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第16話「限界配信者の父が狂人に稽古をつけた話」3/3

『そんな見た目になったところで何が変わるというんだぁい!?』


 フリードは剣を振るう。


 剣の軌跡に合わせ白い線が広がり、近づいてくる。


 俺は白い線を避けるように体を揺らしながらまっすぐと歩く。


 フリードの懐に入り込み、包丁を下から上に振り上げた。


 フリードは蒼剣で、受け止める。


 俺の包丁は蒼い剣をバターのように断ち切り、フリードの体を縦に裂いた。


『グッ! なんてことしてくれるんですかぁ?』


 フリードは後方に飛び、距離を取ると胸に手をかざした。オレンジ色の光が手のひらからあふれ、フリードの傷をいやしていく。


「おお! フリード、お前、治癒スキルに目覚めたのか。すげえな」俺は包丁をぬぐい、血のりを落とした。


『褒めたって、何もではしませんよ。それよりもあなたやエスルス様を倒すために研鑽を積んで身に着けた技を見てみるかぁい?』


 フリードは背中にの鞘を腰に携え、黒剣を鞘に納めた。


「ああん? 抜刀術か? そんな両刃の剣でできるのかよ」俺は肩をすくめた。


『なめると痛い目にあいますよぉ? 受けてみてみるんだぁい』


 フリードが構えると、周囲が静かになる。


 黒剣の鞘から、黒色の霧がにじみだし、周囲に広がる。


「なんだこりゃ? 目隠しか?」


 俺は周囲に広がる霧を見つめていた。


 霧が広がり、フリードの姿が見えなくなる。


 俺はじっくりと正面を見据えた。


 風が流れ、何かが近づいてくる。


——来る。


 俺は目を凝らす。白い線が下から喉元めがけて伸びてくる。とっさに俺は左に飛んだ。


『双剣の極み・一刀流・除夜の黒鉄(くろがね)……』


 フリードの声が暗闇の中に響く。黒色の閃光が俺が立っていた場所を貫いた。


 俺は着地すると地面を蹴り、包丁を縦に振り下ろした。


 包丁はフリードの肩に深々と突き刺さり、フリードは崩れ落ちた。


 フリードが倒れた先には、民族衣装に身を包んだ、銀髪の美女が立っていた。


————


「ってのが、ことの顛末だ」ツッコは、大きく息を吐いた。


「そうですか、よくわかりました」ボクは少しだけ下を向いた。


「さて、俺はそれそろお(いとま)の時間のようだ……眠くなってきた……」ツッコは目をこすると座り込んだ。


「トオル! もう行っちゃうんですか? また会えますか?」ボクはツッコの体に手を添えた。


「さあな? 今回の件だってなんで起こったかはわからねえよ」ツッコはボクの顔に手を添えた。


「そうですか……」ボクはその手に頬ずりをした。


「そんな面すんなよ? かわいい顔が台無しだぜ? じゃあ、ツッコを、娘を頼むぜ……お姉ちゃんよ……」ツッコの手が頬から離れた。ゆっくりと地面に落ちた。


「トオル! わかったよ! トオル……」ボクはツッコを抱きしめ、胸に顔をうずめた。


 スースーと寝息を立てて眠るツッコの顔をじっと見つめていた。


 ズリズリと何かの音がしてボクは振り向いた。


 そこには、体から赤い血を垂れ流しながら、半笑いを浮かべる狂人が立っていた。

 =============【作者より】


 読んでいただきありがとうございました。


 トオルとフリードの戦いはどうなるのか?

 本作に似合わずシリアスシーンが続き申し訳ございません。

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