取っていなかったら回避できないだろうな。


そんなことを思いながらも、もちろん俺はしっかりと返事をしたため、ケツバットは免れている。

向こうではパーシと近藤がケツを押さえて蹲っているのが見える。

ハムさんソルジャー恐ろしや。


そうして、再度ハムさんソルジャーによる説明が始まる。


『では、指導が済んだところで今回の授業を始める。

神気を鍛えるためには何が必要か!!

それは心からの願い、あるいは危機を打ち破る際の心の震えだ!!

今回、その精神の高ぶりを引き出すために貴様らに大事な物を用意させた!!

まさか忘れたようなクソ虫はいないな!!』


「「「「「サー、イエッサー」」」」」


『いいだろう、では今回の授業はそれを使って〈鬼ごっこ〉を行う!!

鬼は我らハムさんソルジャーズだ!!

我々は、貴様らのもってきた粗末な物を全力で破壊しにかかる!!

お前らのやることは、それをチャイムが鳴るまで守りきることだ!!

まあ、我々は貴様らのおもちゃが壊れようが、壊れまいが神気が高まればそれでいいがな!!

それが嫌なら死ぬ気で守れ!!

そうでなければ貴様らは、そのクソな物を二度と拝むことは出来なくなるぞ!!!』


そう言って(実際はテロップだが)、ハムさんソルジャー達はニヤリと笑う。

それは歴戦の猛者の獰猛な笑み。

生徒達に緊張が走る。


『それでは開始する。

範囲は校庭全体。制限時間はこの授業一杯。

カウント開始だ、3・2・1――――』


生徒達が一斉にその場から離脱する。

その手には己の武器と、大切な物品。


『0』


瞬間、ハムさんソルジャー達の姿が掻き消える。

続いて響く、何かを破砕する音。


見やると、


「うおぉおおおお、俺の限定1/1ミラちゃんフィギアがーーーー!!」


泣きながら地面に四つん這いになる少年と、粉々に壊れたフィギアの破片。

彼の目の前には、生首のようなミラちゃんの顔が転がっている。


「「「「!?!?!?!」」」」


生徒達の間に戦慄が走る!!


その光景に俺も思わず恐怖する!


馬鹿野郎が!!

だからあれほどデカいものは持ってくるなと言ったのに!!!あれ、言ったっけ?

うん、言ってないな!


けれども、俺には彼の気持ちがよく分かる。

俺だって、お気に入りフィギア、しかも等身大フィギアが壊れたら数日は寝込む自信がある!

しょうがない、後で俺の一押しエロゲCDを持って行ってやろう。

きっと心の癒しになってくれるはずだ!


俺がそんなことを考えている間にもドガン、メキッ、ガシャンと音が響く。

ハムさんソルジャー達が次々と生徒の大事な物を壊していっているのだ。


それと同時に、

「私のお気に入りの時計が――」だの

「1年間とっておいた某有名店限定のシュークリームが――――」だの

「月夜様のフィギアが―――」だの

「姫園さんの食べたパンの袋が―――」だの

「刀祢君×近藤の薄い本が―――」だのと言った叫びが聞こえてくる。


おい、最後の奴誰だ!?

そんなもの墨に沈めて読めなくしてから青い竜の地獄の業火で完全焼却しなさい!!


俺の心の叫びをよそに、校庭を駆け巡る3つの暴虐の嵐。

もはやそこは平和な校庭ではなく、阿鼻叫喚の戦場だった。


「はは、まったく、本当にこの学園には退屈しないな」


思わず漏れる心の声。ちょうど、嵐のうちの一つが俺の方に迫ってきている。

俺はその嵐を見つめ、朧桜を構える。


「んじゃ、いっちょやったりますか」


そうして俺は、戦場に身を投じるのだった。





それから約45分。授業の終了までは5分を切っている。

俺の周りには6人の生徒。

俺達は互いの死角を埋めるように背を合わせながら武器を構えている。


「そうか、生き残ったのは俺達だけか」


その姿は汗と泥、そして倒れていった仲間たちの涙ですっかり汚れている。

そんな中、一人の女子生徒が呟く。


「私達‥‥‥もう、ダメなのかな‥‥‥」


その女子は褐色の頬に涙を流している。


「っつ、そんなこと言うじゃねーよ!!

