表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/46

第4話・魔法少女のお仕事、事後処理

第4話・魔法少女のお仕事、事後処理


==========

「……もう、大丈夫そうだ」


車中から見守っていた雪菜さん――いや、魔法少女・白雪の戦いは、想定外の事故もなく終わった。


ただ、最後に叫んだあのセリフ。

あれは昔、一緒に遊んだRPGゲームの魔王の名台詞だ。まさか今でも覚えているとは。


魔力は精神と強く結びついている。

だいたい魔力量が半分を切るあたりから精神に影響が出始める。


魔力のおかげで身体能力は強化される一方、魔力の低下は精神疲労として反動が来る。


普段は小隊で風紀委員みたいに真面目な彼女が、あんな大胆なことを言ったのは……まあ、今回魔力低下の影響、恐らく「興奮」状態になっていたのだろう。


「魔法少女・白雪。変身を解除しないで、そこの安全な場所で待っていて警戒ください。すぐに合流する」


『……はい。わかりました。あと、その……さっきのセリフは魔力使いすぎたせいなので、忘れてください』


「……はい」


雪菜さんは恥ずかしがっているが、今回の件は明らかに異常事例だ。

おそらく記録は対策局内部で細かく検証されるだろう。

正直、いま彼女に真実を伝えないほうがいい。


とりあえず任務完了を事後処理部隊へ連絡し、異常性から調査員の派遣も要求する。


エンジンをかけ、廃棄工場へ向かった。





*





現場に到着すると、先ほどの音波攻撃と戦闘の余波で建物はさらに崩れそうに見えた。


車を降りた瞬間――

白雪に変身している状態で雪菜さんが、まるで瞬間移動のように目の前へ現れ、反応する間もなく抱きしめられた。力強く、完全に動けない。


「お兄さん!わたし、完璧に任務を達成しました!褒めてください!」


「うわっ、ちょっと待って!こんなところで魔法使う必要ないだろう!?落ち着け落ち着け。いまのキミは魔力低下でテンション上がってるだけだよ。ほら、深呼吸して」


雪菜さんは顔をオレの胸に埋めているので表情は見えないが……

興奮と恥ずかしさがごちゃ混ぜになっているせいか、耳まで真っ赤になっている。


「あのセリフ、昔のゲームのやつだろ?よく覚えてたな」


「忘れるわけ、ない……あれは、大切な……わたしたちの記憶だから……。だから……頭、撫でて……」


「はいはい。一人で任務を最後までやり遂げました、偉い偉い~」


精神安定のためにも、そっと頭をなで続ける。


……


しばらくすると、抱きしめる力がゆるみ、ようやく冷静さを取り戻したのか、雪菜さんはオレから離れた。


「もう平気?」


「うん……さっきは変なところ見せてごめん。もう大丈夫」


強い意志で感情を整えた彼女と、現場の調査を始める。


「……これは、やっぱり変だ」


「どうした?」


廃工場の地面に、赤い粒のようなものが一面に散らばっている。


オレはそのひとつを拾って観察する。

小型の魔石よりもさらに細かく、まるで紅い砂だ。


つまり――目の前に広がる赤い粒は、全部「魔石」である。


その瞬間、ひとつの推測が浮かぶ。


「……あの魔物の群れ、全部で一つだったんじゃないか?分身体の原理は元の魔石を分割した、あれ全は本体。おそらく、あの音波攻撃こそが本来の『魔法』……でも、どうして」


「なるほど……だからあんなに脆かったんだ。数を増やした分、個体能力が下がったのね」


もし推測が正しいなら、この異常事例にはさらに深い謎があるということだ。


考察していると、複数の車両が到着し、あれは魔物対策局の武装員と専門家たち、次々と降りてくる。

リーダーらしき人物がこちらへ敬礼した。


「魔物討伐任務、お疲れさまです。魔法少女様、連絡員様。後の処理は我々にお任せください」


「了解しました。こちらは先に支部へ戻ります。その前に……これが先ほど発見した情報です」


オレと雪菜さんは、事前に得た発見と推測を共有した。

これでひとまず任務は完了だ。


「事後処理部隊も来たし、オレたちの仕事はここまでだな。白雪、今回の任務は終了。お疲れさま。異常事例だから報酬計算は少し遅くなるけど……危険度が高かった分、たぶん多めになると思う。支部へ戻ろう。車に乗っていた後、変身解除もいいよ」


「うん、帰ろう」


二人で車に乗り込み、支部へ向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