80話:説明
「まず今のステータスとスキルを全てお伝えします。
スキルも古代文字になっているため読めませんので、紙とペンを貸してもらえますか?」
全てを伝えるつもりで来たし、その後の事を考えてランクCになったのだ。
ならここは出し惜しみをしないでいく。
「ここに書いて下さい」
ゴードンさんから手渡された紙とペン。
ものすごくいい素材の紙とペンだな。
私がメモのように書くのには過剰品質な気がするけど、それは忘れてステータスを書いていく。
古代文字は読めないけど、何度もステータスで見ているし、スキルの発動のために思い浮かべているからそこまで書くのに時間はかからなかった。
「現時点のものはこれで全てです。
1つずつ解説しますか?」
「解説できる範囲でしてください。
スキルの効果と、いつどのように獲得したのかも分かる範囲でお願いしますね」
「分かりました。剣術と投擲は普通に鍛錬を続けたことで獲得したものなので省略します。
まず、祝福を受けた時に獲得したのが最初の3つになります。
これ(All is Money)とこれ(Money is All)とこれ(Due Diligence)ですね」
「はい! その3つはジョブと同じタイミングで間違いないですか?」
勢いよくゴードンさんが右手を上げた。
セリアさんの授業を受けていた時の私みたいだ。
「すみません、祝福を受けた時に倒れて気を失ったので、完全に同じタイミングだったのかは分かりません。
ですが、意識が戻った時には3つのスキルを獲得していたので、同じタイミングの可能性が高いと思います」
「なるほど、分かりました。
続きをどうぞ」
「はい、では次にそれぞれのスキルの説明をします。
まずこれ(All is Money)とこれ(Money is All)ですが、この2つは両方を獲得することで真価を発揮するものです。
なので、片方だけだとあまり意味のないスキルだと思います。
これ(All is Money)は経験値や素材が獲得できずに、全てお金に変換されるスキルです。モンスターを倒すと何も残さずに消えて、マイカードに記載されているお金が増えます。
金額としては、素材はギルドへの通常時の売却金額、経験値は1あたり100Gになっています。
ちなみにスキルは自動的に発動してしまい、パーティーメンバーにも適用されるというちょっとトラブルを引き起こしかねないものです。
次にこれ(Money is All)は、お金を経験値や素材に変換できるスキルです。
金額はこれ(All is Money)と同額なので損をすることはないです。
なお、変換できる素材はこれ(All is Money)でお金に変えたことがあるものに限られます。
これ(All is Money)で何でもお金になり、これ(Money is All)で必要なものに変換するという使い方です。
全てがお金になるので、どれだけモンスターを倒しても荷物は増えませんし、解体もしないでいいのが利点だと感じています」
「なんというか凄いね。
解体が不要で荷物が増えないというのは冒険者にとっては大きいでしょう。
1つ質問だけど、これ(Money is All)は変換できる数に上限はあるのですか?」
「今の所は無いと思います。
以前、薬草を大量にギルドに納品する依頼があって、その際に沢山変換しましたが問題ありませんでしたので」
「なるほど。
例えば中々手に入らない素材を渡したらいくらでも作り出せるということですか?」
「お金を払って入手したものや譲渡されたものはお金に変換されないので、私が直接モンスターを倒したり、採掘したり、採取したりしないといけないみたいです」
「そうですか。ちなみに現時点で変換できる素材で一番珍しいのは何です?」
「そうですね。ミニクラーケンの吸盤と肉でしょうか。
採掘や採取はあまりしてませんので、一番強いモンスターのミニクラーケンかなと思います」
「なるほど。お金さえ払えばミニクラーケンの肉はいくらでも手に入るのですね。
ちょっと後で一覧にしてもらえないかな。
研究所で足りない素材があれば是非売って欲しいので」
「分かりました。ここまでで他に質問はありますか?」
「大丈夫ですよ。疑問点が出てきたらまた聞きますね」
「分かりました。
では次にこれ(Due Diligence)の説明ですが、お金を消費して指定した相手のステータスを確認できます。そして、相手と自分の強さの差によって消費額が変動します。
簡単に言えば鑑定するのにお金が必要というスキルです。
なお、消費額は少なくとも1,000Gかかります」
「最初の2つがかなり使えそうなスキルだったのに、3つ目は微妙というか使えなさそうですね」
「私もそう思っていましたが、これが4つ目のスキルに関係していました」
「ほう、詳しく」
「4つ目のスキルですが、3つ目のスキルを使った直後に獲得しました。
スキルの効果は、お金を消費してモンスターのステータスとスキルを獲得できる、というものです。
そして相手の強さとこのスキルを使ったモンスターの数によって金額は変動します。
強いモンスターほど高くなっている印象です。
そして、対象となるモンスターにダメージを与えて弱っているほど金額は安くなります。
大体の感覚ですが、最大で1割くらいでしょうか。
そしてこの金額は3つ目のスキルで表示された金額になり、弱らせてから再度スキルを使うと金額が代わります。
私がここまで強くなったのはこのスキルのおかげですね」
「獲得できるステータスとスキルに制限はあるのかい?」
「今の所は制限は無さそうです。
ミニクラーケンのステータスもそのまま獲得できましたし。
