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2-1 初登校

ここから2章になります。これからもよろしくお願いします!!

一日は盃砕きと邪神戦。

二日目は料理の後遺症と、自宅に帰った後の月夜&白亜の手厚すぎる看護。


そんなこんなで2日間を消費してしまった俺は、現在Sクラスの教室前に居る。

本当は盃のレベルをもう少し上げたかったがしょうがない。

何より、混神の盃に変化したものが、どんな影響を与えて来るのか、神気の盃と同じレベルアップ条件でよいのか、それすらも分からない。


俺はため息とともに周りを見やる。

隣にはニコニコと腕を絡ませているノエル。


そして、そんな俺達の周囲には大量の人、人、人。

いずれも打倒され、地に付している屍の山。


あ、ちゃんとみんな生きてますよ。

その証拠にほら、みんな白目向きながらピクピク動いてるでしょ?

そういえば、前世で飼ってた犬も寝ぼけてる時こんな表情でしてたな。


そんなことを思い出しながら俺は襲ってきたやつらを眺める。

すると、そのほとんどが制服の一部にTOY、あるいはNATOの文字が書かれたエンブレムをつけている。


「うわ~刀祢ちゃん、いっぱいだね~」


ノエルはさらに密着してくると、耳元で囁いてきた。

止めなさいノエルさん、NATOの皆様がビクンビクンして、陸に上がった魚みたいに跳ねまわっていらっしゃってるから。


その光景はホラー以外の何物でもなかったが、俺は意識して視界から外す。

これ以上こいつらの相手なんぞしてられるか。


「しかし、これが瑚兎が言っていた常在戦場。闇討ち辻斬り何でもござれか‥‥‥」


屍の山を眺めながら、俺は目を細める。

その光景に諸行無常を感じながら、屍の山を跨ぎ俺は教室に入る。


ガラガラガラ


教室の扉を開けた瞬間、その音に教室中の視線が俺の方に集中する。


一瞬の静寂――――


だが水を打ったのは一瞬だけ。

ほどなく周囲は再び会話に華を咲かせ始める。


けれどな、分かるぞ。

彼ら彼女らが俺に意識の一部を割いているのを!


ここに居るのは、恐らく全員瑚兎と戦った者達。

瑚兎の実力は自らの剣で理解させられたことだろう。


そんな瑚兎に神気まで使わせた、それが俺だ!

彼ら彼女らの注意が俺に向かないわけがない。


「なんか入学早々、人気者になった気分だな」


そんな感想を抱きながら、ノエルの腕組から脱出して俺は自らの席に着く。


机にバッグをかけ、そ知らぬふりで黒板を眺める。


え、クラスメイトの視線が気にならないのかって?

まあ、この程度ならなんてことはない。

なぜなら俺、前世でこのような経験は何度も経験しているからな。


国内で無敗を貫いた時、紛争地帯を平定した時、エトセトラ、エトセトラ。

周囲の人間は俺に畏怖とも羨望ともつかない感情を向けてきていた。

その経験がある俺にとって、学生の注目程度、些事にも満たない。


けれどここは学園だ、周囲の話に興味がないわけではない。


さてでは、ここでは一体どんな会話をしているのやら。

そう思い耳をそばだててみると―――――


「おい、あれが噂の神代刀祢か?」


「そうそう、姫園さんと月夜ちゃんの両方を侍らせてウハウハしているあの神代刀祢だよ」


「くそっなんて羨ましい!!」


「またの名を性欲の剣鬼、スーパーエロリスト刀祢、そんな風にも呼ばれてるんだって」


「うわー、やばーい」


「しかも、それだけじゃないんだよ。

実は彼、自宅では嫌がる姫園さんにナース服を着せたり、月夜ちゃんにはお兄様大好きって言わせてるらしい」


「やだ、サイテーーー!!」


「ほんと男の風上にも置けないやつだわ!!」


「さらにさらに!

なんと彼、家にもう一人美少女メイドがいるんだって。

それで、その子をベッドに縛り付けたり、ペットみたいに扱ってるんだってさ」


「まじ鬼畜~」


「どうしよう、私達、同じ教室に居たら妊娠させられちゃうんじゃない」


「きゃーーーー」



「‥‥‥‥‥‥」


おかしい‥‥‥

予想していたものと違う。

あれ、何か目の奥がツーーンとして、しょっぱい汁があふれ出てきたよ?

そうか、今日の朝は白亜が作ってくれたコンソメスープだったんだよな。

きっとそれが目の奥から溢れてきたんだ‥‥‥


俺は熱くなった目頭を押さえて天を向く。

これが言語による人類の分断か‥‥‥。


俺が悲しみに打ちひしがれていると、しかし横合いから声がかかる。


「おはようございますお義兄さん!」

「ちわっす、刀祢!!」


それはどこかで見たことがある二人組。

そう、それはえーっと。

そうだ、クラス分けの時に戦ったTOYのパーシ・バールとNATOの近藤イサオ!!

ここ二日間のイベントが強烈すぎて、正直忘れかけていた。


「やっぱりお義兄さんもSクラスだったんですね」

「そりゃ当然だろ。あれほどの強さだ、Sクラスにならないわけがねーよ」


そう言って眼鏡をクイクイ、リーゼントを撫で撫で。

それを見てちょっと元気が湧いてくる。

そうして彼らは周りを一瞥すると、ぽんっと俺の肩に手を置いてくる。


「大丈夫ですよお義兄さん、僕は信じてます」

「そうだぜ、刀祢はそんなことをする奴じゃねーよな」


ニヤリと笑う、パーシとイサオ。

眩しい!!

俺にはその笑顔が輝いて見える。

オタクに優しいオタクに、俺の頬をホロリと涙が伝う。


「そう、そうなんだよ!!

ありがとう、ありがとう!!

お前らはちゃんと分かってくれるんだな!!

あの戦いは無駄じゃなかったんだな!!!」


俺がそのあまりの感動に打ち震えていると、


「でも、私ミニスカナース姿で刀祢ちゃんを看病したし、月夜ちゃんもこの前お兄様大好きって言ってたよ?」


真横からピンク色のナパーム弾が降って来やがった。


ピキリ――――


瞬間、二人の笑顔が固まる。


ああ、何故俺の幼馴染様はこんなにも俺に試練を課してくるのだろう。

誰か幼馴染除けスプレーとか本気で開発してくれないだろうか。


そんな現実逃避をしてみるが、しかし現実は変わらない。


目の前で立ち昇る闘気。

眼から血の涙を流すパーシとイサオ。

二人の武器もその血に濡れて泣いているように見える。


「「「‥‥‥」」」


俺は立ち上がる。


そして無言で武器を構え合う俺とパーシとイサオの三人。




数分後、俺が築き上げた屍の山の上に、二人分の高さが追加されるのだった―――――

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