第7話「食欲の魔女がブリリアントポークトンカツで四回転半ひねりをキメた話」1/4
『私は帰って、最高の豚野郎を食すんだよ、この牛ウマやろぉーーー!』
ツッコが初配信を終えた翌日午前、エクリプスの会議室の中で二人の男女がツッコの配信のアーカイブを見ながら振り返りを行っていた。プロジェクターの光が、細めの男と、女性の頬杖をついた横顔を照らしていた。ツインテールが揺れていた。
「ツッコちゃん、すごいだろぉ……」
「旦那……正直、そんなに嬉しそうな目で他の女のこと見てると妬けちまうよ……」
「そんなこと言わないでくれよぉ……ツッコもかわいい社員の一人なんだからさぁ……」
「わかってらぁ……旦那が気にかけてる社員をないがしろにはしないぜ」
「リーベちゃんは物分かりがよくて助かるよぉ……リアルでも気にかけてやってあげてねぇ?」
「わっちに任せときな! ロクディモントからもうまいこと守ってやんよ!」
「頼むよぉ……今日はツッコちゃんはケガしたから配信はないよなぁ……」
「確かにあの怪我じゃあな……」
その時、スマホに一通の通知が届いた。
女性は慌ててパソコンを操作した。
打鍵音とクリック音が室内に響いた。
プロジェクターに画面が表示された。
『みなさん、「ツッコのダンジョン配信脱力解説講座、飯テロもあるよ」第1回番外編始まりまーす。前回は飯テロができなくってすみませんでしたー、反省してまーす。今日はその飯テロパート特別にやっていきまーす』
「「始まった!?」」
―――――――――
少し時間がさかのぼった、宮國家のキッチンにて。
私はトンカツの準備をしていた。
――ウルトラブリリアントポーク。これを食さずには配信を本当の意味で終えたとは言えない。なんせ、100g、15,000円だ! バズるために準備したといっても過言ではない。
私はウルトラブリリアントポークを見つめて、深い息を吐いた。
――しかし、昨日は散々だった……死にかけて、おっさんにセクハラされて、そのあとエスルスが配信をちゃんと終えてくれたけど……
私は配信装置のボタンを押した。カメラに羽が生えて宙を舞った。私は息を吸った。
「みなさん、『ツッコのダンジョン配信脱力解説講座、飯テロもあるよ』第1回番外編始まりまーす。前回は飯テロができなくってすみませんでしたー、反省してまーす。今日はその飯テロパート特別にやっていきまーす」
ぐぎゅるっ♡ ぐぎゅるるっ♡ ぐぎゅるるーーん♡
スクワライドLOVE美:ツッコちゃん、体調大丈夫なの!?
ツッコラーA:ホントだよぉ……無理はダメだよぉ……
「え!? LOVE美さんたち、早ッ! 怖ッ! ストーキングはやめてくださいよー。あー……帰ってからエスルスが回復魔法を使ってくれて驚くことに傷跡もないんですよ。ほら!」私は昨日縦に裂けていた腹を見せた。
スクワライドLOVE美:あらー……良かったわね……でも年頃の娘がへそなんか出したらダメよ、目の毒よ。
ツッコラーA:ホントだよぉ……誰が見てるかわからないからねぇ。
「あー確かに、クソ上司とかやな同僚とか、S級配信者のセクハライドおじに見られたらいやかも」私はお腹を隠した。
ツッコラーA:悪口はやめようよぉ……ファンが減るよぉ……
スクワライドLOVE美:ホントよ……ツッコちゃん……ところでさっきのオープニングの音、何?
「あはは……気をつけます……素でやってたらつい……って音? 音なんか入れてないですよ?」私は首を傾げた。
ぐぎゅるるるるーーーん♡
スクワライドLOVE美:ほら、今のよ。
「あー……それ、今ワイプ芸してる、銀髪の美女の虫の音ですよ」私は頬を掻いた。
スクワライドLOVE美:虫?
ワイプ画面には銀色のものが映っていた。真ん中が渦を巻いており、肌色が見えていた。
「お腹が減りすぎて力が出ないんだよ……ボクの命もあとわずかだ……」銀色のものが動いた。エスルスの顔がワイプ全体にドアップで映し出された。




