63話:初パーティー戦
今日はヴェロニカとノクスと約束した通り、3人で南の草原にやってきた。
南の草原に最後に来たのはホーンラビットをAcquisitionsした時以来だな。
「じゃあ始めようか。
私は後ろについていくだけだから、いつも通り2人でモンスターを探して倒していってよ」
私の言葉に頷いて、ヴェロニカが前、ノクスが後ろの配置で走り出した。
ヴェロニカはノクスのスピードに合わせて進んでいく。
2人が進んでいくのは南の草原の東側。
南側と同様にスライム以外のモンスターもよく出てくるエリアだ。
5分ほど走ったところでヴェロニカがスピードを上げた。
何があったのかと思っていると、ヴェロニカの進む先にはスライムがいた。
スピードを上げたヴェロニカはスライムに素早く接近し、そのまま右腕を振り抜いた。
右腕はスライムの核を打ち抜き、核が壊れたようだ。
『All is Moneyの効果が発動しました。
経験値と素材がお金に変換されました。
ヴェロニカは550Gを獲得しました』
お金はスライムを倒したヴェロニカに入るのか。
経験値と違って譲渡ができるから、倒した人に入るってことなのだろうか。
「あれ!? スライムが消えた! どこ?」
「私のスキルの効果で倒すと消えるんだよ。だから問題ない。
あと、ヴェロニカが倒したからか、ヴェロニカにお金が入っていると思うから確認してくれ」
「確かに表示があったね。一応確認してみる」
ヴェロニカはマイカードを出して確認していた。
「これがディックスのスキルの効果ですか。
解体が不要で、持ち運びも不要なので楽ですね」
「そうだろ。まぁパーティーを組んで使ったのは初めてだから分からないこともあるけど、これで荷物は気にせずにひたすら倒していけるよ」
「ディックス、ノクス。確かに550G増えてたよ。
これどうする?」
「私が金額は計算しておくから、孤児院に帰ってから分け合おう」
「分かった。じゃあどんどん行くね!」
再びヴェロニカが走り出したので、ノクスと共に追いかける。
「さっきスライムはヴェロニカ1人で倒してたけど、ノクスの魔法は使わないのか?」
「一昨日の最初まではそうしていたんですが、それだと時間がかかりますし、攻撃されそうだと酸攻撃をしてこないというスライムの特性があるので、この形になりました。
それでも1体なら問題ないですし、経験値も等分されるので」
「2体以上ならノクスも使うってことか?」
「一昨日はそうしてました。
ヴェロニカに暗視能力を付与した上でスライムの周りを暗闇にして攻撃してました」
「じゃあスライムは問題なさそうだな。
ワームが出てきたらまずはその戦法で戦う感じか?」
「はい、その予定です」
ヴェロニカの攻撃力がワームにどこまでダメージを与えられるか次第だろうな。
その後、スライムを数体倒していくとワームではなく、ジャイアントラットを見つけた。
ジャイアントラットか。ダメージ与えられるかな。
「ジャイアントラットだよ。
どうする? ワーム倒してからじゃないとダメだよね?」
「試してみていいぞ。何かあれば私が倒すし。
ジャイアントラットはとにかく防御力が高いから、長期戦になるつもりで反撃をくらわないように気をつけるように」
「分かった! ノクス、いつものお願い」
「すぐにやるよ。先に暗視付与するよ」
ノクスがヴェロニカに暗視付与をかけたようだ。
周りから見ると何も変わったようには見えない。
その後、視線をジャイアントラットに向けたと思うと、ジャイアントラットの周りが暗くなった。
こっちは分かりやすいな。
それを受けたジャイアントラットは動きを止めたようだ。
その間にヴェロニカは接近していった。
そこから先は暗闇の中に入っていったので、私からは様子が確認できない。
ただ、入る直前に右腕を引き始めていたので、接近したらあの右腕で殴りかかるつもりなのだろう。
「ノクス、私にも暗視付与は可能?」
「ヴェロニカへの付与を優先にして、余裕がある時だけで良ければ」
「それでいいよ。
危険な時にサポートに入るためにも見えていないと困るからね」
その後すぐにノクスに暗視付与をしてもらった。
その間もヴェロニカはジャイアントラットを攻撃し続けていたようだ。
ちょうど見えるようになった時に、ヴェロニカの右腕がジャイアントラットの顔面にクリーンヒットしていた。
カウンターを受けないように、ヴェロニカはすぐにジャイアントラットから離れる。
ジャイアントラットはヴェロニカの攻撃を受けて後ろに仰け反ったが、すぐに体勢を立て直した。
