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食欲の魔女と底辺OLのダンジョン飯テロ配信~「赤字ならクビ」と言われたので、ポンコツ魔女に飯を食わせてブラック企業の売上を超えます~  作者: ダニエルさん
第2章:Sランク配信者なんて無理無理無理! でも、魔石採掘部門にはいきたくない!

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第51話「堅牢の殲滅士が愛銃でアイアンゴーレムに大穴を開けた話」

 アイアンゴーレムは両腕を振り上げ、地面に打ち下ろした。


 足元にひびが入り、衝撃が周囲に広がる。地面が隆起し、土煙を上げながら私の方に迫ってくる。


「いきなり過ぎない!?」

 私は足から紫色の闘気を噴き出し、横に飛ぶ。


 私がいた場所に土の柱が広がり、地面がえぐれた。


 右拳を握りしめ、意識を集中する。紫色の光がバチバチと音を立てる。光は不安定にバチッ……バチッと明滅していた。

 ——アイアンゴーレムはAクラスモンスター……倒せるかもしれない。でも、試す必要ないよね?


 私は奥にいる二体のミニゴーレムに目を向ける。


 大きく息を吸って、腰を落とし、三体の親子ゴーレムを見つめた。


 白い線がアイアンゴーレムの腕から地面に向かって伸びた。


 私は思い切り足を踏みこんだ。紫色の光が周囲に広がると一気に駆け抜け、ゴーレムの手の下をすり抜けた。


 二体の間へ滑り込む。


 左のゴーレムは首元。右のゴーレムは胸元。


 白い線が見えた二か所へ、左右の指先を同時に突き込んだ。


 そのまま反対側に飛ぶと、両腕を地面に打ち下ろしたアイアンゴーレムの背中を蹴り、跳躍した。


 大きく私は宙を舞った。


 ゲラルドとシェリーさんの横に着地すると、一気に踏み込み走り抜けた。


「二十体倒したので入口まで逃げます! シェリーさんたちも逃げて!」


 私は走りながら大きな声を上げた。

 ——よし! やった! 逃げるぞ! 私! 多分止まったら闘気が尽きる!

 

「おい! 宮國(みやぐに)! 俺を置いていくな!」


 ゲラルドが私の後ろを大きく両腕を振りながら走ってくる。半袖側の糸くずがチロチロとはためいていた。

 

 私はそれを見て噴き出しそうになる。

 ——今、必死に逃げてるのに鼻毛がたなびくみたいなのやめてほしい。ホントこいつセンスないな。


「はぁはぁ……試験はこれで終わりですかね」

 私は遺跡の入口まで到着する。ゲラルドの方を向きながら肩で息をした。


「ああ……これでBランク昇格だ。明日から次のランクのダンジョンに挑戦しても大丈夫だ」

 ゲラルドは額の汗をぬぐっていた。


「あれ? シェリーさんは?」

 私は周囲を見渡した。


「部門長なら我々よりも強いから心配いらないだろう。それより宮國はもう帰っていいぞ。我々は昇格に関しての話もあるからな」

 ゲラルドは遺跡の奥の方を見ながら小さく身震いをしていた。

 

「わかりました。シェリーさんにもよろしくお伝えください」

 私はその場で大きく頭を下げると、遺跡を後にした。


 ————

 

 少し前。


 宮國社員が全速力で走り去っていくのを、私は見送っていた。


 アイアンゴーレムが大きく腕を横に振ると、地面をガリガリと削りながら私に向かって手を振った。


「どうしてこんなところにアイアンゴーレムがいるデスかね」


 私は小さく跳躍するとゴーレムの腕に乗った。


 反対の腕の隙間に布切れが挟まっているのが見えた。

 ——なんデス? あれは……要チェックデスね。


 桜の髪飾りを手に取ると、握りしめる。手の中に愛銃(カラシニコフ)が現れた。


 ゆっくり銃口をアイアンゴーレムの反対側の腕の付け根に向ける。


 ダンッ! ダンッ! ダダダンッ! と銃声が響く。


 銃口から緑色に輝く銃弾が発射されると、アイアンゴーレムの左肩、左肘、左手首に着弾する。


 左腕が大きな音を立てながら地面に落ちた。


 アイアンゴーレムが右腕を振った。


 私は後ろに跳躍した。くるくると体を翻し地面に着地すると、そのまま足の指先に力を集中させた。


 アイアンゴーレムが地面をたたき、無数の瓦礫を私の方に飛ばす。


 私は地面を滑る。キュッキュッと靴底を鳴らしながら、アイアンゴーレムの周囲を駆け抜ける。


 目の前に迫る瓦礫を体を横に倒し、小さく後ろにのけぞり、アイスリンクをすべるように攻撃をよける。


 くるくると滑りながら銃口をアイアンゴーレムへ向ける。


 ダッ! ダッ! ダッ! ダッ!


 右肩、右手首、左膝、右膝。緑色の弾丸が次々と関節を撃ち抜いていく。


 銃声に続きアイアンゴーレムのもう片方の手が地面に落ち、両膝を地面に着いた。


 アイアンゴーレムはガガガッという機械音を立てながら、立ち上がろうとしていた。


「私を倒すのであれば一個師団くらい連れてくるんデス」


 私は愛銃の銃床を下に引き延ばした。銃床部分が伸長して地面へ突き刺さる。


 地面に固定し、銃身に左手を添える。


 照準器を覗き、アイアンゴーレムの胸部に狙いを定める。引き金に右手の人差し指を添える。大きな緑色の光が銃全体を包み込んだ。


「発射(シュートヒム)……」


 私は引き金を引いた。緑色の光が一点へ収束する。


 次の瞬間、視界が緑一色に染まった。


 一拍遅れて、轟音。

 

 銃口から緑の閃光が放出されると、アイアンゴーレムの胸を貫いた。


 アイアンゴーレムの胸には大きな穴が開き、その穴の周囲はバチバチと焼け焦げたように煙を上げていた。


 銃を目の前で三度両腕で回転させ肩に担ぐと、銃は桜の髪飾りに姿を変える。

 

 私は地面に落ちた左腕の破片に近づき、一枚の布切れを手に取った。右袖の一部のようだった。


「チッ……」

 私は一度舌打ちをすると、つま先を緑に輝かせながら遺跡の入り口に向かい滑る。右手に桜の髪飾りを握りこんだままだった。

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