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食欲の魔女と底辺OLのダンジョン飯テロ配信~「赤字ならクビ」と言われたので、ポンコツ魔女に飯を食わせてブラック企業の売上を超えます~  作者: ダニエルさん
第2章:Sランク配信者なんて無理無理無理! でも、魔石採掘部門にはいきたくない!

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第81話「食欲の魔女がチーズフォンデュのせいで、伸腕伸身開脚倒立十字懸垂静止をキメた話」2/4

 私はブリリアントポークの入った包みを、カメラの前に掲げた。


 ずっしりとした重量感。張りのある皮の下には、粗挽き肉がぎっしりと詰まっている。


「見てください、この立派なソーセージ! ウルトラブリリアントポークですよ! ウルトラでブリリアントなポークですからね! これはもう、食べる前から勝利確定でしょう!」


 ケセラセラ:説明になってないw


 名無しさんA:語彙力どこいった。


 エスルサーA:なんと神々しい響き……


 私はフライパンを取り出すと、少量の油を引いてソーセージを並べた。


 ジュウウウゥゥ……!


 熱せられたフライパンから、肉の脂が弾ける小気味よい音が響いた。


 ぷっくりと膨らんだ皮の表面に、じわじわと香ばしい焼き色がついていく。


 トングで転がすたびに、こんがりとした茶色い筋が増えていった。


「今回は切らずに丸ごと焼きます! 切っちゃうと、せっかくの肉汁が逃げちゃいますからねぇ!」


 私は火加減を調整しながら、ソーセージをじっくりと焼き上げていく。


 ——うっひょー! この匂い! たまらんなぁ……


「ツッコ……」


 背後から低い声が聞こえた。


「はい?」


「まだかい?」


 エスルスがキッチンの入口から、じっとフライパンを見つめていた。


「もうちょっとだから! 待っててください!」


「もうちょっとって、どれくらいだい?」


「もうちょっとはもうちょっとです!」


 エスルサーA:エスルス様が限界を迎えておられる……


 ツッコラーD:いつもの光景で安心した。


 私は焼き上がったソーセージを皿に取り出した。


「さて……最後にもう一品」


 私はスーパーで見つけた、例のブツを取り出した。


 ソーセージ売り場の隣に並んでいた、見慣れた食品。


 私はパッケージをまじまじと見つめる。


 ——うん……やっぱり気になるんだよなぁ、これ。


 ツッコラーB:ん? なんだ?


 スクワライドしか勝たん子:まだ何かあるの?


「こちらはですねぇ……ちょっと確認したいことがありまして。せっかくなので一緒に用意してみました!」


 私は意味ありげに笑うと、パッケージを開けた。


「詳しい話は、食べるときのお楽しみということで!」


 名無しさんA:なんだなんだ?


 ツッコラーC:引っ張るなぁw


 私は例のブツにも適切に火を通し、ソーセージの隣に盛り付けた。


 私は冷蔵庫から、コーンスターチをまぶしたチーズを取り出した。


「さて、いよいよチーズソースの準備ですねぇ! 鍋に辛口の白ワインを注ぎます」


 コポコポコポ……と、澄んだ白ワインがにんにくの香る鍋に注がれる。


 火をつけ、ふつふつと小さな泡が浮かぶまで温める。ふわりと葡萄の爽やかな酸味と、芳醇な酒香が湯気に乗って舞い上がった。


「火を弱めて……ここからが勝負です。焦げつかせたり、沸騰させたりしたら台無しですからねぇ」


 私は呼吸を整えた。


 コーンスターチを纏ったチーズを、一気に……!


 ではなく、ひとつかみずつ丁寧にワインの海へと投入していく。


 木べらを握りしめ、「8」の字を描くように絶え間なく、ゆっくりとかき混ぜる。


 コト、コト……と木べらが鍋底を叩く。


 ワインの熱を受け、固形だったチーズがとろりと角を落とし、徐々になめらかなソース状へと変わっていく。


「そしてここで……秘密の隠し味を投入します!」


 私が取り出したのは、新鮮なレモンの絞り汁とナツメグパウダー。


 レモン汁を数滴、ナツメグをほんのひと振り。


 そして、隠し味の中の隠し味。醤油をごく一滴、たらりと垂らす。


「レモンで後味をキリッと引き締めて、ナツメグで香りに奥行きを! そして醤油で旨味をちょい足し! これぞツッコ流、特製チーズフォンデュです!」


 木べらを持ち上げると、とろ〜り……と淡い琥珀色の濃厚なチーズが、艶やかな光を反射しながら太くしなやかに垂れ落ちた。


 ——フッフッフ! ダマひとつない、まるで絹のような完璧な滑らかさ《パーフェクト・シルキー》! これはたまらんなぁ……


 ふわりと立ち上る湯気には、熟成チーズ特有の芳醇な香りが混じっていた。グリュイエールの香ばしいナッツのような香りに、チェダーの濃厚な乳の香りが重なる。


 口に入れる前から、舌の奥がじわりと疼いた。


「おい……ツッコ、すげぇうまそうな匂いがするじゃねぇか」


 私が振り返るとセラがテーブルに肘をつき、椅子に座ってこちらを見ていた。


『ツッコォ! もう我慢の限界だぁ……そのverführe(フェアフューレ)rischer(リッヒャー) Duft(ドゥフト)(妖艶な香り)を放つチーズを早く!』

 

 エスルスも同じようによだれを垂らしながら鼻をおっぴろげていた。


「もうすぐご飯できるからね。楽しみにしてて!」


 私はサムズアップした。


「なかなかおいしそうなにおいだね」


「おにいにお呼ばれしたデスゥ!」


 イケメンとシェリーさんがキッチンに入ってきた。


「さあ、みなさん! お待たせしました!」


 私はカメラに向かって両手を広げた。


「ツッコ特製! 三種の濃厚チーズフォンデュ! いよいよ実食でーす!」

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