104話:便り
ヴェロニカとノクスがレッサーベアを倒した翌日からは、再び別行動となった。
昨日夕食後にセリアさんへレッサーベアを問題なく倒せたことを伝えると、また1年以内にレッサーベアを倒すなんて、と若干呆れられたが、2人にはレッサーベアの討伐が許可された。
そして、2人にはお祝いとしてレベル18に上げると同時に、ここから先は2人の力でレベルを上げていくように伝えた。
2人で1,300万G。最後にかなりの金額だったが、これで最後だと思うと不思議と嬉しい気持ちになった。
とはいえ、今後もパーティーではあり続けるので、今までと変わらないのだが。
さて、使った金額を再び稼いで行かなきゃな
◇◇◇
季節は冬へと移り変わり、走り回って身体を温めないと凍える気温へとなっていった。
稼ぎは至って順調。ヴェロニカとノクスに加えて、アルフォンスとロイからも配当が入ってくる。
いつか、自分でモンスターを倒して得られる金額より、配当の方が多くなったりするんだろうか。
そうなったらいいな、と思いつつ、それっていくら投資したらいいんだ?とも思ったりする。
経験値の10%だから、私が倒す分の10倍は倒してもらう必要がある。
私と同じだけ倒せたとしても10人か。
ヴェロニカとノクス並みをあと8人……まぁそうなったらいいな、くらいに思っておこう。
そうしてもうすぐ次の年が訪れようとしている年末。
タークス公爵家から1通の手紙が届いた。
ゴードンさんからは定期的に手紙が届いて、その返事で新しいスキルは獲得していないことを伝えているが、公爵家からの手紙はグランドベアの討伐依頼以降で始めてだった。
いつも通り領主館の役人さんが持ってきた手紙を受け取り、中身を確認する。
『タークス公爵家 特別協力者 Cランク冒険者 ディックス殿
タークス公爵家 内政担当官のヘンリー・タークスです。
グランドベアの討伐から2ヶ月半ほど経ちますが、お変わりないですか。
さて、前置きは不要と思いますので本題に入ります。
クロス伯爵領に戻られてすぐにいただいた手紙について、ある程度考えられていると思いましたので、奴隷を探していましたが、この度条件に合う奴隷を見つけました。
借金奴隷になった理由については、事業の失敗によるものです。
ただ、本人曰く、商売敵により破産させられたと主張しています。
詳しく書くには長い話になりますので、一度タークス公爵領都へお越しいただけますか。
できれば年明け1月5日にお越しいただきたいです。
例のDividendを使った商売の顧客となる貴族や商人が領都に集まる、新年の挨拶のタイミングでもありますので一石二鳥かと思います。
ご検討の上、1月5日にお越しいただけるかについて、お返事いただけますか。
よいお返事をお待ちしてます。
タークス公爵家 内政担当官 ヘンリー・タークス』
ヘンリー様からの手紙だった。
奴隷が見つかったのか。協力していただけてありがたい。
それにしても、商売敵に破産させられたってどういう事なんだろうか。
まぁ話してみないと分からないし、Dividendを使った商売で稼げるのだから、私もタークス公爵家の方々への新年の挨拶も兼ねて行くことにしよう。
早速手紙を書いて役人さんに渡した。
◇◇◇
「皆さん、あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします」
「「「「あけましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします」」」」
ヘンリー様からの手紙が来た後も北の森での討伐を続けて、あっという間に年が明けた。
今年の正月も豪華な食事であり、やっぱり特別だ。
ただ、去年に経験した美味しい食事を思い出して、世の中にはもっと美味しい食事があること、いつかそんな料理を皆で食べたいと思ってしまった。
今年の目標はそれかな。
そして、今年はどんな1年になるんだろうか。
まさか公爵家の特別協力者になるなんて、1年前には思いもしなかったな。今年はどんな想像もつかないことが起きるんだろうか。ちょっと怖いな。
◇◇◇
正月の翌日から、早速タークス公爵領都へと移動を開始した。
今回は高速馬車ではなく走って向かう。
冬空の元、白い息を吐きながら大きな道を駆けていく。
高速馬車と同じくらいのスピードで走ることもできるだろうが、それだと1日走り続ける事はできないだろう。
もっとステータスを上げるべきだろうか。
でも、戦闘においてはこれ以上必要無いんだよな。
マクカリダンジョンに行った時に、勝てない相手だったら上げることにして、それまでは奴隷の購入などでお金を使っていこう。
ヘンリー様の見つけた奴隷は、どんな人なんだろうな。
……怖い人じゃないといいけど。
そうして2日後の1月4日の昼過ぎに、再びタークス公爵領都へやってきた。
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所持金:9,494,020G
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