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食欲の魔女と底辺OLのダンジョン飯テロ配信~「赤字ならクビ」と言われたので、ポンコツ魔女に飯を食わせてブラック企業の売上を超えます~  作者: ダニエルさん
第2章:Sランク配信者なんて無理無理無理! でも、魔石採掘部門にはいきたくない!

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第47話「クソ上司が部門長にお尻の穴を増やされそうになった話」1/2

「あぁ……またあふれてるよ……どうすりゃいいんだよ……ほんとに」


 早朝のオフィスで、私の全身から紫色の闘気が噴き出していた。


 始業前から解説動画を片っ端から漁り、闘気の運用方法も調べてみた。


 ——出力を手や足に集中してコントロールする……ってことはわかるんだけど。どうしてもあふれちゃうんだよな……


 私は集中を解いた。全身を包んでいた紫色の闘気が霧散する。椅子に深くもたれかかり、天井を見上げた。

 ——こういう時は上司に聞けばいいのかもしれないんだけど……あのクソ上司が教えてくれるとも思わないんだよな。見返りにすごいこと求められそうだし、考えたくもない。


「あ、そうだ! リーベさんがいる」


 私は小さく指を鳴らすと、パソコンを操作し、社内のスケジュラーをチェックした。「Sクラスダンジョンの視察」という予定が入っていた。


 ——げ……リーベさんも二週間出張じゃん……


 私はダメもとで詳細を確認した。同行者にセクハライドオジの名前を見つける。私はため息をついた。


 ——エスルスやフリードはわからないっていうし、セラは脳筋即オチゴリラだしどうすればいいのかな……


 私は机に顔を突っ伏していた。


 コンコンコンッ、とガラスを叩く音がした。私は顔を上げて音の方に目を向けた。


 オートロックがかかっているガラス扉の向こうに黒髪の少女が立っていた。

 

 私は立ち上がり、ゆっくりと扉に向かう。社員証をかざし、ロックを外し、ドアノブに手をかけた。


 扉を開けて廊下へ出ると、いったん背後の扉を閉めた。


 黒髪の少女は肩までかかる髪を前に揺らしながら頭を下げた。


「おはようございます。お手数をかけてしまって申し訳ないのデス。社員証をまだもらっていなくて中に入れず、こまってたのデス」


 少女は顔を上げると、右のおでこに着けた桜の花の髪留めがきらりと輝いた。


「えっと……社員なんですか? 私は宮國通子(みやぐにとおるこ)、皆はツッコと呼ぶのでそう呼んでください」


 私は頭を下げた。


「これは名前を名乗らなくて失礼しましたのデス。私の名前はシェリー・カラシニコフデス。今日からこちらでお世話になるのデス」


 シェリーと名乗る少女は迷彩柄のワンピースの端をつかむと、右足を半歩前に出し、小さく膝を曲げた。


「ごめんなさい。シェリーさんはいくつなんですか?」

 ——見た目はマジで小学生なんだよな……


「私は十歳デス」


 シェリーは両手を開いて見せた。


「十歳でうちの会社のダンジョン配信部門に来たんですか?」


 私は社員証を再度かざし、扉を開け中に入った。


「そうデス。戦闘職は年齢ではなく、ダンジョン適性と資格で判断されるのデス」


 シェリーは胸をトンと叩きながら私の後に続き、入室した。


「そうなんですね……あ、あとク……ロクディモントさんが来たら入室記録を提出してくださいね。入退室ログが合わないと後でセキュリティ部門から指摘が来るので」

 

 ——入社初日におんなじことしてクソ上司(ロクディモント)に怒られたんだよなぁ……「ボクに恥をかかせるな」って……初日であれだったからなぁ。


「ありがとうデス! 後で提出するデス。とりあえずロクディモントさんが来るまでは昨日もらった仕事を進めているのデス」


 シェリーは柳井の席だった場所に座るとカバンを開け、PCを取り出した。


 PCの電源を入れると、何やらカタカタと打ち込み始めた。


「何かあったら声かけてね?」


 私はシェリーに微笑むと、闘気について再度調べ始めた。


 指先に集めようと試みるが、結果は同じで体から紫色の闘気があふれてしまっていた。


 何度繰り返しても、結果は変わらなかった。


 私は再びPCへ目を戻した。だが、ふと誰かに見られている気がして、画面越しに顔を上げる。


 シェリーが私をじっと観察していた。金色の瞳が、猛禽類のようにギラリと光っている。

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