103話:完成
再び3人で北の森を進んでいく。
風が木々を揺らす音が響く中、2人は周囲を入念に警戒していく。
ガサガサッ
素早く音のする方へと視線を向けると、奥からレッサーウルフが迫ってきていた。
すぐにレッサーウルフに接近していくヴェロニカ。レッサーウルフの爪での斬り裂き攻撃を避け、噛みつきを避け、攻撃はせずに回避を続けていく。
「ヴェロニカ、止めるよ!」
「オッケー!」
その直後、レッサーウルフは動きを止めた。
今回は倒れるタイミングではなかったようで、4本足で立ったままだ。
一方でヴェロニカは、両手を身体の右前に抱えるようにして走り出す。
動かないレッサーウルフに接近して、両手をレッサーウルフの頭部へと差し出す。
ザシュッザシュッシュッシュッザシュッシュッシュッシュッ
何度も聞こえる肉を斬り裂く音。
ヴェロニカが両手を引いてその場を離れると、そこには顔面を深く抉られ、血がドバドバ流れ落ちていくレッサーウルフがいた。
ヴェロニカが離れたのを確認したノクスが影縛りを解いたのか、レッサーウルフは横に倒れていき、すぐに
消えていった。
「思ってたよりも強いわね……」
「恐ろしい威力だね」
「これならレッサーベアにも通用しそうだな。
じゃあレッサーベアも行ってみるか? どうする?」
「行くわよ!」
「行ってみよう」
2人の意見が合ったことなので、私を先頭にしてレッサーベアの生息地域へと進んでいく。
「ヴェロニカ、あの魔法を使ってみて何か問題はあったか?」
「うーん。思ったよりも威力があったってくらいかな。
あと、両手で魔法を使うからか、次の魔法を使うまでに少し時間は掛かりそうかな」
「そうか。そのくらいなら問題なさそうだな」
ヴェロニカのスピードなら、回避に集中すれば大丈夫だろう。
レッサーベアを探しながら、レッサーウルフ、ゴブリン、ハニービーを倒していくと、ようやくレッサーベアに遭遇した。
2人の前に出て剣を引き抜く。弾こうとしたら斬り裂いてしまうだろうから、受け止めるだけにしよう。
四つ足で駆けてくるレッサーベア。
私に近づいてから身体を持ち上げて、高く持ち上げた腕を振り下ろしてくる。
刃を上にして、落ちてくる爪に当たるように剣を差し出す。
スゥッ
レッサーベアの攻撃が剣に当たったはずだが、ぶつかった音はしなかった。
そして、剣のこちら側にレッサーベアの爪が数本落ちてくると同時に、剣の向こう側でレッサーベアの腕が空を切る。
えっ……グランドベアの剣の斬れ味が鋭すぎる……
攻撃が空を切ったためにレッサーベアがバランスを崩したので、腹部を軽く吹き飛ぶように蹴りつける。
後ろに数歩後ずさった所で、後ろからヴェロニカが駆け出した。
その横に位置取った所でレッサーベアは動きを止め、前回と同じく脇腹に両手を差し出した。
ズジュジュッ!
ヴェロニカの攻撃はしっかりとレッサーベアの腹に大きなダメージを与えた。
両手が触れた所は大きく抉れており、ドクドクと血が溢れ出した。
「ここからは私は手を出さないから、2人で倒してみて」
「分かったわ!」
ここまでダメージを受けていれば、レッサーベアの動きも悪くなる。
影縛りが解けて、レッサーベアが動き出し、ヴェロニカへ向かっていく。
まだ無傷の方の腕を使った斬り裂きに噛みつき。それを危なげなく避けていくヴェロニカ。
魔法も使わずに避けていくが、本当に剣士だったらどうなっていたんだろうな。
「ノクス! いける?」
しばらく避け続けていると、ヴェロニカからノクスへ声がかけられた。
「いくよ!」
それに対してノクスが答える。
ヴェロニカの魔法が使えるようになったタイミングで、ノクスの影縛りが使えるかを確認したのだろうか。2人でそんな打ち合わせをしていたようには見えなかったし、阿吽の呼吸って感じだな。
直後、噛みつこうとしていたレッサーベアが顔面から地面に滑り込んでいく。
直後、地面に横たわったレッサーベアへと接近したヴェロニカの両手は顔面へと向けられ、そこから魔法が放たれた。
ズジュジュッ!
凄まじい音を立てた後、ヴェロニカがこちらに飛び退くと同時にレッサーベアは消えていった。
「これなら2人だけで大丈夫そうだな。少し休んでからもう1体いけるか?」
「休んだら大丈夫です」
「同じく。さすがに緊張したよ」
「じゃあ大丈夫になったら言ってくれ。それまでは私が倒していくから」
そこからは私がモンスターを出会い頭に一撃で倒していく。
モンスターの攻撃に剣をぶつけても、そのまま斬り裂いてしまえるから、攻撃だけを考えて進んでいく。
その後、十分に休んだという2人に代わってもらい、モンスターを倒していく。
そして、現れたレッサーベア。
……影縛りからの顔面へのヴェロニカの一撃で大ダメージを受けて、視力を失ったレッサーベアはあっけなく倒された。
本当に瞬間火力がこの2人のパーティーの弱点だったんだな。
「帰ったらセリアさんに話して、レッサーベアと戦う許可をもらおうか。
あと、どのタイミングでランクDに上げるかも相談だな」
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所持金:17,480,700G
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