その後、何度もヴェロニカはジャイアントラットの顔面に打撃を与えており、ダメージを少しは与えているとは思うが、ジャイアントラットの動きが鈍るほどのダメージにはなっていないようだ。
暗闇はまだ残っている。
少し薄くなった? と思ったタイミングでノクスが魔法をかけなおしているみたいだ。
「ヴェロニカ、魔法は使わないのか?」
「魔法を使った方がスピードは出るんだけど、使わない方が小回りが効くから回避にはいいんだよね」
「身体全体じゃなくて、殴る時に腕のスピードを上げるために使ったりはできない?」
「腕だけねぇー。やってみる!」
私の思い付きのアドバイスを受けて、ヴェロニカは再度ジャイアントラットに接近していく。
腕を振りかぶり振り抜かれると、さっきよりジャイアントラットは大きく仰け反った。
「やってみたけど、どうだった?」
「ダメージはさっきより出ていると思う。
それでも1発では足りないな。まだいけるか?」
「もちろん! 行ってくる!」
その後、5分ほど攻撃を繰り返して徐々にジャイアントラットの顔面がボコボコになり、血も出てくるようになった。
ノクスの支援があるからか、ジャイアントラットからの反撃がほぼ無いから安心して見ていられる。
反撃がほぼ無いことを確認してから、身体のスピードも魔法で上げるようになり、更に5分ほど殴り続けてようやくジャイアントラットを倒せた。
「お疲れ様。時間は掛かったけど、無傷で倒せてよかったよ」
「疲れたー。こんなに時間が掛かるとは思わなかった」
「そうだな。籠手を強化するか、魔法で攻撃できるようにしないと先々は厳しくなりそうだな」
「僕が攻撃できればいいんだけど、まだ難しい」
「ノクスは魔法を習得するまでは投擲で石を投げたりしたらどうかな?
モンスターの集中力を削ることには繋がるだろう」
「そうだね、そうしてみる」
その後もモンスターを探して倒していく。
ワームも見つけて問題なく倒せた。
ノクスの魔法で安全性を高めて、ヴェロニカが魔法を使って威力を上げたパンチを繰り出す。
形にはなっているが、攻撃力の強化が課題だよな。
昼休憩の時間となり、3人でスワンさんに作ってもらった弁当を食べる。
「ワームもジャイアントラットも倒したから、約束通りレベルを3に上げよう」
「簡単に上げられるディックスっておかしいよね、ありがたいけど」
まぁ今さらだ。
Dividendの効果を発動してください。
『Dividendの効果を発動します。対象と金額を指定してください』
パーティーメンバーのヴェロニカとノクスを対象として、15,000Gずつ使ってください。
『Dividendの効果を発動しました。
合計30,000Gを投資しました。対象に経験値が与えられました』
「スキル使ったけどどうだ? 上がったか?」
「上がった上がった! 本当に上がった! 凄ッ!」
「本当に強力なスキルですね」
「よし。じゃあ午後も頑張ろうか。
ステータスが上がってジャイアントラットをもう少し早く倒せるといいんだけど」
午後からもモンスター討伐を続けた。
ジャイアントラットについては多少早く倒せた気がするが、戦い慣れた影響かもしれない。
結局、1日で2人はスライム12体、ワーム6体、ジャイアントラット2体を倒した。
私も最初の頃は1日10体くらいだったので、悪くは無いかな。
そしてDividendの効果として、私にも半日分の経験値として600Gが入ってきた。
それぞれに15,000Gを投資したからその4%だと600G、それが2人分だから最大で1,200Gか。
2日で上限になってしまうな。
まぁオマケ程度に思っているから気にしない。
討伐を終えて街に戻ってきた。
「今日の稼いだ分はどうやって配分すればいい?」
「2人で分けておいて。
それでレンタル費用を返したり、新しい籠手を買ったりしてよ」
「いやいや! 1日付き合ってもらって、レベルも上げてもらったのに無償はダメでしょ!」
「レベルを上げた分は2人がちゃんと討伐し続けていれば戻って来るし、1日付き合ったのはパーティーメンバーとして当然だよ。
そんなの気にせずに、早く強くなって一緒に北の森に行けるように頑張れ」
「早く強くなって返さないとですよ、ヴェロニカ」
「分かった。貸しにしておくね!」
「それは私のセリフなんだよな」
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所持金:10,440,190G
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