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第44話・建て直すの日々・劫火の魔女⑥

第44話・建て直すの日々・劫火の魔女⑥


==========

ー焦天蓋・灼天神殿完成まで残り36分ー


「これは酷い数……」


オレたちは最初の炎の柱との間に、数えきれない動物形の火に阻まれていた。


奏と楽奈の攻撃で相当数を減らしても、新たな敵が次々と生み出され、終わりのない波のように押し寄せてくる。


「んむぃ……れろ……ぷっはー……ごちそうさま。魔力供給ありがとう。これでぼくはまだ戦える」


唇を離した楽奈はオレの体から降り、すぐにもう一度前線へと赤い波に対抗しに向かった。


……敵を倒すと空気中の自由魔力へ還元されるから、この地の魔力濃度は高まっている。


楽奈以外の全員は長い時間戦えるが、彼女は体内の魔力が常に漏れ続けるため、オレの補給なしではこの激戦に耐えられない。


幸い、彼女は自分の身体状況を上手く把握しているから、無理はしていない。


オレは魔女の熱線を次々とねじ曲げ続けるドクターに尋ねた。


「これは一体何でしょうか?魔女の造物だから、魔物じゃないなら使い魔?」


「『横暴な簒奪』……そうね、使い魔じゃないだろう?『横暴な簒奪』、僕はあれは形を付与されある程度自律行動する魔法だと思うぞ!『横暴な簒奪』ー……む、まだ諦めないか、しつこいな。例えダメージはルカちゃんに肩代わりされるも、足場がどんどん減る危険がある以上、無視はできないし……なら、僕が決戦装甲で一掃ー」


ドクターがそう言いかけた瞬間、前線で聖剣を振るう残桜が叫んで彼女の提案を止めた。


「頭は良いが唯一のいいところなら馬鹿な事は言うなの、先輩!その決戦装甲の魔力タンクが完全装填しても5分だけ戦えるだろう、いま切り札を出せるは何を考えているのだ!」


「あわわ、怒られちゃったからやめよう。『横暴な簒奪、術式解体、魔力回収』、それじゃあどうすればいいだろう?あちらは意志対抗しない限り、僕は残桜ちゃんに負担しない、永久機関のような魔法攻撃と魔力を奪い合いだけど~これはあまり時間が消耗しすぎるぞ?」


そう、魔女側の攻撃欲はあまり高くない。その理由――全部は時間稼ぎに過ぎない。


「必殺の魔法が完成すれば局面をひっくり返す」という決定的なゴールがあるからだ。


オレたちが焦る中、後方一定距離の場所で轟音と共に第三の炎の柱が昇った。


それと共に周囲の熱量がさらに跳ね上がる……もし葵の神域から出たら、きっとドロドロに溶ける地獄絵図になる。


でも、それだけじゃない。第三の本の意味は――


「くっ、残り時間は30分だけ……!このままじゃダメだ、突破しないとー」


オレたちの攻撃で消滅数は造られる速度を超え、徐々に減らされつつあるが、時間が間に合わない。


他の全員の魔法は面より点だ、広域攻撃できる奏はこの場のMVPだろう。


この局面じゃないなら彩音も活躍できるだろうが、今の状態では彼女は「あちゃ~まだ燃え尽きた~ぐぬぬ、次はもっと早く具現すれば。そうだ、パーツで一つ一つに具現すればー」と騒いでいる。


「……ぼくが、やる」


楽奈が前に出た。


「……ぼくがこのルカに改変された夜空から、暗闇を落とす。これは一度で全部の魔力を消費するから、きっと魔力低下状態で落ちるだろう。起きるに兄さんに任された。」


魔力は精神と深く繋がる。

だから彼女の特殊な身体状況で一度に全消耗すれば、他人に供給しない限り、自力で意識が戻れない。

まるで「眠り姫」のような状態永眠する。


「シャドウちゃん、それは……分かった。今回は違ってちゃんとその後の事を考えてるみたいだな。なら全力で行け!オレは絶対にキミを、その永劫みたいな微睡みから連れ帰るに誓う。」


