進化先
ビックスライムから、次の進化まで本当に長かった。
魔王軍との戦いを幾度も繰り返し、大量の魔物と魔族を魔法で焼いてなお、最大のレベルにまでならなかった。
だが、四天王であるオルスロイとの戦いにおける最後のチャンスでようやく僕はレベルを最大にし、進化することが出来た。
その僕の進化先のステータスがこれだ。
◆◆◆◆◆
名前:レイ
種族:スライムアーク
レベル:1/100
ランク:D
称号:『勇者の寵愛』『始祖』
攻撃力:162
防御力:181
魔法力:1883
俊敏性:150
固有スキル:
『空間操作』
スキル:
『分身体』『並列思考』『捕食』『身体操作』『人化』『変身』『擬態』
耐性:
『毒耐性』
◆◆◆◆◆
全体的にステータスは高くなり、僕が最も望んでいたスキルである『人化』覚えた。
ついでとばかりに新しく耐性という見覚えのない項目が追加され、毒耐性を得た。
中々に強力な進化と言えるだろう。そんな僕の進化先の種族だが、実は僕が選んだ種族の他に二つの選択肢があった。
───エルダースライム。
───魔力によって形成された粘液生命体。巨大な魔力を宿したスライムの上位種であり、知性と魔法への適性が飛躍的に高まった存在。ビッグスライムより小柄になる代わり、魔力密度が増大しており、その膨大な魔力によって高位魔法を自在に操る。さらに、喰らった魔法を解析・模倣する能力を持つとされる。最弱の種族でありながら頂点に近づいた存在であり、Bランクの格を持つ。その厄介な種族特性により、ランク以上の脅威を秘めている。
───ミラージュスライム。
───魔力によって形成された粘液生命体。自らを大量に増殖させる能力を得たスライムの上位種にして希少種。分身体の数は飛躍的に増加し、一個体で軍勢を形成するとまで言われる。その全てを同時に討伐することは極めて困難。最弱の種族でありながら頂点に近づいた存在であり、Bランクの格を持つ。その厄介な種族特性により、ランク以上の脅威を秘めている。
進化先と提示された二つの種族はシンプルに強かった。
というか、僕でも知っていた。どちらも、スライムの最上位で、エルダースライムに関しては僕も戦ったことがあった。本当に放つ魔法をすべて吸収していくせいで物理攻撃しか効かないのだが、プルプルのスライムに物理攻撃は効きにくく、討伐に苦労させられた。
ミラージュスライムに関しては、かつての英雄の冒険譚などで出てくる半ば伝説上の存在で、普通に国を滅ぼしている描写もあるような存在だった。
基本的には弱く、脅威にならないスライムの身でありながら、強さを手にしたその存在は明確な化け物。
僕もここら辺に進化すれば、もしかするとオルスロイを相手にも普通に戦えたかもしれない。僕の固有スキルと高い魔法力は他のスライムにない圧倒的なアドバンテージだ。
これら強力で、魅力的な進化を押しのけて、僕の選んだ進化先がこれだ。
───スライムアーク。
───魔力によって形成された粘液生命体。スライムでありながら人の姿を得た希少種。スライムという最古の種族に芽生えた新たな可能性であり、新たな進化体系の始点とされる存在。卓越した知性と膨大な魔力を兼ね備え、その成長性は計り知れない。現時点ではDランクに分類されるが、その潜在能力は既存のランクでは測れず、魔物の支配者候補である。
まぁ、どう考えてもこれを選ぶであろう種族説明だ。
人化出来ると明言された進化先を選ばないわけがない。それに、説明文にはロマンしか感じない。これからもリーシアたちの隣で戦っていくこと考えると、進化の可能性は多くて困らない。
「んー、やっぱり人の姿の方がしっくりくるね」
これまでスライム状態だった僕はスキル『人化』を発動させて、人の姿を得る。
「見た目はほとんど変わらない。何だろう?見た目は魂か何かに引っ張られるのかな?」
その僕の姿を隣に置いてあった姿見で確認してみれば、生前とほとんど変わらない姿が見える。
変化と言えば髪が白髪から、青色に変わったくらいだろうか?
「……これが、デフォかな?」
とはいえ、この体に関してはデフォ。見た目を変えることも出来そうだった。僕は手の一部をスライムに戻す。変身と擬態。
それらの新しいスキルも合わせることで僕は自分の体をある程度好きなように変えられた。
「レイ、起きたの!?」
「まだ立っちゃ駄目だっ!安静にしていなければ!」
人の姿になって立ちあがった僕に対し、すぐ横に居たリーシアとラルムが駆け寄ってくる。
「えぇ~」
オルスロイ一派との戦いで使った僕のスキル……では、ないか?固有スキルの覚醒版と言うべき『魔眼解放』は強力な力を得られる代わりに反動も大きかった。
久しぶりのその力の解放に際する反動は本当に大きく、僕は膝をついて口からスライムを吐くというシュールな絵面を晒した後に気絶。
そのまま、僕はラルムが自身の部屋としていた天幕のベッドに寝かされていた。
「大袈裟だなぁ」
気絶してしまったとはいえ、既に何回も使ったことのある力だ。
それの代償で気を失ってしまっただけの僕が立っただけなのに、大慌てで駆け寄ってきたリーシアとラルムの二人に僕は思わず苦笑するのだった。
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