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食欲の魔女と底辺OLのダンジョン飯テロ配信~「赤字ならクビ」と言われたので、ポンコツ魔女に飯を食わせてブラック企業の売上を超えます~  作者: ダニエルさん
第2章:Sランク配信者なんて無理無理無理! でも、魔石採掘部門にはいきたくない!

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第80話「限界OLが頬を叩いてまずは行動することをキメた話」

 私は食堂の食器返却口でイケメンに頭を撫でられていた。


「さて、ケーネちゃんのところに戻ろうか」


 フリードは私の頭から手を離すと踵を返し、ケーネが座っている席に向かって歩き出した。


 私はうつむいたまま後を追った。


 ——ああ……最近、ガンギマリ成分よりイケメン成分の方が強いな……どうして? どうしてなの? まさか……?


 ケーネはテーブルを布巾で拭いており、私たちに気づくと椅子から立ち上がった。

 

「フリードさんってSクラス配信者のフリードさんですよね? ツッコさんとはどういう関係なんですか?」


 ケーネはフリードのことをじっと見つめた。


「ああ、僕はツッコちゃんの家でお世話になってるんだ」


 フリードは私の方を一瞥して小さくウィンクをした。


「え! それって……どういう……」


 ケーネの顔がみるみる青ざめていく。胸の前で両手を合わせ、ぎゅっと握りしめていた。小さく体を左右に揺らし、落ち着かない様子だった。


「毎日一つ屋根の下で寝食を共にしているよ」


 フリードは悪びれる様子もなく私を見つめ、私の肩にぽんと手を置いた。


 私は頬を赤らめ、目をそらした。


「な……そ、そうですか。そういう関係なんですね」


 ケーネは私とフリードを交互に見つめ、力なく肩を落とした。


「ちょっと! フリードさん!?」


 私はフリードの腕をつかんで揺らした。


 ——語弊しかないよ!! この人バカなの? ちょっとカッコいいからって調子に乗ってる? それとも辛い物のキメすぎで脳がやられてるの!?


「何かおかしいことでも言ったかな?」


 フリードは肩をすくめた。


「おかしくはない……です。ごめんなさい」


「おかしいことばっかりだよ! このやろー!」


 ——こいつは私の心を振り回すのがほんとに好きだな! カッコいいくせにガンギマって! そのくせクッソ鈍感ムーブをかましやがって! アトラクションか? レジャーランドのアトラクションなのか?


「うん? まあいいや。ツッコちゃん、明日、また灼熱の炎獄洞に行くよ。ケーネちゃんも一緒にどうかな? 十時に現地で待ち合わせだよ」


 フリードは食堂の入口に向かって歩き出すと、片手を後ろへひらひらと振りながら、私たちの返事も待たずに食堂を出ていった。


「このマイペースガンギマリヤロー!」

 

 人が徐々に増え始めた食堂で、私は顔を真っ赤にして叫んだ。


「わ、私も今日は失礼します」


 ケーネは椅子に置いた荷物を手に取ると大きく頭を下げ、走り去ってしまった。


「何なんだよほんとに……」


 私は大きくため息をつくと、スポーツバッグを手に取り、居室に戻った。


 ————


 仕事が終わり、私は電車で家に向かっていた。


 私はパワーヌル(相棒)のディアブロカプサイシン味を手に握りしめていた。

 

「ふぅ……」


 私は息を吐き、膝小僧へ視線を落とした。


 ——明日も灼熱の炎獄洞か……正直なところ、チーズフォンデュアルマジロじゃ動ける気がしないんだよな……どうしようか。


 私はパワーヌル(相棒)を一口キメた。喉が爽快だった。


 ——アルマジロは転がるんだよな。でも、それだとまともに動けないよな。


 私は顔を上げ、車内に設置されたデジタルサイネージを見つめた。


 ——チーズフォンデュ。ドロドロ。液体みたいだけど粘り気があってこれはこれでまともに動けなさそう。


 サイネージではおいしそうなソーセージのCMが流れていた。


 ——ソーセージ。おいしそうだな。チーズフォンデュに入れるのか……絶対正解だな。


 私は上を向いたまま腰に手を当てパワーヌル(相棒)を一気に飲み干した。


 空き缶をビニール袋に入れた。

 

 ——これからどうしよう……いや、悩んでも仕方ないな。


 私は両手で頬をパァンッ! と叩いた。


「ヨシッ! 決めた!」


 最寄り駅への到着を告げるアナウンスが流れ、電車の扉が開いた。


 ——まずは行動だ!


 私はカバンとビニール袋を両手に持って立ち上がり、電車を降りた。


「晩御飯はチーズフォンデュ食べよう!」


 私は改札を抜けると、駅前のスーパーへ向かって走り出した。

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