神獣討伐キャンプ
「……は、これで」
微かに、聞こえた女性の声。
「マルタ先生、おはようございます」
近づいて来たロスに
「あら、おはようございます。ロス先生」
マルタは口元を綻ばせる。
「一人ですか? 話し声が聞こえたもので……」
「私の話し相手は、この子ですよ」
そう言って、子猫のルナを抱える。
「ニヤー」
愛らしいルナを見て
「ああ、子猫は可愛いですからね」
ロスの表情は和らぐ。
「つい、話しかけちゃうんですよね。それより、竜騎士学科の一年生は恒例の神獣討伐キャンプで出かけるようですが……今回の場所はどちらです?」
マルタに聞かれ
「フィグルス大森林の方で、一年生の実力には丁度いい低級の神獣が多いですから」
ロスが答えた。
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フィグルス大森林
「今回の目的は、実戦の訓練も兼ねて……」
長々と、ロスの説明が続く。
「まあ、怪我しても医務のレナ先生に治療を頼んでいる」
安心して戦え、とロスは生徒たちに告げる。
「貴様も参加するのか?」
同じく神獣討伐キャンプに参加する、アズールに声を掛けられ
「実力図るにはいい機会だとか言いやがって……無理やり」
ククルは答えるが、不機嫌な表情。
「楽器で、神獣と戦うつもりか」
背中のバイオリンケースを見て、アズールが言う
「フハハハハ、オレのクロノスを舐めたらいかん」
クロノスと言うのは、ククルのバイオリン名前。
バイオリンケースの蓋を開け
「これは、オリハルコンで作られた特別製。二重楽器」
仕掛けを操作すると、バイオリンを剣へと変化させる。
「……まさか、ケツァルコアトル族の遺産か。便利なものだ」
目を見張ったアズールに
「これは含めて、五個あるんだけど」
大昔の戦いで現在は行方不明、とククルが説明。
「まあ、この武器形態は全く使ったことはないけど」
まあ、何とかなるだろと言うククルに
「その自身はどこから来るんだ……」
何度か実技の授業で、手合わせしたがククルはボロ負け。
「紙一重か」と喚いているのを見て、アズールが肩を竦めるには日課になっていた。
「面白い、今日は調子がいいから勝負してやろう。貴様が神獣を一体でも倒すことが出来たら……一つ、言うことを聞いてやる」
ただし、一体も倒せなかったら逆に言うことを聞いてもらう、とアズールが提案した。




