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第24話「瞬撃の拳闘士の力を借りてチョウリの極意に目覚めた話」1/2

 私はゆっくりと目を開けた。

 ——体が熱い……なんだこれ……?


 ゆっくりと体を起こすとセラ、エスルス、フリードに囲まれていた。


「どうやら、意識が戻ったみたいだな。ツッコ、体は大丈夫か?」セラは地面に両手を突いたまま、首だけをこちらへ向けた。


「え……熱いですけど」私は両手を見つめた。手が蒼い光で包まれている。


 手だけではなかった。両腕、両足から体に至るまでが蒼色の光に包まれていた。


「なんなの! これ!?」私は自分の胸元や太ももを交互に指差した。


「キミの体からあふれている闘気だよ。即オチが無理やり開放したんだ」エスルスは自分の腕組みを解き、人差し指を立ててみせた。


「無理やり?」私は握り拳を作ったり開いたりした。


「ああ、そうとも。闘気は扱いに慣れるまではうまく使えないからね」エスルスはゆっくりと首を横に振った。


「さあ! 自分で出力を押えてみるんだぜ!」セラはうつ伏せの姿勢から上半身を少しだけ起こした。


「出力を押える……? どうやればいいの?」私は手のひらを上に向けて頭の横まで掲げた。


「体のどっかに力の根源があるからそこを突き止めて、闘気の量を調整すりゃいいんだぜ!」セラは歯を見せて、サムズアップした。


「え……普通にわからないんだけど」私は、自分の体に意識を向けた。

 ——全身はアツい。でも、どこから力があふれてるなんかわかんないよ。


「早くしちまわねぇと、ぶっ倒れるぞ?」セラは顎をくいと上げてこちらを睨んだ。


「ちょっとどういうこと!?」私は足を一歩踏み出して身を乗り出した。


「今、闘気を駄々洩れにしている状態だからね。闘気がなくなったら即オチするよ?」エスルスは腰に手を当てて立ち尽くした。


「え……あんな卑猥な姿やなんですけど。人としての尊厳を失うことになるの? 類人猿の知性ならまだしても人には耐えられないよ!?」私は両手で自分の顔を覆い隠した。


「おい、ツッコてめぇ、さらっと人のことディスってんじゃねぇぞ? あ?」セラは畳に額を擦り付けるように低くなった。


「言いえて妙だね。即オチなんてなったら人としての尊厳をかなぐり捨てるようなものだからね」エスルスは顎に手を開いて添えた。


「食欲の魔女ぉ……おめぇまた、ボロボロにしてやろうか?」セラは尻を浮かせ、膝立ちになろうとした。


「茶番はいいよ……キミ、まだほとんど闘気が回復してないだろう?」エスルスはセラの尻をはたいた。


『ひぃん♡』軽快な音と汚ねぇ嬌声が響いた。


「イヤだ! 私はそんなみっともない姿になりたくない!」私は叫んだ。

 ——あんな恥も外聞も捨てたような姿になるのは絶対イヤだ!


 私は自分の体の内側に意識を向ける。体中から流れる熱い力の根源を探る。


 見つからなかった。


 体の全体からあふれているような感覚しかなかった。


「わ……わからないよ」私は顔を青くし、震えだした。力が徐々に入らなくなる。


 目の前でエスルスは目を見開きながら、セラの尻をはたいている。


 セラは下唇を噛み締め血をにじませ、頬を赤らめ、鼻をおっぴろげ、目は血走っていた。


 卑猥を通り越して化け物だった。


 ——ひ……ひぃ! こんな姿をさらすぐらいなら死ぬ! 死んでやる!


 私は死ぬ気で、力の根源を探す。その思いとは裏腹に視界が白ずんでいく。


 ——まずい。力が入らない……このままじゃ、即オチゴリラに……いや、私は小さいから多分、即オチピグミーマーモセットになっちゃうよ……


 ちょっとかわいいかもなど思った時にあることに気付いた。


 ——視界が白いんじゃない。白いものが見えてるんだ。


 白い線が自分の胸に伸びている。胸にもやもやした霧のようなものが見える。


「あ、わかった」私は胸元に手を添えて目をつむる。


 胸のずっと奥、心の底にそれはあった。


 私はゆっくりと息を吐くと、青い光は小さくなっていく。


 代わりに淡い紫色の光に変わり私の体を包み込んだ。


Echt(エヒト)(ホントかい、ツッコ)!?』エスルスは目を見開くと大きくお尻を叩いた。鈍い音が響く。


『エヒィイイッ♡』セラの甲高く汚ぇ狂声も響く。


『ツッコ! すごいじゃないか! それが跳理の極意だよ! Warum(ヴァルム) kannst(カンスト) du(ドゥ) das(ダス) benutzen(ベヌッツェン)(なぜ、それを君が使えるんだい)!?』エスルスは小さく跳ね、前方宙返りをするとその流れでカカトをセラの背中に落とした。見事なまでのサマーソルトドロップだった。


『ブヒィィイ♡』セラは口の端からよだれを垂らしながらトンデモない声を上げた。いや。(トン)でもあった。


「醜い……醜すぎる」フリードは顔を覆った。


 セラはその声を耳にして、腰を震わせて悶絶していた。


「これが跳理の極意……」私は一連の流れをなかったことにして手を握り、拳を創る。

 ——体の底から力が沸き上がるような感じ。今なら何でもできそうな気がする。


 私はゆっくりとテーブルに手を添え、右手で持ち上げた。

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