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食欲の魔女と底辺OLのダンジョン飯テロ配信~「赤字ならクビ」と言われたので、ポンコツ魔女に飯を食わせてブラック企業の売上を超えます~  作者: ダニエルさん
第2章:Sランク配信者なんて無理無理無理! でも、魔石採掘部門にはいきたくない!

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第41話「クソ上司をレインボークソ上司にクラスチェンジさせた話」

 私は股間を押さえて悶絶するクソ上司(ロクディモント)を見つめていた。

 ——あー、うっかり蹴っちゃった。でも、こいつは使うことなさそうだから別にいいか。


「つッ!」

 私は眉間に触れる。頭の奥がガンガン、ずきずきとする。


 同時に吐き気がこみあげてくる。

 ——まずい、このままじゃ……食べ物を戻しちゃう……それはダメだ……


 私は口元を押さえるが、喉に何かがせり上がった。


 足元で震えるクソ上司(ロクディモント)と目があった。目を潤ませ、鼻水が垂れている。


 私の吐き気は加速した。

 ——あ、だめだ、これ。無理かも。レインボーで処理してくれないかな……


「ひぇひぇ!? み、宮國ぃッ! 吐くなよ? 深呼吸だ! ひぇっひぇっふー! だ!」

 クソ上司(ロクディモント)がラマーズ式ひぇひぇ呼吸をするよう求めてきたがそれどころではない。


「ごめんなさい」

 私は今日食べた朝ごはんに謝罪をすると、盛大に胃の中の物をクソ上司(ロクディモント)の顔にぶちまけた。


「ひぇひぇぶぇっ!」

 下半身に力が入らないクソ上司(ロクディモント)は私の口から出るレインボー(ゲロ)で包まれる。


 私の吐き気が収まり、荒い呼吸だけが残ったころ、ただでさえ醜いクソ上司(ロクディモント)は、レインボー(ゲロ)クソ上司(ロクディモント)にクラスチェンジしていた。


 私はポケットからハンカチを取り出すと、口をぬぐい、ヨロヨロとその場を後にした。


 ————


 私は家に着いた。どうやって帰ってきたかは記憶があいまいだ。


 玄関に座り込んでいると、大きな声が聞こえる。

 ——頭に響くからやめてほしいな……


「おい! ツッコ!? 大丈夫か!?」

 金髪ゴリラが眉を顰め、心配そうに私を見つめていた。ドタバタと足音を響かせて廊下を駆けてくると、私の脇に太い腕を差し入れ、羽毛のように軽々と抱き上げた。


「ごめんなさい……頭痛くて……気分悪かった」

 私はセラの首元にしがみつき、頭痛を我慢しながら見上げていた。セラはドスン、ドスンと力強い足取りで薄暗い廊下を進み、私の部屋のドアを足で蹴開けて中へと入る。


 セラは私の目をじっと見つめると、大きく息を吐いた。


「お前、また無茶なスキルの使い方しただろ?」

 セラは私をベッドへそっと降ろし、足元から掛け布団を引き寄せた。


「無茶かどうかはわからないけど……白い線ずっと追ってた」

 私は枕に頭を沈め、重い瞼をわずかに開いた。


「……どれくらいだ?」

 セラはベッドの脇に腰掛け、膝の上に両手を置いて身を乗り出してきた。


「繭を見つけて……帰ってくるまで。たぶん30分くらい」

 私は痛む側頭部を手で押さえながら、かすれた声で答えた。


「バカ野郎!」

 セラは自分の太ももをパンッと力任せに叩き、立ち上がりかけた。


「……ごめん」

 私はぎゅっと目を閉じ、体を丸く縮こまらせた。


「すまねぇ……でかい声を出しちまって。でも、謝るんじゃねぇよ……あのスキルは便利だけどあぶねぇんだ」

 セラは手で後頭部の金髪を乱暴に掻きむしり、再び腰を下ろした。


「……ごめん」

 私は布団の中で小さく呟きを繰り返した。


「アタイが教えなかったのが悪い。ああいう探索/分析系スキルは脳への負荷が高いんだ」

 セラは大きな手のひらを私の頭に乗せ、優しく撫でおろした。


「……」

 私は何も答えなかった。顔を滑らせ、セラの腕と胸元に顔をうずめていた。


「だから、あんまり長時間使うんじゃなくて攻撃を避ける瞬間とか、瞬間的な索敵だけに使え」

 セラは背中を手でぽんぽんとゆっくり包み込むように叩いた。


「わかった」

 私はセラの服で目をぬぐった。


「今日はもう休め。繭を取ってきたってことは昇格はしたんだろ?」

 セラは私の体に布団をかける。肩までしっかりと。


「うん……」

 私は小さくうなづいた。


「よくやったじゃねぇか……ってあたいの方が年下だったな。すまねぇ」

 セラは私のおでこに優しく触れると、鼻をこすった。


「師匠みたいなもんだから大丈夫だよ」

 私は小さく微笑んだ。


「……そうか。まあ早く寝ちまいな!」

 セラはゆっくりと立ち上がると、壁際まで歩き、壁に背を預けた。


 私は天井を見つめているセラを一瞥した。

 ——Dランク昇格か……


 私は布団の中に顔をうずめ、目をつむった。

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