第9話「イケメンパラディンがイチャイチャしていてぐぬぬった話」2/2
私は、今日一日のことでもやもやしたので、会社の最寄のコンビニに立ち寄りパワーヌルを買った。
最寄りの駅前まで歩きながらカシュッ! と相棒を開ける。
――今日はレモンと、アップルだ。飛ぶぜぇ!
私は歩きながら上を向いて、ごくごくと大きく飲み込んだ。
清涼感が喉を突き刺し、鼻にレモンの香りが広がった。
――周囲の人が驚いて私を見ている気がしたが、まあ気のせいだろう。
レモン味の相棒を飲み終わったときに、正面に見覚えのある女性が若い男と一緒に腕を組んで歩いていた。
ヨウシャールだった。目があった。
「あらあら……帰り道にそんな低俗な飲み物を飲みながら帰るなんて、恥というものを感じないのかしら……すごいわ……」ヨウシャールは隣に立っている男性の首に手をまわして、顔だけをこちらに向けてきた。
ヨウシャールが抱き着いている男性は冒険者のような出で立ちのイケメンだった。黒髪に銀色の軽鎧、背中に二本の蒼と黒の長剣を背負っていた。
「こんなところで何してるんすか? 距離近くないっすか?」私はリンゴの相棒に手をかけた。
「あらあら……この人は、私の彼氏のフリード・ベルセルクよ、Sランク配信者であるパラディンよ。バカにしたつもりなのにまだ飲むなんて厚顔無恥も甚だしいわ……すごいわ」ヨウシャールはフリードを見つめていた。
「へいへーい。公衆の面前で恥ずかしげもなくいちゃついてるあんたらに言われたくないでーす」私は相棒を一口飲んだ。
「ヨウシャール、あまりひどいことを言ってはいけないよ?」フリードはヨウシャールのおでこをこつんと人差し指で突いた。
「あらあら、ごめんなさい、ついいじめたくなっちゃうの……優しいのね……フリード」ヨウシャールはおもむろにフリードの頬に手を添えた。
目の前に私がいるにも関わらず、ヨウシャールは唇に唇を重ねた。
「ちょ! ちょっと何してるんですか!」私は目を見開いた。
――マジで公衆の面前で何してるの!? ってか、イケメンとキス! 正直うらやましいです! ぐぬぬ……
「あらあら、つい昂ってしまったわ。ごめんなさいね、見せつけるつもりはなかったのよ?」ヨウシャールは唇に人差し指を添えていた。
「好きにしてください! もう私帰るんで」私は地面を踏み鳴らしながらその場を離れた。
――あー! 経理で散々コケにして、目の前でイケメンとのイチャイチャまで見せつけてこいつほんとにムカつくなぁあーーー!
私は二人を置いて駅の中に消えていった。
ヨウシャールはその背中をずっと見つめていた。
「あらあら、怒っちゃったわ……」
「……ねえ? フリード、あの子駆け出しの配信者なんだけど、今度あの子に本気で剣の稽古をつけてあげて? 手加減しちゃダメよ? 彼女、強くなりたいそうなの」ヨウシャールは不敵な笑みで、フリードを見つめた。
「そうか、剣が好きなんだね。わかった今度見かけたら本気で指導するよ」と微笑むフリード。
『彼女はどのくらい剣に真摯に向き合っているんだぁい?』フリードは瞳孔を揺らがせ、舌を出していた。
限界OLにその言葉は届かず、煌々と光る月だけがその様子をみていた。
=============【作者より】
読んでいただきありがとうございました。
新キャライケメン剣士のフリードはとても好青年な雰囲気がありますよ……ね?
〇今回の声に出して読みたいかっこよくてカオスな言語・LOVE美w/ドイツ語講座ァーッ!
・お後がよろしいようで! O! A! TO! がよろしーーーん!
限界オタク仲間が言った言葉に賛同して歓喜する様。
・まるで映画の名シーン!
あまりにうまくいい言葉が出たので映画のようだという感嘆表現
・感動的でヴァーーーーンッズィーンッ!(Wahnsinn:最高よ!)
ドイツ語でWahnSinn=ヴァンズィ―ン=最高
エスルスに倣いドイツ語で最高潮の感情表現を。
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