101話:受け取りと追加?
「おはようございまーす。ディックスでーす」
「はーい! 持っていきますねー!」
北の森での討伐を5日間行い、次の休日に再びエドワードさんの工房を訪れた。
持っていきますということは、完成したのかな。
1分ほど待っていると、奥から荷物を持ったエドワードさんが現れた。
「お待たせしました。こちらが完成した剣と防具です」
エドワードさんが受付の台に置いた2つの品物。
1つは鞘に入った剣。手に取り引き抜くと、鉄とは異なる不思議な色合いをしている。鉄だったら汚れかと思うような鈍い色。でも光をしっかり反射しているから汚れている訳では無いと分かる。
重さも長さも重心も違和感ない。流石だな。ただ、この剣を使っても良さが分かるモンスターがいないな……
レッサーベアを使った剣でもレッサーベアの爪を斬り裂いてしまったから、グランドベアの剣でも斬り裂けるはずだが、差が分かりにくそうだ。
まぁ明日使ってみて確かめよう。
そしてもう1つの品物。ベア系の皮をベースにして、その上に所々に鈍い色の金属が貼られている。
今の防具よりは重いけど、気にするほどではない。
軽く叩くと、カンカンッと高い音が響く。これがあれば攻撃を受けても、衝撃すら感じないかもしれないな。
「あと、これが余った素材で、皮が1つ、爪と牙が2つずつです。
すみません、ほとんど余らなくて」
「いえ、問題ないですよ。じゃあ剣と防具は明日使ってみて、何かあったらまた来ます」
「ありがとうございました。また何かあればお越し下さい」
剣は腰に下げ、防具は両手で持って孤児院まで帰っていく。
これでしばらくは武器防具の更新は不要だな。ちゃんと手入れしなきゃ。
あと、余った素材はどうしようか。Money is Allで出した素材だからか、All is Moneyでお金には戻らないからな。ギルドに売ったら騒ぎになるから、少ない数だけど公爵家に買い取ってもらおう。
「ディックスさん! 探しましたよ!」
孤児院に戻り、武器防具を部屋に仕舞ってから、庭に行こうとした所で声をかけられた。
かけられたのは良いんだけど……話したことあったかな?
食事の際に見かけてはいるけど、名前も覚えてない。
「何か用か?」
「俺を強くして下さい!」
……急だな。
「強くなりたいのか?」
「もちろんです」
「何のために強くなるんだ?」
「稼げるようになるためです」
「稼げるようにか……今は冒険者をしているのか?」
「はい、将来も冒険者を続けて沢山稼ぎたいです」
「……すまないが、名前を教えてくれるか? ちゃんと話した事無いよな?」
「そうですね、ほとんど無いと思います。名前はモーガンです」
やっぱり知らないな。そして、食事以外では見た記憶が無い。
つまり、庭で鍛錬をしているのを見たことが無い。
「祝福を与えられたのはいつだ?」
「4月末です」
「ジョブ、レベル、スキルを教えてもらえるか?」
「ジョブは剣士です。レベルは13、スキルは剣術、投擲、気配察知を持ってます!」
……6か月ちょっとでレベル13か。
アルフォンスとロイがもうすぐ12だったからそれより高い。
しかも投擲と気配察知持ち。投擲器具を使ってる所は見たことないし、気配察知をこんなに早く獲得できるのか?
「私に強くして欲しいと言ったが、具体的にどうして欲しいんだ?」
「アルフォンスとロイみたいにレベルを上げて欲しいです!」
……ふーん。
「どうしてそれを知ってるんだ?」
「ヴェロニカと話しているのが聞こえて、そこから副院長室から漏れ聞こえてきたんです」
……漏れ聞こえてきた、ね。
「ここまで話してきた内容に嘘は無いな? 嘘を言う奴に協力するつもりは無いぞ?」
「はい!」
「……誰かとパーティーを組んでいるのか? それともソロか?」
「ソロです」
「どのモンスターまで倒した?」
「ゴブリンまでです」
「そこまで1人で進んできたのに、どうして俺に協力して欲しいんだ?」
「もっと強くなりたいからです」
「今のまま続けていけば十分だろ?」
「それじゃあダメなんです」
「どうしてだ?」
「……早く強くなりたいからです」
……まぁ確かめれば分かるか。
「よし、じゃあ行こうか。ついてきて」
「っ! はい!」
そう伝えて、孤児院を出ていく。
何も会話をせずに歩いていく私の後をモーガンはついてくる。
そのまま向かったのは……
「すみません、この子のギルドへの納品記録を見せてもらえませんか?」
孤児院に近い街の南の冒険者ギルド。
「こちら、私のマイカードです。この子と同じ孤児院に所属してます。
モーガン。マイカードを出して」
「ちょ、どうしてそんなことするんだよ! あの2人はそんなのしなかったじゃないか!」
「当たり前だろ。あの2人はスワンさんの推薦だ。それに対してお前は推薦じゃない。
あと、色々とお前の話には怪しい所があったからな。
まぁ全部本当だったら、しっかり強くしてやるから安心しろ」
モーガンの目を見つめながら伝える。
「嘘だったというなら早めに白状した方がいいぞ。
ちなみに、これまでに私からお金を騙し取ろうとした奴には2度出会った。1度目は異常に安く防具を売ろうとした商人。奴は詐欺行為をそれまでも繰り返していて、私が情報提供をした事で捕まったらしい。
2度目はトヤダンジョンで、私が倒したモンスターを自分が倒したと言ってきた冒険者。奴は返り討ちにして、それ以降の冒険者ギルドで受け取る金額の10%を寄付させるようにした。まぁそうしなければ冒険者資格を剥奪されるはずだったけどな。
もしお前が俺の金を騙し取ろうとしていたなら、その冒険者が受けるはずだった罰を受けてもらおうかな」
「だ、騙し取ろうなんてしてないだろ」
「……私のスキルはお金が必要なんだよ。
つまり、私を騙してスキルを使わせるという事は、私のお金を騙し取る事なんだよ。
それで……どうなんだ? ギルドの手を煩わせる前なら多少は手心を加えてやるぞ?」
他の人には聞こえないように、モーガンの耳元で囁いた。
ドンッ
私の声を聞いたモーガンは、その場で膝から崩れ落ちた。
「すみません、納品記録は不要です。
……罰はセリアさんとスワンさんに任せるか」
モーガンはギルドに放置して、俺は1人で孤児院へと戻っていく。
これを機に、ちゃんと冒険者の活動に取り組むようになって欲しいな。
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所持金:17,353,790G
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