81話:読み方
王都に来て3日目の朝を迎えた。
私が知っているスキルについての情報はゴードンさんに昨日伝えた。
これ以上何をするんだろうか。細かい所の疑問に答えていく感じ?
コンコン
「ディックス君、いるかな?」
朝食を終えて部屋でのんびりしているとゴードンさんがやってきたようだ。
「はい、今行きます」
今日は何をするのかな。
「おはよう。じゃあ研究室に行こうか」
ゴードンさんの後について研究室に向かう。
「おう、ゴードンにディックス。今日も頑張れよ」
途中でアルフレッドさんとすれ違って声を掛けられた。
「先輩、昨日来なかったですね」
「初日だから俺の相手をする暇なんて無いだろう。
今日か明日から行くわ」
「その通りですね。
今日からなら大丈夫だと思いますよ」
「じゃあ夜に行くわ」
この2人は仲がいいな。
先輩後輩のはずなのに。
「アルフレッドさんとゴードンさんは仲が良いですよね」
「まぁ研究所に入ったのが1年しか違わないし、私に気兼ねない感じで話しかけてくる珍しい人ですからね」
ゴードンさんに気兼ねなく話しかける人は少ないのか?
ゴードンさんは怖い人じゃないしなんでだろう。
「さて、研究室に着いた、と。
じゃあ今日やることを説明するね。
まずはスキルの読み方で分かったものを教えていくね。
それぞれを書いたメモも用意したから、それは持って帰っていいよ」
そう言ってゴードンさんは1枚の紙を渡してきた。
「1つ目から順番にいこうか。
1つ目は『オール・イズ・マネー』と読むよ。
翻訳すると、全てはお金、という意味になる。
経験値や素材がお金になる、というスキルの効果と一致している感じがするよね。
そして2つ目は『マネー・イズ・オール』、こっちはお金は全てという意味だよ。
こっちもお金が経験値や素材になる、というスキルの効果と一致している感じがするね。
この2つに使われている文字は比較的頻繁に見かけるものだったから、すぐに調べられたよ」
「オール・イズ・マネーとマネー・イズ・オールですか。
オール・イズ・マネーで変換したことが無い素材だとマネー・イズ・オールで変換できないのに全てと言っていいんですかね」
「まぁその制限が無くて本当に全てだったら、お金をもらってかなり珍しい素材に変換し放題だからね」
「自分で努力して素材を手に入れろってことですかね」
「そうかもね。
さてじゃあ次にいこうか。
3つ目のスキルは『デュー・デリジェンス』と読む。
翻訳すると、正当な勤勉という意味だ。
ただ、これとスキルの効果である鑑定のようなものとは何か違う感じがするから、ここはもう少し調べてみるよ」
確かに何か違う。勤勉と鑑定はまだ近そうだけど、正当なというのが合わない。
オール・イズ・マネーとマネー・イズ・オールがすんなり分かりやすかっただけかもしれないけど。
「では4つ目のスキルについてだが、これは『アクイジションズ』と読み、獲得とか習得という意味になる。
モンスターのステータスとスキルをお金を消費して獲得しているスキルの効果と一致しているね」
ふんふん。4つ目は一致している。
3つ目だけが特殊だったのかな。
「疑問が無ければ先に進めるね。
5つ目は『レバレッジド・バイアウト』と読み、てこの作用による買い占めという意味になる。
このスキルがアクイジションズと一体となって使用されることから、買い占めというのが獲得と同じ意味合いなのだろうと思う。
そして、てこの作用が借金を意味しているのだろう。
所持金が足りなくても借金というてこによって高額なモンスターを獲得できる、という感じだと考えている」
ゴードンさんの考えを聞いてすんなり納得できた。
その考えに反対は無いな。
「6つ目は『カーブ・アウト』と読み、切り拓く、切り出すという意味になる。
おそらく、自身のステータスなどの能力を外に切り出す、ということなのだろう。
これも意味とスキルの効果でおかしな感じはしないと思うね」
切り出すか。
減少と削除というスキルの説明とは違うけど、外に出した結果として私からは無くなるのだから間違ってはいないか。
「最後の7つ目は『ディビデンド』と読み、配当、分け前という意味になる。
投資した対象から経験値の一部を配当・分け前としてもらう、と考えればスキルの効果と意味は合っていると思う」
これもおかしな感じはしない。
結構、古代文字の通りのスキルの効果になっているみたいだな。
「さて、これで全部だけど何か疑問はあるかな?」
「3つ目のデュー・デリジェンスだけが意味とスキルの効果が違うのは何故でしょうか」
「そうなんだよね。
ひとまず7つの読み方と基本的な意味を調べることを優先したから、デュー・デリジェンスには他の意味があるのかもしれないんだよね。
そこはこれから細かく調べてみるしか無いね。
まぁ意味が分かったとしても、ディックス君のスキルの効果が変わるわけじゃないから気にする必要はないよ」
「そうですね。
読み方が分かったのでスキルを使うのがもっと楽になる気がします」
そう、これが大きい。
今までは落ち着いて頭の中に文字を思い浮かべるようにして使っていたけど、今後は古代文字を使わずにスキルを読んで使えるはずだ。
突発的にスキルを使うことは無いだろうけど、発動が楽になるのはありがたい。
「残りの時間なんだけど、3つ目のスキルについての調べ物をしたいから今日は終わりにしようか」
「まだ午前中ですけど?」
「祝福を受けてからかなり頑張ってきたみたいだし、ちょうどいい機会だし少しはゆっくり休むといいよ。
あと、明日はやりたいことがあるから、武器と防具を用意して待っててくれるかい?」
「武器と防具ですか。分かりました」
「うん、じゃあ今日はこれで終わりです。
また明日もよろしくね」
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