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食欲の魔女と底辺OLのダンジョン飯テロ配信~「赤字ならクビ」と言われたので、ポンコツ魔女に飯を食わせてブラック企業の売上を超えます~  作者: ダニエルさん
第2章:Sランク配信者なんて無理無理無理! でも、魔石採掘部門にはいきたくない!

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第39話「瞬撃の拳闘士のデコピンでぶっ飛ばされたら諜理の極意が使えるようになった話」2/2

「どんなの?」

 私は先ほどまでのことを思い出し、脳筋ゴリラの提案に身構えた。


「ツッコ、今からデコピンでお前の頭をはじくから防御しろよ?」

 セラは右手の親指と人差し指を合わせる。蒼白いオーラが指を包み込んでいる。


「ちょっと……それ絶対痛いやつだよね!」

 私はおでこに意識を集中する、体を紫の光が包みこみ、おでこに光が集まった。


「ちゃんと見ろよツッコ? いてぇぞ?」

 セラの指がおでこに近づく。


「ちゃんと見る……?」

 私は目を見開く。よく見るとセラの指先から私の左肩に白い線が伸びているのに気づく。

 ——あれ? なんだ? この線……いやな予感が。

 私は左肩に意識を集中する、紫色の光が肩に集まった。


 瞬間、肩に衝撃が走り私は吹っ飛んだ。居間を転がり、部屋の端まで滑った。


「いったぁ……何するんだよ……」

 私はよろよろと肩を押さえながら立ち上がった。


「さすがだな! デコかばってたら肩が砕けてたかもしれねぇのに!」

 セラは手を叩いて喜んでいた。シンバルを鳴らすゴリラのおもちゃのような動きだった。


「肩が壊れるようなことするなよな……」

 私はゆっくりと皆のいる座卓の方に戻ってきた。


「これはトオルとやっていた諜理の極意の訓練だぜ? トオルが使いこなすために、アタイが練習に付き合ってやったんだ」

 セラは腕組みをし、胸を張った。


「これがそうなの?」

 ——確かに白い線が見えたな。


「ああ。口で言ってる場所と別の場所を攻撃してその闘気の動きを読む訓練だ。これが100%できるようになればおめぇはかなり強くなるぜ?」

 セラは邪悪な顔をしていた。ダークネスゴリラだった。


「ちょ……ちょっと! 今日、私、倒れて帰ってきてるんだけど!?」

 私は後ろに後ずさった。


「何言ってやがんだ! まだ闘気は残ってんだからせっかくだからあと何回か訓練しねぇとな?」

 セラはOKマークを指で作って、じりじりと私に近寄ってきた。


「いやいや! ホント今日はもう大丈夫ですって!」

 私は両手を胸の前でぶんぶんと左右に振った。

 ——何もオッケーじゃないよ。圧倒的にノーセンキューだよ。


「痛くしねぇから覚悟しな」

 セラは指関節をゴリゴリと鳴らした。


「せっかくだから鍛えてもらうんだよ。即オチはその道のプロフェッショナルだ。死なないように加減はしてくれるよ」

 エスルスはずずずっと音を立てお茶を口に含んだ。


「ケガをしてもボクが直してあげるから安心するんだよ?」

 フリードは左手をかざすとオレンジ色の光を手のひらから滲み出させていた。顔が照らされ後光が差すイケメンだった。


「治るからって痛いのは変わらないんだよぉオオオーーーっ!」

 私は力の限り叫んだが、圧倒的なゴリラパワーの前では無力だった。


 何度もデコピン?を体に食らいながら、時々治療を受けて私の修行は続いた。


 白い線が見える方向に意識を向けて闘気をコントロールする。


 デコピンのたびに大きな衝撃が走る。


 十を超えた時には、デコピンを受け止められるようになっていた。


「なんだよ……できんじゃねぇか? この実力ならBランクくらいまでは余裕だな」

 セラは手を払うと、踵を返した。


「もう一回風呂に入ってくるよ。ツッコ、次のDランク昇格試験、日和るんじゃねぇぞ? 絶対通るからな」

 セラはそういいながら脱衣所へと消えていった。


 私は、畳の上に大の字でひっくり返り、力尽きたように天井のへこみを見つめていた。

 ——満身創痍だけど……なんか、合格点もらえちゃったよ……


 ————


 そこからあっという間に時間が過ぎて昇格試験当日、私はDランクの試験会場である迷いの森に来ていた。


 迷いの森は、深い霧と苔むした巨木がどこまでも続く静寂の檻だった。陽光は途中で途絶え、踏みしめる腐葉土の音だけが湿った空気に響く。立ち止まれば瞬時に方角を失い、影の揺らめきさえも幻惑へと誘い込んでいく。


「うわぁ……初めて来たけどなんかイヤな雰囲気だなぁ……」

 私は森の奥の方を眺めながら、声を漏らしていた。


「ひぇひぇ、宮國ぃ、今日はしっかりやるんだぞぉ?」

 背後からクソ上司の声が響き渡る。


 私の背中にいろいろな意味で怖気が走った。

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