いや、同じ種族は一度しかスキルの対象にできないので、そこだけ制限はあります」
「ちなみにスキルを使うのにいくら必要なの?」
「最初のスライムは2万Gでしたが、ミニクラーケンは1,100万Gを超えてました。
弱らせる前だと1,300万G近いのではないでしょうか」
「ミニクラーケンの時はどれくらいステータスは強くなったの?」
「4つのステータスの上昇幅の合計で+85でした」
「ステータス+85で1,100万Gか。
ものすごい金額だけど、強化されるステータスを考えればそれくらいでもおかしくないか、むしろ安いな」
やっぱりそう思いますよね。
このスキルが強さの中心にある感じがする。
「4つ目のスキルはこんな所です。
そしてこのスキルを使ったモンスターがスキルの下に記載されていて、そのモンスターが持っていたスキルがその下に記載されています。
普通の人では獲得できないと思うような酸攻撃も使えて、とても重宝しています。
続いて5つ目のスキルですが、所持金額が足りない場合でも4つ目のスキルが使えるようになります。
ただし、所持金額で足りない分が借金となって所持金は0になります。
そして借金がある状態だと1つ目のスキルで獲得した資金は借金の返済に充当されます。
つまり、借金がある間は所持金が増えません。
また、借金に一定の割合を掛けた金額分、毎日借金が増えていきます。
あと、借金がある場合はこのスキルは使用できないです。
でも借金があっても2つ目のスキルで素材に変換することは可能でした。
ちなみに、獲得した条件はよく分かりません」
「つまり、かなり強いモンスター相手だと4つ目のスキルを使うにはかなりのお金が必要になるけど、その金額が貯まる前に借金をして4つ目のスキルを使って強くなれるということですか。
所持金が増えないという欠点を上手く回避できれば素晴らしいスキルですね。
ちなみに、一定の割合というのはどれくらいかな?」
「1日で大体0.03%くらいです。
毎日のようにモンスターを討伐して稼ぐのであれば誤差のような程度だったので、最初以外は気にしないようになりました」
「1日で0.03%か。放って置くと1年で12%とかかな。
そう考えると特別安くは無いな」
「ただ最初に仰っていた通り、これで一気に強くなれば稼げる額も増えるので使わない手は無いと思います」
「そうだよね。
ちなみに所持金が増えない点はどう解決したの?」
「私は今も孤児院で生活していて、日常生活においてはお金は無くても大丈夫なので。
とはいえ、いざという時のために院長先生に少しお金を預けています。
それを使ったことはありませんが」
「なるほどね。
生活費が必要な場合は誰かにお金を渡しておいて、生活費をそこから代わりに出してもらう必要があるな。
分かった。次のスキルはどんなものですか?」
「6つ目は、レベル・スキル・4つ目のスキルを使ったモンスターを減少・削除することでお金を得られます。
初めて5つ目のスキルを使った時に獲得したので、そのスキルの使用が獲得条件なのではないかと思います」
「弱くなる代わりにお金を得るということかな。
そこまでしてお金が必要になることが無ければ使わないスキルじゃない?」
「そう思ってましたが、この間トヤダンジョンに行って、そこのスライムとクロス領都の近くにいるスライムで強さが違ったので、クロス領都近くスライムを削除して、トヤダンジョンのスライムに4つ目のスキルを使ったら、お金はかからずにトヤダンジョンのスライムの数値に置き換えができました。
そういう時には使えると思いますが、かなり限定的なスキルだとは思います」
「確かにダンジョンのモンスターの方が外にいるモンスターより強いけど。
なるほど。そういう使い方ですか」
「最後の7つ目はパーティーを組んだら獲得したスキルです。
効果は、指定した相手にお金を投資して経験値を与えることができて、その対象がその後獲得した経験値のうち10%がお金としてもらえるというものです。
なお、もらえるお金は1ヶ月あたり投資した金額の最大4%が上限となっています」
「パーティーを組んだらその相手も経験値を得られないけど、このスキルで経験値が得られるということか。
でも経験値が10%減ってしまうのは欠点ですね」
「そうですね。
でもそこはパーティーを組んでいない時に私が稼いだ分も投資することで、通常よりも早くレベルが上がって、より多く経験値を稼げるようになれば、双方に利点があると思っています」
「確かに。ある程度の関係性というか信頼関係が最初から無いと難しそうだね」
「私も孤児院の1つ年下で、以前から慕ってくれていた子としかパーティーを組んでいないですし、このスキルも使ってないです」
「それが賢明な判断だろうね」
「スキルの説明は以上です。
何か質問はありますか?」
「大丈夫。教えてもらったことをまとめつつ、それぞれのスキルの読み方をまず調べておくよ。
とりあえず今日はこれで終わりにしようか。
明日の朝、また客室に呼びに行くから待っていてくれ。
それまでに全部調べ終わるといいんだけどな」
ゴードンさんは他の係の人を呼び、その人に客室まで案内してもらった。
研究室を出る時には既にゴードンさんは本棚から本を何冊か取り出して読み始めていた。
明日までにスキルの名前が読めるようになるんだろうか。
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所持金:2,039,980G
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