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第22話「瞬撃の拳闘士をトロトロの親子丼で即オチさせた話」2/3

 ドM拳闘士は畳の上を引きずられている間も甘い声を上げ続けていたが、私は慣れてしまった。


 キッチンに着くと私はゴムで髪をまとめると包丁を握る。


 鍋に昆布と水を入れ、煮立たせる。ひと煮立ちしたところで大量の削り節を投入し、ふわりと立ち上る出汁を取る。


 広がる磯の香りに鼻を引くつかせる食欲の魔女。


「ツッコ、すごく芳しいいい匂いだね。今日は何を作るんだい?」エスルスは鼻の穴を広げ息を大きく吸い込んだ。


「今日は親子丼にします。卵と鶏の和風丼ですね」私はタマネギを手に取ると、ヘタをきり皮を剥く。


 大量のタマネギを入れて甘みをしっかり引き出すため、中くらいのタマネギを2玉、ザンザンとヘタを切り落とし、ザクザクスススススッと繊維に沿ってスライスしていく。


 エスルスが撮影機材の電源を入れる。


「やあ、食欲の魔女のエスルスだ。『ツッコ解説ダンジョン配信飯テロもあるよ』を始めるよ? 今日はSクラス廃人者のフリード・ベルセルクとSクラスドM即オチのセラ・ブラストと一緒にツッコの凄さを解説していくよ」エスルスは手を叩いた。


「エスルス様、僕はSクラス廃人者ではなくて配信者です」フリードは頬をかいた。


「おい! アタイを変な名前で紹介するんじゃねぇよ! これでもエイトのトレーナーとしてA級配信者としても名前は通ってるんだからな!」セラは腕組みをしていた。


 スクワライドLOVE美:あら、ツッコちゃんの配信始まったのね。フリードと、あと誰かしら?


「やあ、LOVE美さん、ご健勝かな?」エスルスはカメラのレンズに向かって、大仰に片手を広げてみせた。


 スクワライドLOVE:おかげさまで体の傷は大丈夫よ。人があふれる往来を浮かされて運ばれたのは今だにトラウマだけど……


「それくらいはどうとでもなるよ」エスルスは興味なさげに吐き捨てる。


 私はそのやり取りを頭の片隅で聞きながら、一度鍋の火を止め、みりん、しょうゆ、砂糖を少々、塩を入れて味を調える。


「ツッコちゃん、剣と違って手際がいいねぇ」フリードは後ろから調理の様子を覗き込んでいた。


 私は褒められているのかよくわからなかったが、気にせず作業を続ける。


 切ったタマネギを鍋の底に敷き詰める。

 

 そぎ切りにした鶏肉を皮を下にしてタマネギの上に並べ、中火でじっくり煮込んでいく。


 ぐつぐつと煮込んでタマネギがしんなり柔らかくなり、鶏肉に火が通ると甘く、香しい匂いがキッチンに広がる。


「ツッコ、いい匂いじゃねぇか……腹が減ってきちまったよ」セラは口にたまったよだれを飲み込んでいた。


 私は卵を割ると、カシャカシャカシャッと軽く溶き、鍋の中にサーッと円を描くように回しかける。


 蓋をして、耳をすます。コトコトコトコトと数秒間蒸らし、火を止める。


 蓋を開けると、芳しい湯気が広がり、黄金の中に白が映える卵とじが姿を現した。 


 どんぶりに盛ったつややか輝く白銀のご飯の上に黄金色の卵と鶏肉たちをトロリと流しのせ、三つ葉と刻みのりを散らして完成だ。

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