彼女の決意した表情を見ると、オレはもう止めることはできない。


だからオレにできるのは、彼女を連れ帰るという約束だけだ。


「……ん。これこそ、ぼくが信頼する……大好きな兄さん。それじゃあ後で会いましょう。」


「あ、そこ!いい雰囲気で突然の告白はずるいです!」


列の最後で雪菜が騒がしく言うが……。


楽奈は列の一番前で、銀白色の剣光で道を開く残桜の傍へたどり着いた。


残桜も剣を振りながら、楽奈に声をかける。


「覚悟したから、自分も止めない、その決意に感謝するの。その後は暫く休んでくださいの。」


「……うん、後で任せた。」


楽奈は右手を前に伸ばし、手を掲げた。


凶暴な魔力と共に影の魔力が圧縮され、手のひらに物質化した真黒な光が放たれる。


彼女の影のマフラーは魔力の嵐に翻り、ローブのフードを吹き飛ばして隠された白い髪が黒い光の中で輝く。


ラピスのような真紅の瞳が、目の前の全ての敵性目標を捕捉した。


その派手なチャージで普段の認識阻害が解け、魔女側も彼女の存在を放ってはおかない。


火の猛獣たちが集中攻撃を仕掛け、先ほどから乱射していた無数の熱線が止まり、代わりに滅多矢のような熱線が楽奈へ狙撃する。


「自分がその赤い浪を止めるの!ルファ、《聖剣の霊影・八重》の!その四本の制御はお前に任せた、連携はまだ覚えるかの!」

『はい、その意志のままに付いてます。』


残桜は楽奈を守るために聖剣の能力を発動する。


本体から分裂した、まるで残影のような八本の虚影聖剣が展開され、彼女とル・ルファの意のままに縦横無尽に火の猛獣を切り捨てる。


「僕から目を逸らすって寂しいぞ~?他人に狙いするなんて、そうはさせないよ~♪『横暴な簒奪』!ほら、全部返すぞ~」


そして、ドクターがノリノリで全ての熱線を周囲の敵へ曲げて返す。


「来ないでください!《お願い、光の柵を砦になれ》」


「わたしも魔法が使えないけど、刀一本と剣技で何とかなる!先ずはこそこそ潜入した蛇、それと素早い鷹も!ぐ、蝶は小さすぎて切るのが面倒ですー」


奏の祈りで光の砦が狂瀾怒涛の火炎猛獣を足止めする。


雪菜が刀を振るい、残桜の手が届かない周囲の敵を次々と斬り捨てる。


「え、その、マイスターはどうすれば良い?」


「ん……何もできないのうちと共に見守りしましょう。」


彩音も魔法を使えないまま水彩槍で何度か火炎の猛獣を突き刺す。


後で楽奈に魔力を渡すつもりのオレは保有魔力を温存し、大きな目標を狙って魔弾を撃つ。赤い軌跡が敵を貫通する。


ほぼ幽霊のような葵は複雑な感情を抱きながら見守っているが、先の対話で彼女の状態は悪化していないみたいで良かった。


「……みんな、ありがとう。もう、良い。」


そして、やっとチャージが完了した楽奈は、手のひらに具現化した黒い星を下に振り落とした。


「……これがぼくの全身全霊、全ての魔力を込める一撃!魔力集中・オーバーロード:『暗闇よ、無窮なる夜空から崩れ落ちる』」


彼女の手と共に異相(奇跡)が起きた――葵の変身で置き換えられた異界の夜空が一瞬でガラスのようにひび割れ、元の世界の黄昏がその割れ目から覗く。


夜空の破損が修復されると、暗闇が落ちた。


あれは霧のような、滝のような、流動する泥のような、暗闇が世界を一瞬で覆い、赤い浪のような猛獣たちが沈黙の中で葬り去られる。


闇の阻害で、絶え間ない熱線の砲撃も止まった。全てが静かになった。


残されたのは熱風を放つ三本の炎の柱だけ。


でも、その対価として、楽奈の変身が解ける、同時にマフラーが空気中に溶け、影の尻尾もゆっくりと消えていく。


意識を失った彼女はそのまま前に倒れ込む前に――


「おっと、危ない……やっぱり軽いな……シャドウちゃん、お疲れ様でした。キミの魔法は、ちゃんと戦局をひっくり返すことができましたよ。」


オレの腕の中に、楽奈は端正な寝顔で穏やかな呼吸をしていた。


この安寧はただの表象。魔力切れの異常状態で自力に起きられない。


でも、せっかく楽奈の犠牲で作った隙だ。

この好機を見逃すわけにはいかない。供給の時間――


うん?……いつの間にかドクターが何か浮遊する白い円盤のようなアイテムを設置していた。


あ、杖の手袋から出せただろう。


「ドクター教官、あれは?」


「ああー、これは見た通り乗り物だぞ?《全地形浮遊ボード(フロート・ボード)》に呼ばれるいいもの、僕の傑作だ!まあ、減点もあるけど~小さいし、魔力の消費が激しいかな、魔力タンクだけで15分だけ作動できるからさ。シャドウちゃんに魔力供給するだろう?さあさあ、乗れ乗れ~!この後でシャドウちゃんに対して運命の戦いだろう?因縁がある魔女と決戦する前に、彼女を起こしてください!」


