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第12話「イケメンパラディンにコボルトに襲われていたところを助けられてもじもじした話」 2/2

 コボルトは左右に二体。正面を向いている方の右のコボルトにライトを最高の明るさにして当てた。


 コボルトが目をつぶった。


 私は駆けた。左のコボルトの顔に小袋をぶつけた。


 中身が広がり、コボルトがありえないような悲鳴を上げた。


 右のコボルトの喉を一突き、いやな感触がした。コボルトは崩れ落ちた。


 剣を抜いた。


 小袋をぶつけたコボルトは泡を吹いて気絶していた。


 スクワライドしか勝たん子:ちょっと……コボルトに何を投げたの? トウガラシ袋だとこんなにならないわよね?


 ツッコラーA:泡吹いて気絶するって毒でも持ったのかなぁ……


 「ああ……これを使いまして……」私はカバンの中から『DIEソース』を取り出した。


 スクワライドしか勝たん子:それって死神に殺してくれって懇願するってCMやってる奴じゃないの?


 ツッコラーA:何だいそれぇ……物騒にもほどがあるけどどこの凶器かなぁ……


 「いやー……一応これ食品なんですよね……」私は瓶のラベルを見せた。


 「ツッコ……それ、どうするつもりだったのかな」エスルスが少し眉をひそめていた。


 「あー……エスルスのビーフシチューに入れればいい反応してくれるかなーと思って。悪魔的(デモーニッシュ)!っとか」私は瓶を振った。


 「キ……キミはボクを殺す気なのかい? 激辛料理も当然好きだけど、死ぬのを懇願するようなほどの辛さはちょっとごめん被るよ……興味はあるけどね……」エスルスは苦笑いをしていた。


 「いやー、大丈夫だよ、今度試してみよう?」私はカメラに向かって歯を見せた。


 ツッコラーA:ツッコちゃん……気を抜いたらダメだよぉ!


 「ツッコ! 後ろだ!」


 気絶をしていたはずのコボルトが後ろで剣を振りかぶった。


 私は横に飛びのいた。右肩に痛みが走った。


 肩から血が流れた。


 コボルトは目が真っ赤だった。「ワォオオオオーーーーンッ!」と叫んだ。


 周囲の巣穴からコボルトが何匹も出てきた。


 ツッコは取り囲まれた。


 「ど……どうしよう……」私は剣を握り、肩を押さえた。


 「ツッコ! 出口の方に向かえ! 駆け抜けるんだ!」エスルスが叫んだ。


 私は走った。足がもつれそうになった。


 後ろから大量の足音が迫って来るのが聞こえた。


 正面に人影が見えた。男の人だった。銀色の軽鎧の上に黒い外套を重ね、双剣を背負っていた。


 「た……助けて!」私はその男の人の方に向かって叫んだ。


 「オレの後ろに隠れるんだ……」男の人はよく見るとヨウシャールと一緒にいたイケメンだった。

 ――フリードだっけ!? Sクラス配信者って言ってたよね……?


 背中に背負った双剣のうち、黒い一本を手に取った。


 自然に立っているようなそぶりで左右に軽く剣を振った。


 私はフリードの後ろに隠れた。


 正面には十体以上のコボルトが迫っていた。私は腰を抜かしてへたり込んだ。

 ――嘘……こんなにいっぱい来てたの……? 大丈夫なの……? これ……


 コボルトたちが一斉にフリードにとびかかった。


 フリードは散歩をするかのように真っすぐと歩き、コボルトたちの横を通り過ぎた。

  ―え? 今、すり抜けた……?


 「カチャッ」と、剣が鞘に収まる冷たい音が響いた。


 フリードに襲いかかった十体以上のコボルトたちが、一斉にバラバラになって崩れ落ちた。


 血一滴すら、フリードの鎧には飛んでいなかった。


 「大丈夫だったかい?」フリードは私に近づき手を差し出した。


 「だ、大丈夫です……痛っ」私は右手を伸ばしたが、左手で傷を押さえた。


 「ケガをしているね……」フリードは私の右肩に手をかざした。オレンジ色の光が広がった。


 私の傷がみるみるとふさがっていった。


 「す、すごい……」私は腕を動かした。全く痛みがなかった。

 ――痛みがないし、なんかちょっと温かかったな……


 「立てるかい?」フリードは再度手を差し出した。口角を小さく上げて微笑んだ。


 私はフリードの手を取った。フリードの顔を見た。爽やかイケメンだった。

 ――ちょっと……これ……めちゃくちゃカッコいいんだけど……


 私は顔を赤らめながら立ち上がった。お尻についた土を払った。


 「危ないから一緒に行こうか……奥のほうでいいのかな?」フリードが手を引いた。


 「はい……」私はもじもじしつつ、フリードに手を引かれながら巣穴の奥に向かっていった。


 ―――――


 わっち、こと、リーベ・クレッセンはスマホを開き、座り込んでいた。

 ――ツッコちゃんの配信始まってんじゃねぇか……


 「リーベ! お前また配信見てんのかよ?」筋骨隆々とした男が辺りに散らばったモンスターたちから素材をはぎ取りながら声をかけた。


 「うるせぇよい……戦闘終わったんだからいいじゃねぇか? 推しの配信が始まってんだよ」わっちはスマホをじっと見つめていた。


 わっちはスマホの画面に映し出されたフリードを見て目を見開いた。スマホをものすごい勢いでタップした。


 スクワライドLOVE美:ツッコちゃん! その男から離れなさい! 殺されるわよ!

 =============【作者より】


 読んでいただきありがとうございました。


 不審なイケメンフリード・ベルセルクがツッコと合流しましたね。


 LOVE美ことリーベのコメントも気になるところです。


 〇今回の声に出して読みたいかっこいいドイツ語講座ァーッ!


 Genauゲナウ : その通り! Exactlyですね。


 Gutグート: いいね good。


 今回は少なめです。ごめんなさい……


 ブクマや感想、★評価をいただけると執筆の励みになります。引き続きよろしくお願いします。

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