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驚き

「……精神干渉魔法を打ち破ったのね。よくもまぁ……ただの冒険者が。中々の腕ね」


 僕の記憶にある通り、何処かつまらなそうなマリアは淡々と賞賛の言葉を口にする。


「あれくらい解けるさ。そう強い魔法でもない」


「そう」


 それに返す僕の言葉に対し、マリアはただ静かに頷く。

 そして、彼女の姿が消える。


「……へぇ」


「ど、何処に行ったの!?」


 忽然と消えたマリア。

 だが、焦ることはない。


「空間断絶」


 僕は自分のすぐ横に向かって空間断絶を発動。


「……ッ!?」


「前に言わなかったっけ?」


 すると、何もなかったところから突然、マリアの姿が露わになる。

 彼女の使う魔法は大体見ているし、何なら僕も使える。破り方も当然知っていた。


「固有スキル等で簡単に破られることもあるんだから、空間魔法を過信しない方がいいよ、って」


 姿を現したマリアの腹に向かって僕は全力の蹴りを放つ。


「ありゃ?なんか普通に受けられちゃった」

 

 僕の想定では、何も出来ずにマリアは蹴りを受けて吹き飛んでくれると思ったのだが、彼女は腕でしっかりガードして僅かに後退するだけで踏ん張る。


「成長しているんだね」


「……どういう、こと?」


 マリアから感じる確かな成長に関心している僕の前で、マリアは大きく目を見開いていた。


「……その力、……そのスキルはっ。いや、でも……っ」


 僕は既に転生し、スライムとなった後だ。

 だというのに、リーシアたち曰く体臭とかが前世と一緒らしい。レイだとバレるのは少し困る。

 というわけで、僕は自分のアイコン的存在でもある虹色の右目を隠すために眼帯を付け、体臭なども魔法で変えていた。顔は変えなかったけど、髪色も違うし、体格も違う。

 眼帯のおかげで、少しは顔面も隠せているし、これで変装出来ているつもりだった。


「ハハッ……僕の変装はちゃんと上手かったんだね?」


 そして、その変装が完璧であると目の前のマリアが証明してくれた。


「……レイ?」


「どう?僕とヤる?」


 僕は眼帯を僅かに持ち上げ、魔眼にマリアを映す。


「レイぃっ!!」


 虹色の瞳を持った人間なんて、僕以外に見たことがなかった。

 マリアは僕の瞳を見た瞬間、迷うことなく僕へと抱き着いてくる。


「……何!?何ぃっ!?」


「レイ……レイ……レイぃぃいいいいいいい」


 隣でエレノア王女殿下が困惑の表情を浮かべている中、マリアはずっと僕を抱きかかえ、泣き続けていた。




 それからしばらく。


「どう?落ち着いた?」


「……えぇ」


 ひとしきり泣いていたマリアは落ち着きを取り戻していた。


「……迷惑かけたわね」


「全然?珍しいマリアの泣き顔が見られて良かったよ?」


「……ぅうんっ」


 僕の言葉にマリアは僅かに頬を赤らめる。


「それでさ、エレノア王女殿下のメイドであるリリーさんをさらったのはマリア?」


「……リリー?あぁ、あの。そうね、私よ」


 僕の疑問に対し、マリアは何でもないかのように頷く。


「……ッ!?」


 その返答にこれまでついていけないと言った表情で隣にただ座っていたエレノア王女殿下の表情が変わり、勢いよく立ち上がった。

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