「はい、その言葉を甘く受け取って……」


ドクターの催促でオレは楽奈を抱き上げ、そのボードに乗った。


なんだかUFOに乗ったような奇妙な感じだ。


「これでよっしー!最初の炎の柱へ全ての障害が消えた、ゴールへ行こう!レッツゴー!!」


「「「おお!!!」」」


こうして全ての障害が消え、オレたちは焦土を走り出す。この事件の始まりの地へ。





*





走る最中も熱線射撃は中断から再開された。


今回は先ほどとは違い、目の前の道を破壊する妨害行為が激しさを増す。


みんながそれぞれの方法でそれを食い止めた。


残桜は魔力も切れる『滅魔斬』と『残影の聖剣』の同時に展開されで滅多切り、ドクターの簒奪で熱線を屈折させ、奏が光のビームで迎撃し、雪菜が距離を操って地面の穴を飛び越えながら手助けする。


先ほどに比べて圧力は随分と減っていた、オレが支援しないも大丈夫そう。


なら、円盤上のオレも約束した誓言を果たす。


オレは楽奈のローブのフードをそっと持ち上げ、その顔を露わにした。


白い髪がシルクのように広がり、雪のような肌が柔らかな異界の双子月光に輝いている。


小柄な体躯はまるで人形のようだ。ラピスのように深い赤い瞳は今、固く閉じられている。まるで永遠の眠り姫のように、安らかに胸を上下させていた。


オレは指先で彼女の頰に触れる。冷たくて、柔らかい。


誓ったんだ、彼女がこうして意識が戻れない永眠の前に、必ず起こすと。


「……早く起きろよ、オレは必ずキミを、友を助ける決戦前に起こす。」


声は周囲が戦える音と比べて小さくなったけど、その中にオレの決意が込められている。


当然、彼女は反応しない。

ただ穏やかに眠っているだけ。


オレは身を乗り出し、彼女の小さな顔を両手で包み込んだ。

白い髪が指の間をすり抜ける、頬から心地いいもちもちな感触。


唇を近づけ……まず、優しくゆっくりと彼女の唇に自分の唇を重ねた。


最初は優しいタッチだった。柔らかい、ぷるんとした感触。


魔力が粘膜からゆっくりと彼女へ流れ込み、軽い疲労感が体に溜まっていく。


けれど、「ただのキス」だけじゃ遅い。


オレは彼女を深く、もっと深く繋がるを始めた。


舌先で彼女の下唇をなぞる。軽く吸い、歯列の隙間を割って中へ滑り込ませた。


ぬる……っ。彼女の口内は熱く、湿っていた。眠っているせいか、唾液が少し溜まっている。オレの舌が彼女の舌に絡みつくと、じゅる……と小さな水音が立った。


「ん……」


微かな吐息が彼女の鼻から漏れる。でも目はまだ閉じたまま。


オレはさらに深く侵入した。


舌を彼女の奥まで押し込み、ぐるぐるとかき回す。ドロドロとした唾液が混ざり合い、オレの口内にも彼女の甘い味が広がっていく。


しゅぷ、じゅるる……と変な音が響き始めた。


(やっはり、そのようなことがオレに似合わない......少々情けないけど、本来であればオレが魔法少女相手に主導権を握れることはほぼ不可能なことだから、このようなキスも暴走した彼女たちの行動を真似するだけ......でも、まだ起きないみたい、こうやって宜しいでしょうか?)


