表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
64/75

第29話「暴走した限界女子が漆黒の聖騎士とDIE決戦した話」

 フリードは舌なめずりをしながら、黒剣の先を地面に跳ねさせながらゆっくりと私に近づいてきた。


「キメぇんだよ……ガンギマリ野郎が」私は切っ先をゆっくりとフリードに向けた。


『なんだぁい? あのときブルブルと震えていた子犬のようだった子が……』フリードは黒剣を地面に突き立てるように下に構えた。


『ずいぶん変わったようじゃないかぁいッ!』黒剣で地面を削りながら下から掬いあげるように切りかかってきた。


 ——見える……


 私は眼前に白い線を見ていた。私の股下から喉元にかけて一気に伸びる白く太い線。


 私はその線を避けるように、左足を斜め後ろに引き、体を半身に構え直す。


 フリードの黒剣は私の服の端をかすめ、風を切った。


『今のをよけるのかぁいッ? 本当に驚くほどの進歩じゃないかぁい』フリードは目を血走らせながら手首を返す。


 今度は私の左肩に向かって一気に振り下ろした。


 私はナイフの腹を白い線の上に乗せ、左に押し込んだ。


 剣先が黒剣の側面に触れ、フリードの斬撃を左にそらす。


 地面が大きく裂け、えぐれた。


 私はフリードのがら空きのみぞおちに左拳を添えると、思い切り地面を踏んだ。


 地面が沈み、大きな衝撃音と、骨の砕ける音が響く。私の顔には赤い飛沫がかかった。


『ぐううぅッ!』フリードは吹き飛んだ。縦に錐揉みしながら。

 ——人ってこんなに簡単に吹っ飛ぶんだ。面白いな……


 フリードは地面に拳を打ち付け、勢いを止める。膝をつき、地面に血を吐いた。


『ツッコちゃぁぁぁぁん……なかなかやるじゃあないかぁ……』フリードは体を起こすと、服に穴が開き、凹んだみぞおちに手を添える。オレンジ色の光が身を包み、傷が治っていった。


「おい! ツッコ! フリード! 試験はおわりだっつってんだろぃ! それ以上続けるなら本気でとめるぜぇ!?」リーベは双鞭を抜き、地面を大きくたたいた。


『なんだぁい? キミは後で遊んであげるから邪魔するんじゃないんだぁい』フリードは腹に手をかざしながら、瞳孔の開ききった目でリーベをにらみつける。


「邪魔するなら殺しますよ……」私はリーベの方を一瞥することもなく小さくつぶやいた。

 ——今、いいところなんだよ。邪魔するなよ。あのガンギマリ野郎に一矢報いることができそうなんだからよぉ。


「ひっ……」リーベの鞭を握る手は震えていた。唇が揺れ、歯をがちがち鳴らす。その場にへたり込んでしまった。


 名無しA:おい、どうなってんだよ。今、フリードふっとんだよな?


 名無しB:血を吐いてたし、ツッコって配信者マジで強いのか?


 名無しC:いや、演技とかは?


 名無しA:演技であんなふっとび方はしないだろうよ?


 ガンギマリスナー:フリード様がやられちゃうの!?


 スクワライドしか勝たん子:あら、フリードファンも来たのね?


 ツッコラーA:ツッコちゃん、とんでもない力だよぉ……でもあれは危険だなぁ……


 スクワライドしか勝たん子:どういうことなの?


 ツッコラーA:あれは命に係わる力の使い方だねぇ……


 スクワライドしか勝たん子:そ、そんな……


 ロクディモント:ひぇひぇ!? 宮國が死んだらボクはどうすればいいんだ!?


 スクワライドしか勝たん子A:何かしらこの人?


 ツッコラーA:ツッコちゃんの言ってたクソ上司かなぁ?


 ロクディモント:ひぇひぇ! 誰がクソ上司だ。高貴なるロクディモント様と呼べ!


 スクワライドしか勝たん子:ツッコラーさん、触れちゃダメよ。それより、フリードが動くわ?


『ツッコちゃあああああん、なかなかの威力に治療に時間がかかってごめんよぉ……待たせたかぁい?』フリードは脇腹から手を離すと、ゆっくりと黒剣を握りしめ、左手を蒼剣に添えると、すらりと抜いた。


「お前みたいな、ガンギマリ待ってねぇよ。さっさとこい」私は左手をフリードに向かい伸ばし、手首を数度返した。


『はっはっはっはっ! 全霊をもって切り刻ませてもらうんだぁい……泣いて謝っても止まらないけどいいかぁい?』フリードは体を左右にひねる。


「御託はいいからとっととこいっつってんだろ」私は剣を構え、腰を落とした。

 ——ぶっ殺してやるからとっととこいよ。


 二人の間に静寂が広がる。ピリピリとしたヒリつく感覚が一面に満たされる。


「だ……誰か! この二人をとめてくれよぉい! どっちかが死んじまう!」リーベは座り込んだまま、鞭を握りしめ、地面をたたいた。


 地面をたたく音に呼応するようにダンジョンの入り口の方からブゥンというような大きな機械の駆動音のような音が聞こえた。


 地面が震え、洞窟全体が小さく揺れている。地面の小石が跳ね、天井から砂埃が落ちてきた。


 私とフリードは視線だけをダンジョンの入り口を向いた。


 そこには全身を赤黒く輝かせ、エントランスゴリラがこちらを見つめている。


 その右手はまがまがしい深紅の光をブゥンブゥンという鈍い音を立てながら放っていた。


 ゴリラは小さく微笑むと、足を強く踏み、地面を割った。


 私とフリードのDIE決戦へ、瞬撃の拳闘士が参戦し、DIE乱闘が開幕した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