83話:教会
ゴードンさんと王都の外にモンスター討伐に行った翌日は休みになった。
デュー・デリジェンスの意味を調べるのと、これまでの結果を一旦まとめたいから、という理由だった。
ゴードンさんも休むべきだとは思うんだけどな。
そんなわけで丸1日暇になったので、忘れかけていた用事を済ませることにした。
「これまた大きな建物だなー」
やってきたのは教会本部。
セリアさんから依頼された手紙を届けに来たのだ。
今日が休みになったことを伝えに来た受付さんに教会本部の場所を聞いたら、近くまで送ってくれた。
そこまでしてもらって申し訳ない気もしたが、これが仕事ですから、と言って案内してくれた。
「すみません、手紙を届けに来たのですが」
教会本部は外も中も教会っぽさは無かった。
研究所と同じように中に入ると正面に受付があったので、そこにいる人に聞いてみた。
「手紙ですか。
誰へ宛てたものでしょうか?」
「教会本部に届けて欲しいとだけ言われたので聞いていないです。
手紙を読めば分かるかもしれませんが」
「では読んで確かめられますか?」
「いえ、できればそちらで読んでもらえますか。
依頼内容は教会本部に届けることであり、中身を読むのはよろしくないと思いますので」
「分かりました、こちらで確認します。
……少々お待ちください」
手紙を読み始めたと思ったらすぐにどこかに行ってしまった。
何が書いてあったんだろうか。
気になるけど、必要ならセリアさんが教えてくれてるはずだから聞くのはやめよう。
「こちらが手紙を持ってきた少年です」
「あなたがディックスね」
数十分待っているとようやく受付さんが帰ってきた。
セリアさんくらいの年齢の方を連れて。
「はい、私がディックスですが」
「なるほど。確かに強いわね。
いいでしょう、セリアの頼みだし」
「??」
「手紙の内容は知らされてないの?」
「はい、セリアさんには手紙を教会本部に届けるようにお願いされただけですので」
「そう。伝えてないなら私から伝えるのはよくないわね。
もう少しここで待っててもらえるかしら?
手紙の返事を書いてくるわ。
彼に飲み物でも出してあげて」
「分かりました。
それでしたらここでは何なので第6応接室で待っていてもらいます」
「分かったわ。
書き終わったら第6に持って行くわね」
そんな会話の後、その女性は再び奥に戻っていった。
「では応接室に案内します。
飲み物はお茶でいいでしょうか?」
「はい、大丈夫です」
受付さんについて行き、案内された部屋でしばらく待つことになった。
その間に出されたお茶は香りがとても良くて美味しかった。
研究所と同じく、高級なお茶だったのだろうか。
「お待たせしたわね」
お茶をのんびり楽しんで浸っていると先程の女性が入ってきた。
「いいえ、美味しいお茶をいただいていましたのであっという間でした」
「そう。じゃあこの手紙をセリアに渡してもらえるかしら」
「分かりました。お預かりします。
あの、ちなみにセリアさんとはどういう関係なのでしょうか」
「それも話してないのね。
まぁいいわ。私の名前はケルシーよ。
セリアとはシスターの見習い時代から王都で一緒だったの。
でも30年くらい前に、王都は嫌、地方で子供のために活動がしたい、って言って出ていったのよ。
その後も定期的に手紙のやり取りはしていたけど最近返事が無くてね。
クロス領都にいることは聞いていたから会いに行きたかったけど、私も忙しい身で王都を離れられなかったのよ。
そんな中でようやく手紙が来たと思ったら、あなたの事ばかりで自分自身のことは何も書いてないんだから。
セリアは元気?」
「はい、毎日元気に孤児院の運営をされています。
身体の調子が悪いとかは聞いたことがありません」
「まぁそれならいいんだけど。
いい年なんだから、後任に任せて王都に戻ってくればいいのに。
そんな感じの私からの愚痴が手紙には書いてあるわ。
しっかり渡して返事出せって言ってちょうだい」
「分かりました。必ず伝えます」
「あと、依頼だから報酬を出さないといけないけど、セリアからのお願いを聞くことが報酬だから、必要ならセリアから貰いなさい。
まぁお願いを叶える必要がある場面が訪れないで欲しいけどね」
一体どんなお願いをセリアさんはしたんだろうか。
気になるけど、セリアさんが話すまで待とう。
変なことではないだろうし。
「では、私はこれで帰りたいと思います」
「ええ。よろしくね」
教会本部を出て研究所に戻る。
まだ昼前だけど、午後は何をしようかな。
部屋に戻ったら昼食をお願いしなきゃ。
何か出してもらえるかな。
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