あと5分、あと5分生き残れば俺達の勝ちだ!!」


リーゼント頭の男子が気勢を上げる。


「そうです、あと5分です、諦めないでください。

貴方にもあるでしょう、絶対に護りたいものが。

生き残りましょう、私達で!!」


眼鏡の男子生徒がさらに鼓舞する。


「そうだな、そうだ。生き残ろう。

大丈夫俺達ならできる!!

あとさ、こんな時に言うことじゃないかもしれないんけど‥‥‥。

俺、この戦いが終わったら彼女と結婚するんだ!!」


某アニメキャラのフィギアを強く握りしめながら、胸に『働いたら負けだ』とかいたTシャツを着た男子生徒が叫ぶ。


「だめだ!!それは死亡フラ――――」


俺がそこまで言いかけたところで、男子生徒の足元から一匹の獣が飛び上がる。

それは神速!!


けれど、甘い!!


俺はとっさに男子生徒とその獣、ハム中佐の間に朧桜を割り込ませる。


ガキンと硬質な音がして俺の朧桜とハム中佐のサバイバルナイフがぶつかり合う。


「ありがとう、たすか――――」


だが、そこで男子生徒の声が途切れた。

横目で見やると、上空から強襲したハム少佐が男子生徒の頭にメリケンサックを叩きこみ、そのままフィギアを破壊するところだった!!


「モブ川~~~~~!!!」


俺達の悲痛な声が響く。


くそっ足元のハム中佐に注意を向けすぎた。


そこで俺の動揺を悟ったのか、空気を裂く音共に遠方から一条の弾丸が高速で飛来してきた!!!


それはハム大佐の超音速の殺意!!


とっさに身を躱そうにも、ここで避ければ褐色女子の手にあるペンダントに当たってしまう。


彼女は言っていた、

「これ、昔お母さんからもらったものなんだよね‥‥‥」

そう寂しそうに‥‥‥。


そんな大事な物を壊すわけにはいかない。

いや、この子の場合その言葉を素直に受け取るのは危険すぎる気もするが、何にせよ今は仲間だ!!


俺は迫る衝撃を覚悟する。


だが―――――


バシン!!


その殺意は、俺の直前で真っ二つに切り裂かれる。

そこには巨大枝切り鋏を持ったノエル。


「大丈夫?刀祢ちゃん??」


どうやらノエルが助けてくれたようだ。


「ああ、助かった、ありがとう」


俺が素直なお礼を述べると、ノエルが嬉しそうに顔を綻ばせる。


「当然だよ、私、刀祢ちゃんのお嫁さんだもん。

あ、ちなみに私の大事な物は、刀祢ちゃんが家で使ったスプーンだよ」


頬を染めてはにかむノエル。

隣ではNATOの近藤が目を血走らせて俺を見ているが、今はそれに構っている余裕が無い。


その間にもハムさんソルジャー達は次々と激しい攻撃を仕掛けて来る!!


俺達はその攻撃を必死に受け、いなし、弾く。


その瞬間、俺達は一つだった――――


絶対に護り抜くという強い意志、その意志の元、通じ合い、死闘を尽くした。


残り時間あと1分!


ハムさんソルジャーの攻撃がさらに激しさを増して俺達に襲い掛かる。


そして3・2・1――――――


キーーンコーーンカーーンコーーン


ついに響く運命の鐘の音。

途端、大人しくなる3匹の獣。

それと向かい合い肩で息をする俺達。

むくりとビーズクッションから起き上がるジャンヌ先生。


「はぁい、それじゃ今日の授業おしまい、かいさ~~ん」


その間延びした声で、俺達は地獄から解放されるのだった。


Xもやってますので、良ければ見に来てください!!

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