91話:街の西側
レッサーベア戦で2人が攻撃力不足を痛感した翌日からは、再び2人とは別行動になった。
レッサーベアがいるエリアまで行かなければ、今の2人なら問題ないからだ。
むしろ別行動にして、向こうはレベル上げ、俺は金稼ぎをして、早く2人のレベルを上げる方がいいという判断である。
そして、私はレッサーベアを中心に狩る生活にも慣れてきた。
1日で平均すれば5体くらいは倒して、探している間にレッサーウルフやゴブリンも倒している。
稼ぎは多い日で12万G、少なくとも10万Gにはなっている。
それでもレベル17に上げるにはまだまだ足りない。
確かに、これじゃあ腐らずに頑張ってくれとギルドの受付さんが言うのも分かる。
一歩一歩次のレベルには近づいているが、道のりはかなり遠いもんな。
本当にファンドマネージャーのスキルには感謝だな。
◇◇◇
「魔法の習得はどんな状況だ?」
レッサーベア戦から1ヶ月後。どこまで魔法が使えるようになったか、孤児院で見かけてヴェロニカとノクスへ尋ねる。
「少しは掌に集中させられるようになったけど、まだまだね……
周りに風の壁を作って相手を押し出すって魔法は使えるようになったけど、攻撃向きじゃないのよね」
「影の人形を作って戦わせる魔法が使えるようになりました。
これで前衛が増えたので、ヴェロニカの負担は減って、討伐スピードも上がりました」
ノクスは着々と強くなってるようだ。ヴェロニカはまだまだか。
「影の人形の大きさはどれくらい? レッサーウルフに勝てるの?」
「大きさは1mちょっとで、レッサーウルフには勝てないです。
多分ジャイアントラットには勝てるけど、ホーンラビットとはいい勝負という程度だと思います。
休みの日にヴェロニカと戦わせてますが、ヴェロニカの感触だとそれくらいらしいです」
「小さいからなのか、力が弱いのよ」
「そこは使い慣れて、レベルも上がれば強くなると思います。
諦めずに努力を続けます」
数がいればヴェロニカの安全が確保できることもあるからな。
「次のDividendを使うのは、ヴェロニカが魔法を使えるようになってからにするか」
「えーっ! んー。でも仕方ないかな。レベル上げてもらっても魔法が使えなきゃ勝てそうにないし」
「そうだね、2人で頑張ろう、ヴェロニカ」
共に支え合って頑張れ。
「そうだヴェロニカ。すっかり忘れていたんだけど、その籠手の突起を付けてくれた職人さんを紹介してもらえないか?
私の装備の相談をしてみたくて」
「良いわよ。強い冒険者なら大歓迎って言ってたし。
エドワードさんって言うんだけどね、まだ10代後半だったはずよ」
そういえば、今の剣もエドワードさんという若手のホープの作ったものだった気がする。
もしかして同一人物だったりするのか?
まぁ今度の休みの日に訪ねてみよう。受けてくれないかもしれないし。
◇◇◇
次の休みの日。街の西側にある鍛冶工房を訪れていた。
ヴェロニカから紹介してもらったエドワードさんの工房がここら辺にあるはずなんだが、似たような建物ばかりだ。
どれも鍛冶工房。うるさいし、鍛冶場の熱気で暑いから、1箇所にまとめられているとは聞いていたけど。
うーん、どれだ? 青い看板に5つの武器防具が描かれているって言ってたけど。
鍛冶工房の集積しているエリアの端まで行った所で、ようやくそれらしい看板を発見した。
「失礼します。こちらはエドワードさんの工房でしょうか?」
扉を開けて建物に入ると、そこは狭いスペースと受付があり、奥からはカンカンと金属を叩く音が聞こえてくる。
もしかして気づいてない?
周りを見渡すと、受付の所に呼び鈴があったので使ってみる。
カランカラン!
思ったよりも高くて大きな音が響き渡る。ちょっとビックリした。
「ちょっと待っててもらえますかぁ!」
奥から男性の声が聞こえてきた。
「エドワードさんですか?」
「そうですよ!」
「分かりました、待ってます!」
目的の場所で間違いないようだ。
初めて来た鍛冶工房。エドワードさんを待ちながら、見える範囲で見学させてもらおう。
エドワードさんの鍛冶工房は小さいと思う。
他の工房を見ていないから絶対ではないが、私のいるスペースがベッドと同じくらいの広さしかない。
どう見ても複数人のお客さんと対応するのは無理だろう。
受付側のスペースも同じくらいの広さしかない。そしてその奥から熱気が漏れている。
2階に上がる階段があるので、上は住居スペースかな。
そうすると、建物全体で孤児院の食堂より狭そうだ。
そして、鍛冶工房なのに武器防具が1本も見えない。
この受付は注文を受け付けたり、商品を渡すだけの場所ってことなのだろうか。
そして商品は鍛冶場の方で保管したり、完成したものはギルド前の商店に売りに行ったりしているのかな。
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所持金:6,506,940G
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