87話:2人の能力
孤児院に戻ってきた翌日。
再びモンスター討伐の日々に戻ってきた。
春が近づく朝の空気を吸いながら身体を動かしていく。
王都でののんびりした生活も良かったが、冒険者として鍛錬をしている方が私には合っているみたいだ。
昨日帰ってきて、夕飯前にヴェロニカとノクスに会えたので不在にしていた間の様子を聞いた。
2人は引き続き北の森でゴブリンまでを相手に戦っているそうだ。
レッサーウルフについては、セリアさんからレベル15になるまでは戦わないように言われているらしい。
私も言われていたな。レッサーウルフじゃない時だったはずだけど。
2人に帰ってきたし一緒に討伐に行くかと聞いたが、
「レベル15になるまでは別々でやりたいわ。
ここまで経験値を稼いできたから、最後まで自分たちの力で上げたいもの」
ということでヴェロニカとノクスがレベル15になるまでは別々となった。
1人での行動となったので、とにかく稼ぐ。
目標額は2人をレベル16に上げるための586万G。
残り380万Gくらいか。
王都に行く直前は1日10万G稼げていたからそれを目標に取り組もうか。
いや、それ以上を目指そう。
北の森での討伐で、ここから更に金額を増やそうとなると、レッサーベアをどれだけ多く倒せるかという問題になる。
もちろん見つけたモンスターは問答無用で倒していくが、いかにレッサーベアの生息しているエリアまで早く到達するか、いかに多く見つけるかというのが重要になる。
探すのが手間だし、複数体一度に出てきてくれないかな。
◇◇◇
「ディックス! レベル15に上がったわよ」
「おかえり。そしておめでとう。
ノクスが言っていた通り、5月上旬にレベル上がったな」
今日の討伐を終えて孤児院に帰ってくるとヴェロニカが嬉しそうに声をかけてきた。
2人ともレベル15か。
レベルだけならとっくに私より上になっている。
私のレベルもいい加減に上げるべきなんだけど、他にお金を使いたいし、ステータスだけしか上がらないレベルアップの必要性を感じていないというか。
「レベル16にするためにはレッサーウルフを討伐しないとだな。
明日は一緒に行ってレッサーウルフに挑戦しようか。
レベル15になったことを伝えて、しかも私と一緒ならセリアさんも問題ないだろうから聞いておいてよ」
「分かったわ! 院長先生の所に行ってくる!」
「夕食の準備中だから夕食後にしような」
相変わらずヴェロニカは行動が早い。
早いというかせっかちというかそそっかしいというか。
私の言葉は届かなかったようで、ヴェロニカは走っていってしまった。
それにしても、レベル16は586万Gだからいいけど、その次は878万Gか。
そろそろレベルを上げてあげるのは限界が近いな。
「院長先生がディックスと一緒なら良いって!」
「そうか。じゃあ言った通り、明日は一緒に行こう。
2人の成長も確認だな」
すぐに戻ってきたヴェロニカはやっぱりセリアさんの所に行っていたようだ。
もう少し落ち着きを持って欲しいな。
◇◇◇
翌日、出掛ける前に2人のレベルを上げることにした。
「じゃあレベル16に上げるぞ」
「昨日に続いてもう1つ上がるのは嬉しいわね」
それでは早速。
Dividendの効果を発動してください。
『Dividendの効果を発動します。対象と金額を指定してください』
ヴェロニカとノクスを対象として、2,928,000Gずつ使ってください。
『Dividendの効果を発動しました。
合計5,856,0000Gを投資しました。対象に経験値が与えられました』
「上がったか?」
「うん! これでレベル16かー。
冒険者を始めてから5ヶ月でこれはかなり早い方だよね?」
「そうだと思うけど、それはディックスのおかげだからね」
「分かってるって! 早く強くなってディックスの力にならないとね」
「そういえば、2人は今どれくらいの強さがあるんだ?」
「ん? こんな感じよ」
ヴェロニカとノクスはメモにステータスを書いてくれた。
++++++++++
名 前:ヴェロニカ
年 齢:10歳
レベル:16
筋 力:25
敏 捷:52
器 用:22
知 力:39
スキル:風魔法、疾走
++++++++++
++++++++++
名 前:ノクス
年 齢:10歳
レベル:16
筋 力:12
敏 捷:25
器 用:42
知 力:59
スキル:闇魔法、計算
++++++++++
えっ? なんか強くない?
2人に見せられたステータスを見てそう思った。
ヴェロニカとノクスのステータスは2人とも合計で138。
レベル1で40、そこから1レベル上がるごとに+5というのが平均的なのだ。
それでレベル16ならステータス合計は115が平均的となる。
だが、2人のステータスは138。
つまり23も多いのだ。
レベル換算で+5相当であり、レベル21相当のステータスになっているということになる。
「2人とも、レベル上がる時にステータスはどれだけ上がってる?」
「ちょっと前までは6上がってたけど、最近は7ね」
「ちょっと前って。
正確にはレベル10になるまでは+6、それ以降は+7ですね」
レベルが上がる際のステータスの上昇幅については+5が平均的だが、平均的ということはそれ以上も以下もある。
そしてそれはジョブによって決まるものもあれば、同じジョブでも違いがあると言われている。
2人は魔術師という比較的多くいるジョブの中でも上昇幅の大きい方のようだ。
まぁ有名な人は+9とか+10だという話で、上には上がいるのだが。
とりあえず、2人のこのステータスならレッサーウルフも問題ないのではないか。
まぁそれは明後日になれば分かるか。
気を取り直して2人のステータスをしっかり見ていく。
ヴェロニカは魔術師なのに最も高いのは敏捷なのか。
これは魔術師なのに魔法は補助的なものが多くて、近接戦闘ばかりしているからなのだろうな。
ノクスのステータスと見比べるとそれが明らかだ。
筋力も器用より高いし。
知力が2番目に高いのは魔法をしっかり使っている証拠か。
そしてノクスは完全に後衛の魔術師という感じだ。
知力が圧倒的に高い。ヴェロニカの敏捷も50台だけど、それを上回ってもうすぐ60台だもんな。
器用も次に高いし、魔法を上手く使っているからなのだろう。
ステータスを見るだけでも2人の戦闘スタイルが見えてくるものだな。
明後日の2人を見るのが楽しみだ。
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