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ドラゴン・ドクター  作者: 西谷東
王立アカデミー編
28/74

闇の中で

「まったく……ウィツィ様、後先も考えずに」


淡々とした言葉を呟く女の子。



「トゥーラの意思は、未だにククル様の中だと言うのに」





「ミルカちゃん、まだ手当が終わってないから出て行っちゃダメですよぉ」



ステラが声掛けると



「あれ、わたし……どうして?」



キョトンとした表情のミルカ。


「もう、それはこっちの……あれは」



禍々しい気の立ち込めるネブラ雪山。




「グオオオオオオオン」


飛び上がる黒い竜。



その背に乗ったウィツィは



「よし、このまま音で誘導するよ」



そして、崩れ落ちた雪洞の方を眺める。



「兄さん、埋まっちゃったかな」



左目を抑え



「まあ、死んではいないだろうけど」



黒い竜が飛び去ったのを見計らい



「……行ったか」




気を失ったマティアとククルを抱え、ウェルテクスが着地する。



「ステラ、二人の手当てを」



「すぐに、屋敷の方に運びます」




✳︎✳︎✳︎




暗い闇の中、アズールは目を覚ました。



「……ここは」



そういえば、雪洞で……


思い出そうすると、頭が痛い。



まるで、取り込んだ獲物を徐々に消化しているような空間。



「俺は、このまま……消えるのか?」


誰も居ないのだ。


自然と後ろ向きな回答しか出てこない。



「……ここにお客様とは、珍しい」


ゆっくり、遠くから明かりが近づいてくる。



ランプを片手に、左側を長く伸ばした黒髪の男。



「貴方、消化されかけてますよ」



そう言って、アズールの右肩を指差す。



「これは……」



右肩の辺りまで黒く染まっているのを見て、アズールは顔をしかめた。




「まさか、貴様がこの闇の本体なのか」


アズールの言葉に



「いえいえ、私は食べ残しのようなものです」



男は首を横に振る。



「私は、イツトリ。テスカポリトカの四番目の体です」

始めまして五番目、とイツトリは軽く頭を下げた。



「……四番目って、俺はテスカポリトカに?」



アズールが訪ねると



「……まだ完全ではないでしょう。おそらく、本格的な儀式は、ミクトランの闇の神殿で行われる」



猶予はまだある、とイツトリは続けると



「貴方は、ククルと知り合いのようですね」



先ほど、微かにではあるがバイオリンの音が聞こえていた。



「……あいつのこと、知ってるのか?」



イツトリは深い溜息をつき



「コアトリクエの右を媒介に、彼を作ったのは私です」



(ひょっとして、この人がククルの言ってた知り合いか)









































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