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第6話「食欲の魔女がデリシャススティックで鳥になった話」4/4

「おいおい……おめぇみてえなバケモノじみた女の子がいるかよぉい」スクワライドは額に汗をにじませていた。ツッコを壁際に横たえた。


 次の瞬間、エスルスの手から黒い光が打ち出された。


 スクワライドは腕でそれをはじいた。


 いや、腕ではなかった。


 手に小さな短剣を持っていた。


 緑白色に輝く短剣だった。


「おやぁ……ミスリル製のナイフかい? どこから取り出したんだい!?」


 スクワライドLOVE美:WWC(Walking Weapon Case)よぉオオオオーーーーーーッ!


 スクワライドしか勝たん子:ヤダ……ほかの人の配信で見られるなんて尊ッ!


 スクワライド推して参る隊Z:尊死するッ!


 スクワライド推して参る隊X:尊死に値するッ!


「これならどうだい?」エスルスが手をかざすと空間に黒い球体が浮かび上がった。


 球体の数は優に十は超えていた。


 球体から一斉に光線が射出された。


 スクワライドが両腕を左右に開くと、何もない空間を掴んだ。


 そして前に向かって両腕を交差させるように振った。


 白緑色の短剣が大量に投擲(とうてき)された。


 黒色の光線を弾き飛ばし、球体を破壊すると、


 すべての短剣がエスルス目掛けて飛んだ。


Scheiße(シャイセ)!』


 エスルスは叫ぶと、地面を思いっきり踏みつけた。


 地面が隆起し、すべての短剣を弾き飛ばした。


「うーん……(らち)が明かないね……ツッコを返してもらおうか。ボクのご飯を作ってくれる大事なパートナーなんだ。お腹が空いて死にそうなんだよ」エスルスは忌々しげにスクワライドをにらんだ。


「おいおい……腹減ってイライラしてんのかよ……これでも食いねぇ!」スクワライドはポケットから何かを取り出しエスルスに投げた。


 袋は放物線を描いた。


「なんだい? これは?」エスルスは手を上げて受け取った。


「デリシャススティックのコーンポタージュ味だ、ダンジョン配信の時の軽食用に持ち歩いてるもんだ。飛ぶぜぇ?」スクワライドはもう一本デリシャススティックを取り出すと袋を開けて口にくわえた。


 エスルスは無言で、袋を裂いた。


 デリシャススティックを口にくわえるとパキリッと音を立てた。


 ぼりぼりぼりぼりッと咀嚼(そしゃく)した。


 ごくりという音が響いた。


 しばらく静寂が続いたが、エスルスが後ろにのけぞりながら咆哮した。


Es ist wieエス・イスト・ヴィー・ in einem(イン・アイネム)……(私はまるで……)」


Maーーーーーーis(マーーーーーイス)feーーーーーld(フェーーールトォッツ)!!(コ――――――ン畑の中にいるようだッ!)」


『これは……まさに……奇跡の棒(ヴンダー・バー)……、デリシャァススティックゥッ! 空洞のあいた御身から放たれる濃厚なコーンポタージュの風味がボクの脳内を黄金の畑へと昇華(ズブリミーレン)させる! 飛ぶぞ……これは!? ボクのことを(ネン・ミッヒ・)鳥と呼ぶんだ(アイネン・フォーゲル)ゥウウウッ!』エスルスは見る見るうちにデリシャススティックを消費し、蹂躙した。


「おいおい……たかだか十数円の駄菓子だぜ……ちゃんちゃらおかしいぜ……」スクワライドはデリシャススティックを咀嚼(そしゃく)しながらつぶやいた。


 スクワライドLOVE美:HAA--------NN! 『ちゃんちゃらおかしい』いっただきました―――ッ!


 スクワライドしか勝たん子:頂きましたーーーーッ!


 スクワライド推して参る隊A:投げ銭祭りじゃっ!


 スクワライド推して参る隊B:わっしょいっ!


 スクワライド推して参る隊C:わっしょいっ!


 スクワライド推して参る隊D:投げ銭祭りじゃっ!


 スクワライド推して参る隊E:わっしょいっ!


 スクワライド推して参る隊F:わっしょいしょいっツ!


「だ……大丈夫なのかい? キミのファンは……大分頭のねじが外れて言語力が腐っているようだけど……」エスルスは画面を見ながら苦笑いをしていた。


「おいおい……おめえがそれを言うのかよ……」スクワライドは顎を撫でた。


 私、宮國通子。24歳。私にセクハラをして、私を狙っているであろうSランク配信者、デリシャススティックを貪る食欲の奇女と、それに喜ぶ頭の沸いた濃ゆいファンたちに囲まれるという最低凶悪な状況といえるのだけれど、命を失うという最悪の事態は避けられたのであった。

 =============【作者より】

 読んでいただきありがとうございました。


 牛野郎が現れたときはどうなるかと思いましたね……


 ツッコの借金はどうなったのか!? まだまだ目が離せません……


 次回更新は明日18時10分予定です。


 〇今回の声に出して読みたいカッコいい言語・ドイツ語講座ァーッ!


 ◆ Scheiße!(シャイセッ!)


「クソッ、チクショウめぇーーーッ!」って感じですね。英語の「SHIT」と同義です。


 なお、「ß」は「エスツェット」というドイツ語固有の文字で、「ss」と同じ意味(濁らないサ行の音)となります。


 ◆ Es ist wie in einem Maisfeld.(エス・イスト・ヴィー・イン・アイネム・マイスフェルト)


 Es ist =(それは〜である)

 wie = 〜みたい(前にも紹介した英語の「like」ですね!)

 in einem Maisfeld = コーン畑の中に(in the コーン畑)

 つなげて「まるでコーン畑の中にいるようだ」となります。


 ◆ Wunderbarヴンダーバー


「すばらしい!」って意味です。アニメとかでもよく聞く単語かもしれないですね。

 ブンダバー!


 ちなみに「Wunder」には「奇跡」という意味があり、今回はあえて奇跡(Wunder)の棒(bar)というダブルミーニングとしてみました!


 〇今回の声に出して読みたいLOVE美語講座ァ―――ッ!


 ◆ギャアアアアアアアアアアアアーーーーーーーッ!


 歓喜の悲鳴


 ◆スクワライド様がほんとにキターーーーん!


 推しが現れた。来たという喜び。


 ◆キーボードをタタタタ―――――ン!


 感情のままにキーボードを打鍵する音を表現。


 ◆私の心がもうもた――――ン!


 あまりの感動に心が張り裂けそうだ。


 まとめて


 意味なんかねーよ!!!!!


 ブクマ、感想、★評価をいただけると執筆の励みになります。引き続きよろしくお願いします。

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