白い髪を掻き乱しながら、オレは彼女の頭を抱き寄せた。


角度を変え、斜めから深く突き刺すようなディープキス。


オレの舌が彼女の舌をねっとりと搦め捕り、吸い上げ、絡め取り、押し潰す。


溢れた唾液が彼女の口角から糸を引いて滴り落ち、細い顎を伝って白い首筋を濡らしていく。


しっぷ……しゅぷっ……じゅるるるっ


ドロドロな、熱い唾液が二人分の口の中で混じり合い、互いの唇をべっとりとコーティングする。


オレは彼女の小さな体を腕中に力を込めて抱っこながら、キスを続ける。


舌を抜いてはまた深く突き入れ、彼女の口内を隅々まで犯すように貪った。


すると——


楽奈の宝石のように綺麗な赤い瞳が、ゆっくりと開いた。


「……っん?」


一瞬、焦点が合わない。

赤い瞳がぼんやりと夜空をさまよい、寝ぼけたような虚ろな表情のまま、オレの顔を捉えるまで数秒かかった。


白い睫毛がゆっくり瞬き、意識がまだ夢と現実の狭間に留まっているようだった。


「楽奈ちゃん……?やっと起きたのか!?」


オレが唇を少し離して囁くと、彼女は無言で感情の薄い顔を、ただぼーっとオレを見つめている。


小柄な体はまだ力が入らず、ただ大人しく座っているだけ。


「おい~起きているのか、それともまだ寝ぼけてる?まさか魔力低下の異常状態で他のなにがー」


その瞬間、彼女の細い手が、突然オレの胸を押し返した。


「え……?」


バランスを崩したオレは、円盤の上に仰向けに押し倒された。


驚く間もなく、彼女の小さな体がオレの上に覆い被さってくる。


肩まで伸びた白い髪がカーテンのようにオレの顔に落ちてきた。


「……ん」


彼女の赤い瞳が、さっきまでのぼんやりとした寝ぼけ顔から一変していた。


瞳の奥に、熱いものが灯っている。


普段は感情が薄く、無口で神秘的な彼女が——今、明らかに貪欲だった。


彼女はオレの顔を両手で挟み、勢いよく唇を重ねてきた。


先ほどの体勢と真逆の、完全な逆転。


じゅうっ……♡


最初から深かった。


オレの唇を貪るように吸い、すぐに舌を強引にねじ込んでくる。


熱くぬるぬるした舌がオレの舌を絡め取り、激しくかき回し始めた。


あんまりにも楽奈らしくない激しいやり方だ。


ドロドロだ。彼女の唾液が大量に流れ込み、オレの口内を満たしていく。


寝ていたせいか、普段より甘く粘度の高い蜜のような唾液が、オレの舌をべっとりと包み込む。


斜め上からさらに深く舌を突き刺し、オレの奥歯の裏まで舐め回した。


「ん、ぐっ、ちょっとー……はぁ……む」


オレが息を漏らすと、彼女はそれを許さない。


白い髪を振り乱しながら、オレの頭を抱え込み、貪るようなディープキスを浴びせてくる。


小柄な体をオレに密着させ、細い腰をくねらせながら、舌を激しく絡め続ける。


彼女の小さな舌がオレの舌を吸い上げ、巻き付け、ねっとりと搦め捕る。


まるでオレの全てを吸い尽くそうとするような、貪欲な動き。


魔力と体力の二重ドレインと身体能力の差で出来ることは、彼女の背中を軽く叩いて投降の合図を示すだけだった。


「……もっと、魔力をぼくにー!」


魔力が再び彼女の体を満たし、その影の尻尾が再び現れた。


でも、その尻尾は普段のネコのようなのイメージとは違って、彼女の心の状態に反応で尻尾の形が全然見たことのない、悪魔みたいなもの。

オレに逃がさないように、ぎゅっとして影の尻尾でオレに縛られる。


オレはある言葉が自然的に唇から言い出しー


「......悪魔楽奈、ちゃん」


彼女が、こんなに積極的になるなんて。


オレが呆然としていると、彼女の表情が崩れて、誘惑的な微笑みでさらに体を沈め、もう一度キスを深くした。


……



時間が経過し、肌がぴちぴちと潤された楽奈は、超元気な状態で正気に戻った。


対価としてオレは干からびそうになり、指一本も動けない状態で円盤に倒れていた。


彼女の赤い瞳が完全に開け、バッチバッチに瞬きをする。


「……ぼくは一体ー?この円盤は?……確か、ぼくは魔力集中の大魔法を使って気絶しただっけ?え、兄さん!?どうしてぼくの下に……目が死んでいる!?」


幸い、オレの意識と理性がギリギリ耐えてきた頃で悪魔楽奈は正常状態に戻れた……大丈夫、この魔力が豊かな場所ならすぐ回復するから心配は要らない。


「……うわああ、兄さん死なないでー!」


話す力も無くなったから、今はオレの頭を揺らさないで欲しいです、まじて。

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