表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
39/75

第15話「食欲の魔女がイケメンパラディンに煽られてゲラーデンした話」1/2

 私は、フリードを尻目にLOVE美さんの傷を抑えた。私の服を赤黒く染めていく。


 カバンを手に取った。応急手当用の道具を取り出す。


 治療薬の入った瓶を開けて、LOVE美さんの傷にかける。


 傷がシュウシュウ音を立てた。


 小さな傷は消えるが、大きな傷はふさがらずに血があふれていた。


 カバンの中には、配信用のPC、スマートフォン、昼食用に持ってきたビーフシチュー、そして、DEATHソースくらいしかなかった。


「ツッコ! 聞こえるかい!? 聞こえたら返事をしてくれ」エスルスの声がスマートフォンから聞こえた。


 スクワライドしか勝たん子:配信復活したわ! 何があったの?


 ツッコラーA:ツッコちゃん、大丈夫かなぁ?


「エ、エスルス……大変なんだよ、LOVE美さんが、LOVE美さんが……」私はスマホをつかみ、青ざめた顔でスマホを見つめた。


「ああ、ようやくつながった。急に配信が切れたから心配したよ……LOVE美さんがどうしたんだい?」エスルスは画面越しにこちらの様子を伺った。


「血が……たくさん、フリードが……」私はがたがたと震える手でスマホを握りしめた。


「血だって? フリードが、アイツが何かしたのかい!?」エスルスは大きく目を見開き、険しい表情へと変えた。


「うん……血が、血が止まらないの、どうしたらいいの?」私はこぼれ落ちる涙を拭う余裕もなく、泣きじゃくった。


「気を確かに持つんだよツッコ! キミの位置はわかったから、あと5分もすれば着く! 詳しい状況は説明できるかい?」エスルスは覗き込むように画面を凝視した。


「え……あ……」私は恐怖で喉が引きつり、うまく言葉を結ぶことができなかった。


『おやおや、どこかで聞いた声かと思ったらもしくはエスルス様ですかぁ?』フリードは後ろから私のスマートフォンをつかんで、奪い取られた。私はそれを見つめることしかできなかった。


「やあ、フリードか。こんなところで会うとは奇遇だね。ボクのご飯係のツッコに手を出したらただじゃ置かないよ?」エスルスの声は、奪われたスマホのスピーカーからを低く響いた。


『「ただじゃ置かない」ですかぁ……それはツッコちゃんに手を出したら、エスルス様が本気で相手をしてくれるってことなのですかぁ?』フリードはスマホを指先で弄んだ。


「キミ……自分が何を言っているのかわかっているのか? ボクが食事のことで怒ったらどうなるのか。前にボクのプリンを勝手に食べてどうなったのか覚えていないのかい?」エスルスの声は、静かな威圧感を孕んでスピーカーを震わせる。


『覚えていますとも、双剣と両腕を折られて、庭先に二泊三日させられたんです。忘れられるわけがないですよぉ?』フリードは肩を揺らし、あざ笑うような音を喉から漏らした。


「一度しか言わないよ? ツッコから離れろ……」エスルスの声は低いトーンに変わった。


『それを聞く、僕と思うかぁい?』フリードは私の頭上から、挑発するように小刻みな笑い声を響かせる。


Du(ドゥ) spinnst(シュピンスト)wohl(ヴォール)ッ!(ふざけるなッ!) もうすぐ着くから指でもくわえて待ってることだね』エスルスの声は、通信の向こうで激しく毛羽立っていた。


『剣でも振って待つことにしますよぉ』フリードはそう吐き捨てると、私のスマホを空に投げ、剣で切り裂いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