第11話「食欲の魔女を納豆ご飯で下衆MAX(ゲシュマックス)させた話」1/2
「かんたんお手軽で美味しいご飯を作ります。納豆苦手な方も多いと思いますがこれなら食べられると思います」私は納豆のパックを開けて、ビニールを取り除いた。
「ツッコ……何だいその酸っぱいような変なにおいのする豆は……」エスルスは鼻を押さえた。
エスルサーA:エスルスさまは食欲旺盛なのに納豆苦手なんですかね?
「エスルサー君、食欲の魔女をなめるんじゃあないよ? 食べるとも、だが、ゲテモノはあまり好んでは食べないだけだよ」エスルスは鼻息を荒くした。納豆の香りを吸い込みすぐに鼻を押さえた。眉をひそめていた。
「納豆の苦手な人にも食べられる工夫するから安心して……」
私は納豆をパックから出し、ボウルに入れた、出汁しょう油、酢をかけた。
青ネギと大葉をトトトトトトトトトトッと刻み、ボウルの中に加えた。
スクワライドしか勝たん子:やっぱりツッコちゃん、包丁さばきすごいわよね……
ツッコラーA:プロ顔負けだねぇ……
「納豆は酢や大葉、ネギを混ぜると臭みが消えます。味も引き締まるので一石二鳥です。なお、納豆は混ぜるほど、匂いが出るので軽く混ぜ合わせる程度が良いです」
ボウルの中をざっざっざとスプーンを使って軽く混ぜ合わせた。
私は別のボウルに水をよく切った豆腐、ワサビ、カツオ節、入れて豆腐をつぶすように混ぜ合わせていく。
丼にご飯をよそう、ホカホカのご飯がつやつやと輝いた。
その上につぶした豆腐たちを敷き詰め、
ネギ大葉酢納豆をトロトロとその上にかけた。
出汁醤油を全体に回しかけ、刻みのりを添えて出来上がりだ。
「ツッコ……単体で見ると吐瀉物のようだったけど何やら美味しそうじゃないか……」エスルスはスプーンを手に取った。
スプーンでご飯と納豆たちを掬い上げた。ねばねばと糸を引いていた。
「確かに臭みは消えているね。スパイスのような刺激的な香りが食欲をそそるね……」エスルスはスプーンを口に運んだ。
無言で咀嚼した。もしゃもしゃという咀嚼音が聞こえた。
ゴクリっと飲み込むと同時に震え始めた。
大きく口を開きながら、まくしたてるように叫んだ。
『弾けるような豆のプチプチっとした歯応えッ! そのあとに鼻の奥にまでツーンッと来る強烈ゥッ! な刺激と、爽やかッ! な清涼感が共に舌の奥を支配し、旨味の奔流となって喉を駆け抜けるゥッ。噛みしめるたび、絡み合うネバネバとした粘りが極・上ゥォオッ! の味わいを生み出し、重なり合う香りと白米の甘みが胃の腑まで蕩けさせるゥッ!』
エスルスは立ち上がると、目をぎらつかせた。
『Das ist wahrhaftigィィィッ! eine Galaxie des Geschmacksゥウウウッ! (まさにッ! 味覚の銀河だよぉッ! ツッコォおおおッ!)』
スクワライドLOVE美:ちょっと今、この奇女、下衆MAXって言わなかった?
スクワライドしか勝たん子:いや、流石に何かのドイツ語なんじゃない?
エスルサーA:どうやらゲシュマックスで味覚って意味があるみたいです。
ツッコラーA:へぇ……勉強になるなぁ……
エスルスは丼一杯分を食べきると満足げに目をつむった。
その時、ちょうどタイマーが鳴った。
私は鍋を開け、塩コショウで味付けをしたうえで、一日寝かせるべく、タッパーに分けて、保冷剤を下に敷いた。
「さて、みなさん、本日の配信はおしまいです。ビーフシチューはまた明日以降で食レポします! ありがとうございました」私は深々と頭を下げた。エスルスは微動だにすることもなく、お腹いっぱいで半分まどろんでいた。
スクワライドLOVE美:配信中に寝るとか、ほんと自由な女ね。
スクワライドしか勝たん子:今日は飛んだり跳ねたりしすぎて疲れたんじゃないの?
エスルサーA:寝顔も尊いッ!
私は配信を切って、ビーフシチューを冷ました後で床についた。




